表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
序章 全財産を注ぎ込んでガチャを引いてみたら、なんだかんだでとんでもなく強くなる
1/54

ハブられてる俺

 ──今から3日前、俺はチームを辞めた。


 BBBに復帰して1年の俺はチームメンバーから思いっきりハブられていた。


 理由は簡単だ。


 レベルが低くて役立たずだからだ。


 元々このチームに入ったのは2年前。


 このゲームがサービスインして間もない頃だった。


 ゲームを始めて間もないLV10~20の初心者プレイヤーが集まって始めたチーム。


 皆で毎日冒険に行きLV10台だった俺はいつの間にかレベルがもうこれ以上上がらないレベル上限”レベルキャップ”のLV30に達していた。


 それでも構わずに毎日冒険に出掛けていた!


 理由?


 それは冒険が楽しいからだ!


 毎日が冒険!


 そんなチームに所属していた。


 その頃はまだ皆とも仲良く、冒険も楽しかった。


 変化が起こったのは高校受験に打ち込むためにBBBを一時休止して、高校合格を期に復帰してからの事。


 復帰してすぐに驚いた。


 俺が高校受験で休止し必死に勉強していた1年の間に何度かレベルキャップが開放され他のチームメンバーは皆LV75のレベルキャップに到達していた。


 未だにLV30時代のレベルキャップで止まっていた俺なんて、彼らにとったらゴミみたいな弱さの存在で金魚の糞としか思われてない。


 俺はソロでレベル上げを始めたが装備が貧弱で敵の攻撃が強くてレベル上げがキツ過ぎる。


 一発殴られただけでHPの三分の一を持ってかれる様な敵が相手じゃソロでレベル上げを出来る訳が無い。


 しかもこの強さで経験値がギリギリ入るレベルの敵なんだよ。


 どう考えてもゲームバランスがぶっ壊れている。


 たぶんゲームバランスはパーティー戦を前提に調整されていてソロのレベル上げなんて想定外なんだろうな。


 仕方なしに装備取りを始めたんだけど、これもパーティーでの戦闘が前提でゲームバランスを取ってあるのか敵の攻撃が強くてキツ過ぎる。


 もう少しレベルを上げてから挑もうと思ったけど、すでに低レベルのレベル上げパーティーなんて誰もやってる奴が居ないしな。


 仕方ないので装備取りの手伝いをチームメンに頼んだ。


 復帰当初は嫌々ながらも装備取りの手伝いをしてくれたチームメンも、延々と続くお手伝いに嫌気がさしたのか「先にレベル上げろよ!」だの「装備揃えるのはレベル上げてからにしろよ!」と言って誰も手伝ってくれ無くなった。


 いや、ソロでのレベル上げがキツ過ぎるから、ソロでのレベル上げが出来る様に装備集めを手伝って欲しいんですけど?


 レベル上げの為に装備取りしてるんですけど?


 あいつ等は自分で言ってる事の矛盾に気が付かないのかよ?


 今じゃチームに入る前からフレンドだったマサルしか声を掛けてくれない始末。


 要するに完全にチームメンからハブられていた。


 このチームを抜けてもっと初心者向けのチームに移る事も考えたが、俺をチームに誘ってくれたマサルの好意を裏切る事になるのでなかなか言い出せずに悶々とした日々を送っていた。


 それから1年。


 朗報があった。


 相変わらず装備はまともに揃ってないが、レベル上げの緩和が有った事でソロでも十分相手に出来る弱い敵でも僅かながらの経験値が入るようになり、レベル上げを出来る様になった。


 弱い敵を叩き続けて地道に経験値を稼いだお陰でレベルは47にまで上がったのだ。


 *


 チームのカットインメッセージでチーム討伐の募集をチームメンの幹部が始めた。


「これから、豚城に小銭稼ぎに行く人ー!」


 豚城とは猪型の獣人の拠点でサービスインの頃はトッププレイヤーでも手こずるレベルの獣人を相手にするハイレベルな狩場だったけど、今はチームで狩りをするのにちょうどいい狩場だ。


 幹部の声掛けに応じて次々に手を上げるチームメン。


「俺行くー!」


「俺も行く!」


「私も私も!」


「私も連れてってー!」


 チームメンが次々に参加表明して枠が埋まる。


 6人パーティーの空きが後1名になった所で参加希望者が途絶えた。


「@1名、誰かいかないー? 誰でもいいよー!」


 これって俺でもいいって事かな?


「僕で良ければ……」


 返ってきた返事は、冷たいものだった。


「他に行きたい人いない?」


 ちょい待てよ。


 俺入れて6人じゃないか?


 もうPT枠埋まってるだろ?


 なに無視してるんだよ!


 またあれかよ。


 ――ハブり……。


 その言葉が頭の中に浮かんだ。


 幹部は俺をガン無視して他の人を探す。


「ユキオ、いかねー?」


 おいおい、俺が手を上げてるのにガン無視かよ。


 せめて「弱いからお前無理!」とか言って断れよ。


 断りもされない程、俺は嫌われているのか?


「ごめん。僕今鍛冶で忙しくて……@15分待ってくれるなら」


 そうだ、こいつは忙しいんだから俺誘えよ。


 俺なら、0.5秒でいけるぞ!


「おk! じゃ、ユキオ、パーティー枠飛ばすから入れるようになったらパーティーに入ってくれな」


「わかった」


 はい!


 ハブ決定!


 またかよ……もう嫌、このチーム。


 結局、俺にはパーティー枠は飛んでこなかった。


 そんな俺を気遣ってかマサルが声を掛けて来た。


「ガイヤ。俺と一緒にデイリー討伐の狩りに行かないか?」


 チームメンにハブられたのを見かねて誘って来たんだろう。


 ちなみにガイヤって言うのは敵の名前じゃ無く俺の名前だ。


 このゲームは実名制だからハンドルネームじゃないんだぜ。


 ちょっとカッコイイ名前だろ?


 DQNネームだけどな。


 俺は友の気持ちに感謝しつつ快諾した。


「ありがとう。もちろん!」


 すぐにパーティー参加枠が飛んで来た。


 もちろんすぐに入る。


「よろしくー!」


「よろしくー!」


 マサルとの付き合い俺がこのゲームを始めてすぐの頃から始まる。


 初期村の外でダンゴ虫を狩って苦労してる所を「一緒にやろう!」と声を掛けられて以来の付き合いだ。


 それからずっと二人で遊んでたが二人プレイと言う限界を感じ初心者チームに入ったのが2年前。


 高校生だったマサルは大学生に、中学生だった俺は高校に進学し当時多くが小学生だったチームメンバーは中学生になった。


 俺がこのギルドでハブられてる理由は俺のレベルが低い以外にも当時中学生の厨二病真っ盛りだった俺の言動も原因なんだろうな。


「小学生には解らないだろうけど~」「小学生じゃ無理だけど~」が当時の俺の口癖だった。


 小学生を思いっきり馬鹿にしていた。


 そりゃ根に持って当然さ。


 今は「低レベルの癖に生意気」だの「低レベル乙w」だの、思いっきりブーメランでやり返されてる。


 俺はマサルにこのチームを抜けたい旨を話した。


 たぶん今話さなければ絶対に後悔する。


 俺は勇気を振り絞ってマサルにチームを抜ける事を話した。


「そうか……遊びで無理に人間関係で苦労させるのもなんだからな……。確かに今のあいつらは少しやり過ぎな感じだしな……。出来ればガイヤには人間関係で負けてこの場から逃げるような事をせずに、この場所で関係修復出来るまでもう少し頑張って貰いたかったんだが……」


「マサルが必死に探してくれたチームなのにすまない」


「でも一つだけ肝に銘じておいてほしい。人間関係で逃げるのは簡単だが逃げてはいけないと言う場所が有るのを忘れるなよ。高校なり、大学なり、サークルなり、会社なり、逃げられない場所、逃げてはいけない場所はいくらでも有るんだ」


「解った、肝に銘じておく」


「チーム脱会の件は俺からチームマスターには話しておくから」


「ありがとう」


 俺は友との最後の狩りを楽しんだ。


 そして翌日。


 俺はチームメニューの脱会ボタンを押しチームを抜けると言う形で奴らから逃げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ