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全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
第一章 全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、なんだかんだでトッププレイヤーになる
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着ぐるみの雪

 カットインメッセージのあと、ヘブンがすぐにやって来た。


 この時間で来たって事はこの村にはゲートを使ってやって来たんだろうな。


 俺より低いレベルなのにチームのメンバーと一緒にメインストーリーをガンガン進めてるヘブンは正直凄いと思う。


 ヘブンは俺を見ると何か隠してる様な仕草をする。

 

「てへへへ、友達連れてきちゃった」


「おひさしー!」


 この前ギフトの沼で会った女の子だ。


 名前は確か……。


「ミキだよ。覚えてるかな?」


「覚えてる、覚えてる。フレンド登録の時に名前を見たからちゃんと覚えてるよ」


 名前をうろ覚えだったのは内緒だ。


 俺は空気の読める男。


 場の空気の為ならば多少の嘘は平気で吐ける。


 女の子は俺の返事を聞くと笑顔になった。


「実のとこ、お兄さんに会いに来たんじゃなくて雪ちゃんに会いに来たんだけどね」

 

 こいつは正直すぎるというか、空気の読めない女だな。


 まあ、俺みたいな嘘つきよりはマシか。


 ミキさんは着ぐるみ姿の雪を見ると笑顔になる。


「うわ! かわいい! ミニベアの着ぐるみを着せてるんだね。ものすごくかわいいね」


「ありがとうございます」


 ペコリと頭を下げる雪。


 その仕草をみてミキさんはだらしなく顔を崩す。


「うわー! かわいい! お持ち帰りしたい~!」


 ミキさんに突然抱きしめられて、頬ずりされる雪。

 

 タルミースラの街の騒動の時と全く同じ頬ずりという行動に雪が困った顔をする。

 

「こ、この体はご主人様だけのものですから、あんまり気安く触らないで欲しいのです」


 雪の駄々っ子パンチを受けて、ミキさんは我に返った。


 慌ててハグを止めるミキさん。


「あ、ごめん。パトなのに自我を持ってるって凄いね。話す言葉もまるで人間みたいだし、さすがレアパトって感じだよ」


「えっへん!」


 つつましい胸をこれでもかと張って得意げな顔をする雪である。


「他のパトってあんまり喋らないのか? 俺、パトを持つのは初めてでなんかよく分らないんだよね」


「全く話さない訳じゃ無いんだけど犬や猫みたいに仕草で返事するのが殆どかな? 中には喋るパトも居るけどものすごく事務的というか片言で最低限の返事をする程度だね。こんな雪ちゃんみたいに普通に話してくれないよ。雪ちゃんだけが特別だよ」


「よかったな、雪。特別だってよ」


「雪はご主人様だけの特別なのです」


 俺を慕ってくれる雪はとてもかわいい。

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