豚王を倒した結果、ネットが荒れました
俺達は帰り道の途中、また元チームメンバー達に出会った。
だが元チームメン達は俺に嫌味を言ってこなかった。
いや、それ所じゃなかったので有る。
豚王に襲われていたのである。
豚王は噂どうり馬鹿デカかった。
横幅20メートル身長は15メートルぐらいあり天井に頭を擦り付けるほどの背もあるのデップリとしたイノシシだ。
頭を激しく天井に擦り付けてるせいか天井のタイルがパラパラと落ちてきていた。
体重がやたら重いのか歩くたびに地響きの様な重低音を立てる。
元チームメンのパーティーは一人を残して床に横たわり皆息絶えていた。
豚王は占有状態を示していなかったので、どうやら戦いを挑んだのではないようだ。
豚王に絡まれて逃げ惑ってるうちに一方的にやられてしまったようだ。
生き残ったのはあの中学生のチーム幹部だった。
俺達に気がついた幹部が俺に懇願する。
「た、助けてくれー!」
逃げ惑いながら回復薬を飲んで体力回復しつつ敵の攻撃からギリギリの所で耐えてるようだ。
ざまーみろ!
はよ死んじまえ!
さすがに雪の前でその言葉を口にする事は出来なたがな。
「あいつら嫌味な奴だからあいつがやられるのを見てからお兄ちゃんが豚王倒す?」
ヘブンの残酷な言葉が聞こえたのか半狂乱で訴えるように助けを求める。
「お願いです! 助けてください! ごめんなさい! 助けてください!」
あまりにもなさけない姿で哀れに思えてきた。
さすがにここまで情けない姿で助けを求めてくる奴を雪の前で無視するわけにもいかない。
「いや今倒そう。ここまで俺を頼ってくる奴を無視するわけにもいかない。ヘブンも雪もミキさんも手を貸してくれ」
「「「わかった!」」」
俺たちは前後左右から豚王を挟みこんで倒す。
「うりゃー!」
「とー!」
俺のスキルの『完全共有』で俺のスキルがコピーされて、パーティーメンバーも超人化していた。
ザクリザクリ!と、豚王の巨大な腹の肉を削り取り、15秒もせずに豚王を倒した。
「凄いです! 私たち凄いです! 豚王をあっという間に倒したです!」
「15秒って早過ぎだよ!」
「こんな早いの初めて!」
俺たちが豚王を一瞬で倒したのを中学生も無言で度肝を抜かれたように見つめていた。
「私もとんでもなく強くなってたよ。これお兄ちゃんのスキルのおかげ?」
「多分そうだろうな」
「うは! 豚王倒した経験値でLV10も上がった!」
「私なんてLV12も上がったよ! それに使い始めたばかりの槍スキルもとんでもなく上がってるし……すごいねお兄ちゃん!」
「雪もLV10上がりました!」
「お! またレア宝箱だ」
「私はさっきこの槍を貰ったから、今度はミキちゃん貰いなよ」
「胴装備か。物凄いレアっぽいな」
「私は高レベルの装備持ってるからパスー」
「俺はもう装備要らないから、これもヘブンにやるよ」
「ありがとう! みんな!」
ヘブンは豚王の鎧を着て満面の笑みをこぼして大喜びだ。
あの醜悪な豚王からドロップしたとは思えないピンク色した可愛らしい皮鎧装備だ。
部屋の隅で尻餅をついていたチーム幹部が俺を見て言った。
「お、おまえ、なんでそんなに強いんだ?」
「能ある鷹は爪を隠すってことわざ知ってますか? 今まで騒がれるのが嫌で隠してたんですけど、バレてしまったから仕方ないですね……」
俺はドヤ顔をしながら思いっきりもったいつけて言った。
もちろん隠してたって言うのは嘘だ。
「そうだったのか。ありがとう、助かったよ。お前のことをあんなにも蔑ろにしてたのに……本当にすまなかった」
「気にしないで下さい。過ぎたことです」
「この事は絶対に他の人には誰にも言わないで下さいよ。お兄ちゃんの事を言ったら許しませんからねっ!」
「は、はい、言いません!」
幹部中学生が頭をヘコヘコ下げてるところ見てたら、なんかスッキリした。
俺達は豚城を後にした。
その夜、ネットでは2つの噂が飛び交った。
一つは特典パッケの特典アイテムをマネーパワーでフルコンプした男が居ると言う噂。
そしてもう一つはLV50以下のプレイヤー四人組みが豚王を一瞬で討伐したと言う噂が。
その噂の出所は解っていた。
その噂の真偽でその夜のネットは荒れに荒れた。




