6話目 地上に家を!
調査の結果人類と告示した生物を確認し、そして人間らしき生き物は分類的に見ても人類とほぼ同じようだ。
血液成分で若干の違いはあるが、やろうと思えば子孫を残すことも可能である。
生物に関する調査はそれなりに進んでいったのだが、言語の調査に関してはなかなか思うように進まない。
なぜかと言うと、もともと調査専門部隊では無かったからである。
現地人を拉致するわけにもいかず、どうしたものか困ってしまった。
「仕方ない、言葉についてはのんびり調査しよう、俺は地面にある建物で寝たい」
目の前に地面があるのに降りることができないなんて我慢できないのだ。
「では地上に司令用の住宅を建設いたします、何か希望はありますか?」
「そうだな」
少し考えて、
「まずノンビリしたいので人目の無いところがいいかな、仮に人と出会っても言葉が通じなければ意味が無いからな。あとはそうだなー、あんまり大きくなくていいぞ、大きいのはロプスだけで十分だ、ある意味俺の本当の家はロプスだからな」
「ありがとうございます」
ろぷすが珍しく会話に割り込んできた。
本当の家と言われてうれしかったのかな?
「わかりました、18時間で準備します、お待ちください。気候もそこそこ良くて少しばかり人里の離れたすごしやすい地域を探し出します、お楽しみに」
惑星改造が本職の部隊構成と機材である、整備や建設はもっとも得意な分野である。
「明日の夜は地上で寝れるかー、いやー良かった良かった」
俺は地上時間の早朝、地上に降りた。
転送で降りることもできたのだが、エネルギー消費の面で止めていた。
転送と言ってもワープの応用で極近距離ワープをするようなものだ、距離の差がエネルギー消費に比例するわけではなく、近距離で使うにはあまりにも非効率であった。
それに送ることはできても、帰るには現地に同じくワープ装置がないとだめだからだ。
緊急以外では使うのは止めておこう。
さらに人里から離れた地域なので、見られる可能性も無いと判断し転送を使わないで降りたのだ。
駆逐艦で地上に降りたのだが、駆逐艦でわざわざ降りたのにも理由があった。
エリアスの話では「ドラゴンのような外見の凶暴な生き物がいます、大きさ的には小型艇では危険かもしれません、念のため戦闘艦を使ってください」とのことだった。
そんなものが居るのかと思ったのだが、危険はできるだけ避けるべきである。
最終的には駆逐艦1番艦で降りることとした。
ドラゴンのようなものの攻撃力が解らない場合には、間違いなく安全であると思われる戦力で行くべきである。
「沼か?湖か?」
現地上空に着いて最初に声に出したのはそんな疑問だった。
あたり一面森に囲まれた中に濃い青色の水面が見えたのだ。
「小さい湖と言う感じでしょうか、外周約1キロあります」
答えてくれたのは指揮官アルティシファリクリエイトとして艦隊に配属されているアポロである。
「泳ぐこともできます、水自体は地球のものと同じですから。しかし.…」
「そりゃーいいな、久しぶりに泳ぎたいな」
「泳ぐにはもう少しお待ちください安全対策がまだですので、生息動物に思った以上に危険なものが多いようです」
「そんなにいるのか、ドラゴンみたいなのだけじゃないのか?」
「はい、建設で来た第1部隊は、到着した当初現地生物にしばしば襲われていました。簡単に撃退はできたのですがそれでも何も準備していないのは危険です」
まだ色々と制約はあるようだ。
こんな会話をかわしながら湖の東側に降りていった。
湖畔ではかなり広く木を切り倒し、整地して建物を建て始めていた。
思ったより広いな、もう少しこじんまりしていてもいいかな。
駆逐艦の関係もあって広くスペースを取っているけど、湖底とかに待機させれないだろうか、
かなりの広さをとってしまうし、いつも目に付くところにあるのは気になって仕方が無い。
エリアスとアポロにあとで相談しよう。
そんなことを考えていた。
建設作業は順調に進み昼過ぎには建物は出来上がり、内装にとりかかっていた。
天気も良く、周りを散策しながらノンビリしていた。
こんなゆっくりしたのは久しぶりだなーなんて思いながら・・・。
その後、言葉については地道な調査の成果もあり10日ほどで解決した。