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全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
第一章 全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、なんだかんだでトッププレイヤーになる
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雪の装備

 学校から帰宅し、ヘブンに催促される前に夕食を作り上げ、ヘブンと夕食を取り終え、宿題と予習を済ませ、風呂に入る。


 まあ、いつもの事だ。


 ちなみに食事は質素に厚揚げをフライパンで焼いただけの料理。


 金が無いんだから仕方ない。


 料理とは言えない程の手抜き料理だが、カリッと焼いた厚揚げにおろし生姜を載せて醤油をかけるとシンプルながら結構いけた。


 ただ今日はいつもと一つだけ違った事があった。


 雪に会いに行く事だ。


 全ての日課を済ませ寝る前のひと時、雪に会う為にログインをする。


 ひと時と言ってもゲームの中では時間加速が10倍なので結構な体感時間遊べる。


 BBBにログインすると雪がマイルームで待っていた。


「ご主人様お帰りなさい」


「約束通り、勝手に外を出歩かないで家で大人しくしててくれたか?」


「はい。ずっとご主人様の事を考えていました。すごく暇で寂しかったです」


「そうか、いい子だったな。じゃあ早速俺と一緒にレベル上げに行くか!」


「はい!」


 狩場に出る前に雪のステータスを確認。


 LV7か。


 LV7にしては少しステータスが高めな感じだけど、安心を見てLV10までは初期村すぐ横のフィールドで地道に雑魚を狩ってレベル上げをするかな。


 ただ3LV上げる為の為に初期村に行くのも面倒だな。


 この住宅の有るタルミースラの街の横のフィールドでもいいかな?


 俺が回復待機しながら見守ってれば絶対に死ぬ事も無いだろう。


 さらに言うのならば効率的にレベルを上げるのならばもう少し敵が強いエリアで強引に狩りをした方が経験値効率はいいんだろうけど、残機のストックの無い雪を死なせられない以上、万が一があったら困る。


 あと装備も用意して準備万端で……。


 今の雪は着物装備でも来てるのかな?


 ちょっと調べてみたら目が点になった。


「何だこりゃ! 雪の装備は裸同然じゃないか!」


 着物はカモフラージュ装備。


 つまり見た目だけの防御力0の装備だった。


 これはまずい!


 マズ過ぎる!


 裸で亀と戦わせてたなんて俺何やってたんだよ!


「ご、ご主人たま。ゆ、雪は服を脱いで裸になった方がご主人様がお喜びになるんでしょうか? それなら物凄く恥ずかしいですが、ここで……」


「おい、待て! そんな事言って無いから! むしろ防具を買って更なる厚着をして貰うつもりだ」


「ご主人様は脱がせフェチなのですね」


「ち、違うから! 全然違うから!」


 雪の誤解を解いた後、マイルームの有るタルミースラの街に出る。

 

 他の大陸の首都とは違って街中でもかなり緑の多い自然豊かな地方都市だ。

 

 それでいながら初期村と違いかなりの賑わいなので商店も多く買い物で困る事も無い住みやすい街だ。

 

 早速防具屋に行くが店主の猫族のNPCの娘があからさまに嫌そうな顔をする。


「お客さん、その子は人間の子供みたいな姿をしてるけどパトにゃよね? 店主の私の目は誤魔化せないにゃ! うちはパトの着る服なんて扱ってませんにゃ! パトの服が欲しいなら豚小屋にでも行ってくださいにゃ!」


 そう言えば雪はパトだから武器は装備出来ても人間用の防具を装備できないんだったな。


 あまりにも女の子らしいからパトと言う事をすっかり忘れてたよ。


 ちなみに店主の言う豚小屋とはペットショップの事。


 パト実装で一儲けしようと色々と装備を仕入れた装備屋の店主が、パトにはパト専用の装備しか装備できない事を知り大損をして以来、パトとペットショップを毛嫌いするようになったという設定らしい。


 無駄に裏設定が細かいよ、このゲーム。


 もう少し他の部分に力を注げよ、運営と開発。


 ペットショップに行くと、早速鳥族のNPCの店員に話しかける。


「パトルヌスの装備ですか? もちろん取り扱っていますよ、こけー! 鎧や服から剣まで何でも取り扱っています、こけー!」


「悪いんだが、この子のLVで着れる服と使える武器を見繕って欲しい」


「おまかせください、こけー! かわいい子ですね……って、この子珍しいですね、こけー! この地に現れたばかりの雪女じゃないですか? 申し訳ないですが、まだこの子用の装備は取り扱ってないですよ、こけー!」


「未実装なのかよ!」


「未実装が何の意味かは解りませんが、多分そうです」


 そりゃそうだよな。


 雪女のパトは実装されたばかりだもんな。


 アイテム実装が遅くて定評がある運営が、新パト実装と同時に専用装備を実装してる訳もない。


「汎用品で着れる服は無いのか?」


「申し訳ございません。この雪女さんはかなり特殊で今迄の装備を使いまわす事は出来ないのです」


 それを聞いた雪が心配そうな顔をする。


「ご主人様、服を買って頂けないのですか? 買って貰えないと脱ぐことが出来ないのでご主人様を喜ばす事が出来ないです」


「脱がさないから! 脱がしても楽しく無いから! 喜ばないから! それに、そんないかがわしい事をしたら運営に検挙されて一発BANだから!」


「残念です……」


 何が残念なのかよく解らない。


 すると商売っ気のある店主がやって来て売り込みを始める。


「防具は扱っておりませんが着ぐるみなら有りますよ、こけー! 見た目を可愛らしいクマの着ぐるみを着た状態にする魔導プリズムです、こけー! いかついパトルヌスをお使いのオーナー様に大変好評なんですが、おひとついかがですか?、こけー! その子ならただでさえ可愛い可愛さが更にアップすると思いますよ、こけー!」


「それは見た目だけのアイテムなんだよな?」


「ええ。見た目だけが変わりますので性能はそのままです、こけー! 愛らしい格好で戦闘出来るなんて最高じゃないですか、こけー! おまけにアイテム扱いなのでパトルヌスの種族に関係なしに使えます、こけー!」


「さすがにそれだと防御力が上がらないので意味が無いので要らないな」


「ではこんなのは如何でしょうか? 豪華な羽根で頭に付けると……」


 必死にガラクタの売り込みを続ける店主から逃げる様に店を出た。


 店から出て来た雪がレアパトと気が付いたプレイヤーが声を上げる!

 

 その声につられて次々とプレイヤーが集まりだす。


「うわ! まじ可愛い! 新実装の雪女のパトじゃないか!」


「うわー! 初心者ガチャの当りじゃん! まじ可愛い!」


「すげー! ロリっ子だぞ! ロリっ子!」


「パトとは思えない愛らしいモデリングだな!」


「モフなでしてやる!」


 新パトに興味津々の目が血走った冒険者に取り囲まれる雪。


 次々と騒ぎを聞きつけたプレイヤーが集まって来て、店の前は人だかりで通れない程だ。


「きゃー! ご主人様助けて下さい!」


「だ、大丈夫か?」


「なんか変な人が私に頬ずりして来ます!」


 見ると変な兄ちゃんが雪に頬ずりしてた!


 この野郎!


 俺の雪の純潔汚しやがって!


 頬ずりなんて羨ましい事まだした事無かったのに!


 人の波に押し流されそうになる雪。


 俺は雪の手を引っ張り再び店の中へ!


 危うく雪とはぐれるところだった。


 店に入って来ようとする客を出口のドアを押さえながら止め、店主に言った!


「さっきのクマのプリズムをくれ!」


「まいどー!」


「ご主人様ありがとうございます! 雪に買ってくれるのですね!」


 雪にクマのぬいぐるみを着せるとかなり可愛らしくなる。


 しかも目立つ和服を隠せたので雪女とバレる事も無いだろう。


 俺は満足気な雪を連れて、ペットショップの裏口から群衆から逃げる様に立ち去った。

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