ドロップ品
俺達は大きな宝箱の中から大トカゲのドロップアイテムを回収する。
・トカゲの皮 HQ3 ×6
非常に高品質な素材となる上質なトカゲの皮
・アイデックス・スーツ ×1
素早く動けることの出来る身軽な装束
防御:10
追加効果 DEX+7
追加効果 AGI+7
LV:1
ジョブ:すべて
それを見て俺達は驚く。
「うは! アイデックス・スーツが出た!」
「すごい!」
「おまけにトカゲの上質皮が6枚も!」
「すごーい!」
なんで俺達が喜んでいたかというと、激レアの装備とレア素材が2個も出たからだ。
まずはトカゲの上質皮。
これはLV80の敵を倒して稀に手に入る皮装備の素材である。
主にLV75以降の装備に使われる素材。
ここの大トカゲを倒しても、極稀に手に入る。
極稀にな。
それが6枚とは……ちょっとドロップ率がおかしい。
トカゲ獣人を倒した時のドロップ率はそれほど悪くないが結構強い敵が落とすアイテムなので業者の付け入る隙はない。
高レベルの結構な人数のパーティーじゃないと狩れないので先行プレイヤーの金策として狩られる事が多い。
1枚25万ゴルダと比較的高値で取引されている素材。
そしてアイデックススーツ。
俗にいう全身スーツだ。
バイクの革のツナギに近い、ボディーラインを浮かび上がらせる体にピッチリした赤色のボディースーツ。
性能はDEX+7、AGI+7で今となっては微妙な性能だがBBB唯一のボディースーツなのでおしゃれアイテムとしてすこぶる人気が高い。
大抵は黒く彩色してボンデージファッションとして使う。
ちょっと夜の大人の雰囲気のするボディースーツ。
健全が売りのBBBでは異質な装備である。
当然運営もこれを流行らせるつもりは無くゲーム全体で3ヶ月に1ドロップしかしない激レア品。
しかも一度クエストを受けてクリアすると1年間戦利品の抽選判定が行われないという念の入れよう。
その為取引価格は低レベル装備なのに非常に高値で安定している。
きっと俺のLUKがカンストしてるからドロップしたんだろう。
「アイデックススーツって今どのぐらいで取引されてるんだろ? ミキさん知ってる?」
「600万ちょっと位かな?」
「ろっ、600万ゴルダ?」
「そんなに高いんだ。何でこんなに高いの?」
「性能装備というより、おしゃれ装備というかエッチな装束としての需要かな?」
「エッチなんですか……」
「好きな男性プレイヤーを虜にするのに使われているような……」
雪が俺に聞いてくる。
「虜って何ですか?」
「好きにするって事だ」
「じゃあ、雪はこれを着てご主人様を虜にしたいです」
とんでもない事を言い出す幼女。
幼女にボディースーツとか!
エロ過ぎる!
間違いなく垢バン行為だ。
俺は全力で雪を止めた!
「ダメだ、雪! 俺はこんなもの着なくてもお前が大好きだから! 着なくていい!」
「ご主人様は雪の虜になってますか?」
「なってるなってる。俺はお前の虜だ」
「やったー!」
「それにパトであるお前がこれを着る事は出来無いし、売りに出すと決めてある」
「そうなんですか。これは高い物なんですか?」
「おう、高いぞ! よくドロップさせた、雪よくやったな!」
「えっへん! ご主人様が喜ばれてくれたようで嬉しいです」
「この服を売ったお金で、美味しい物がたくさん食べられるぞ」
「ほ、ほんとうですか?」
「おう、本当さ。3人だから分け前は一人200万かな?」
「ガイヤ君、3人で分配なの? 4人じゃないの?」
「4人? ああ、もしかして雪の分を入れてるのか? 雪は俺と一心同体のパトだから人数に入れなくていいぞ」
「ご主人様から一心同体なんて言葉を掛けられると、うれしさで体がのぼせあがってしまいます」
「あはは。そうかそうか」
俺が雪の頭を撫ぜてやると「くーん!」と子犬のような小声を出して体を震わせる。
かわいいやつだな、おい。
「今日のトカゲは雪ちゃん一人で倒した様な物だから4等分の分け前でいいと思うよ」
「いいのですか?」
「いいよ、いいよ」
「うん、わたしもミキちゃんも何にもして無いから4等分がいいね」
ヘブンもミキさんの提案した4等分の分け前に賛成したので雪も報酬を貰えることになった。
アイデックススーツと上質皮はミキさんが競売に売りに出す事になって750万を立て替えし、出品手数料を引いた分け前の180万ゴルダを俺とヘブンと雪が先に貰う事になった。
「これで美味しい物をいっぱい食べなさいよ」
「ありがとうございます」
たった一戦で180万ゴルダを貰えるとは結構おいしいトカゲ討伐だった。




