節約生活
早速雪の属性の確認でBBBに再ログインをしようとしたらヘブンが俺の部屋にやって来る。
「お兄ちゃん、お腹空いたよぅ。食べに行こうよー」
「あっすまん。もう夕飯の時間だったな。今から外出の準備をするからちょっと待ってくれ」
今日は祭日だからいつも通りの俺達だと二人でファミレスに食べに行く。
土日祭日で両親が居ない日は外食に行くのが俺たちのマイルールになってる。
でも今日はBBBのパッケに大金を注ぎ込んでしまったので少しでも節約をしたい。
ヘブンが許してくれるなら、今日は家で簡単な食事にするかな?
「悪い! ヘブン、今日は外食に行かないで家で簡単な食事で済まさせたいんだけどいいか? BBBのパッケで大金を使ったからバイトを始めて金が手に入るまでは少し節約したいんだ」
「そっか、そうだよね。私もパッケ買ってもらったし節約に協力するよ」
冷蔵庫を開けてみると冷凍食品なんかが結構入っていたけどこれは弁当用の食材。
さすがに金が無いからと言ってこれを食べてしまって妹に貧相な弁当を持って行かせる訳にもいかないからな。
でも、一番手っ取り早く節約出来るのは食事と言うのも事実。
俺が金を使い込んだんだから、俺が尻拭いをしないとならない。
電気やガスは止める訳にはいかないけど、食費なら我慢すればどうにかなる。
我慢と言っても食事の回数を減らすのは育ち盛りの俺には無理なので、俺の弁当の質を大幅に下げる事にした。
その事をヘブンに話すと妙に受けている。
「お弁当を節約するの? じゃあお弁当は白ご飯とポットにお湯とこれだね」
「お茶漬けかよ!」
「うん、これなら一食30円ぐらいで済むよ!」
「それは物凄く節約出来そうだが、どんぶりにお湯なんて注いでたらクラス全員の注目の的になってお兄ちゃんのメンタルがガシガシ削られるので却下だ」
「じゃあ、これはどう? 生卵と醤油とご飯。ティー(T)ケー(K)ジー(G)よ!」
「TKGって横文字にするとアイドルグループみたいでカッコいいけど、結局は卵かけご飯だろ? 教室で小鉢で卵をカチャカチャかき混ぜていたら滅茶苦茶注目されて、お兄ちゃんのあだ名がその時点から『卵かけ太郎』になるから却下だ!」
「じゃあ……」
「俺は普通におにぎり持って行くからいい。お茶漬けの元も卵もおにぎりの具にすればそれ程変じゃないし注目される事は無い」
「おっ! お兄ちゃんかしこい!」
「あれだな。少しでも食材の買い出しの回数を減らす為にも冷蔵庫に入ってる食材をおにぎりの具になる物とならない物とで分けよう。そして家ではおにぎりの具にならない物を食べよう。これから当分、家での食事が貧相になると思うがバイトを始めてお金が手に入るまでは協力して欲しい」
「ラジャーであります、お兄ちゃん提督!」
「ふむ。と言う事で今日は簡単ラーメンだ」
俺達は袋ラーメンに日持ちのしなさそうなキャベツを刻み煮ただけの貧相なラーメンを作る。
食べてみると貧相な見た目の割にはまあまあ美味い。
ただな、量が圧倒的に少ない。
いつもの半分の分量だ。
サイドメニューの一つでも欲しい物だ。
正直、育ち盛りの俺はこんな物じゃ物足りないが借金を抱えた身では贅沢は言えない。
「なんか物足りないね」
「腹空いたならゲームの中で食って来いよ。少しは気が紛れるぞ」
「さすがお兄ちゃん! 賢い! じゃあ、食べてくるー!」
ソファーに座り込むとゴーグルを被り、早速BBBにダイブするヘブン。
あいつ宿題やったのかな?
しっかりしてるあいつの事だから、昨日の夜や午前中に済ませてる気がするな。
むしろやって無いのは俺の方だ。
午前中にBBBが届かなくてやきもきして勉強が手に付かなかったから、もう少し勉強をしとかないとな。
建築会社を経営し一国一城の主とは言っていながら取引先の親会社の顔色を伺いながら仕事をする親父みたいには成りたくない。
勉強を済ませて、明日の弁当の米を研いで、風呂入って……。
それが済んだら寝る前にBBBにログインして雪の事を調べるか。
俺は部屋に戻り二時間ほど勉強、そしてやる事を済ませてBBBにダイブ。
ログインするとマイルームで雪が待っていてくれた。
「お帰りなさい、ご主人たま!」
まだ俺に慣れてないのか緊張して噛んだ。
「今日はもうログインしてくれないと思っていましたので、とても嬉しいでつ」
また噛んだ。
かわいいな、おい。
ずっと噛むところを眺めていたいがその前に調べる事を調べないとな。
「雪、わるい。お前のステータスを見せてくれ」
「し下着をですか? ご主人さまのお願いならば出来るだけ聞き入れないといけないとは思いますが、ごご主人たまとわたくしはもうその様な関係に……ぽっ」
「下着なんて言ってねーよ! そもそも下着とステータスじゃ一文字も有ってねーし!」
「てへぺろ」
舌を出しておどける雪。
うん、可愛すぎる。
それは置いといてと……。
俺の視界の端のログウインドウに表示される雪のステータスをチェックした。
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名前 雪
LV 7
タイプ:パトロヌス(雪女)
ステータス
HP 89 MP 28
STR 36 DEX 42 VIT 28 AGI 44
INT 32 MND 30 LUK 36 CHR 34
スキル
氷の吐息
残りスキルポイント 28
追加効果
物理氷属性付加
装備
氷の刃
氷の紬
氷の帯
氷の草履
属性 健気 天真爛漫 レア
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なんだよ、属性【健気】って!
【健気】属性とか【天真爛漫】属性とか知りたくねーよ。
そんなの見てれば解るから!
そんな妹属性みたいなの要らないから!
俺が見たかったのは永久のPだよ!
Pは無いのかよ?
Pは?
雪の属性にはPは何処にも見当たらなかった。
俺は衝撃的な事実を知ってしまった。
雪は戦闘で死ねば消える。
そんな嫌な事実を知ってしまった。




