チーター騒動
俺がマイルームを出ると目を疑う状況が待ち構えていた。
なんと家の前に大勢のプレイヤーが押しかけて俺の事を取り囲んでいる。
庭の中までプレイヤーが入り込んできていて花壇を踏み荒らされ、俺がガーデニングを趣味にしているプレイヤーだったら泣くだけじゃ済まない状況になっている。
その中の一人が俺に人差し指を突き刺して変なポーズで叫び始めた。
「我は新緑騎士団団長ミドリカワだ! お前の不正は許さん! 断固として糾弾し、お前を運営に突き出して処罰を受けさせる!」
「不正ってなんだよ? 俺は何に不正をしてないぞ?」
「なにを言っている! そのオールカンストしたチートステータスが証拠だ!」
その声につられて俺のステータスを見にプレイヤーが押し寄せる。
目の前に迫るおっさんの脂ぎった顔、兄ちゃんの青臭い顔、髭だらけの顔!
おいやめろ!
そんなキモい顔面に揃えられたらゲシュタルト崩壊起こすわ!
「見せろ見せろ!」「俺にも見せろ!」「すご!」「うわ! ステオールカンストかよ!」「ありえねー」「デュランダルまで持ってる!」「マジモンかよ!」「これは酷い!」「うは! こいつ【罰当たり】の称号持ってるわ!」「運営倒したのこいつか!」「チートで倒したのかよ!」「なんで運営倒してBANになってない!」「抜け穴だな!」「抜け穴使ったんだな!」
「【罰当たり】持ちだと! とんでもないチート野郎だ!」
「このステータスはガチャでアイテムを手に入れたからで、何にも不正は────」
「そのガチャを買ったのが不正なんだよ! なんで一人三回しか引けないガチャをコンプするまで引いてるんだよ? そんな不正は許さん!」
「そんなこと知るかよ。サイトにもパッケにも三回迄とか表記なかったしガチャのコードを入力出来たんだから仕様で運営お墨付きだろ」
「お墨付きの訳が有るか!」
突如上がる雪の悲鳴!
「きゃー! ご主人様助けてください!」
「ど、どうした? 雪!」
「変な人が頬ずりしてきます!」
「雪ちゃん! 雪ちゃん! 拙者雪ちゃんの頬っぺたぶごっ! ぐは!」
「てめー! 何しやがる! うちの雪に!」
俺がぶん殴ると転げて向かいの家の壁に叩きつけられるヲタク風のデブおっさん。
「ご主人様、助けてくれてありがとうございます」
このゲームにはPKが無いのでプレイヤーを攻撃してもノーダメージですぐに起き上がって来る。
再び雪に頬ずりしようと襲ってくるおっさん。
「雪、部屋に戻るぞ!」
「そうは行くか!」
さっきのミドリカワというプレイヤーが家の中に入れない様に立ちはだかる。
それに続いてそいつの仲間も俺達がマイルームに入れない様に立ちはだかる!
「何してくれてるんだよ!」
「お前を逃がす訳にはいかん! お前が行くのは監獄だ!」
「雪、着いて来い! 逃げるぞ!」
「はい!」
「逃げるだと!」
俺は雪の手を引いて住宅街を失踪してタルミの街に出ようとするが、新たに来たプレイヤー達が住宅街の出口から津波の様に押しかけて来て先に進めない。
「祭りはどこだ?」「ここでいいんか?」「せやで!」
「ご主人様! 人の波が押し寄せて来て出口に向かえません!」
これはどうにもならん!
ならば!
転移石を使い、他の街へ逃げてやる!
俺は転移石を使い初期村のステップに逃げた。




