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外伝なのかな?  数百年後のある日-2

投稿ペースものすごく落ちてます。


申し訳ありません。




本伝のほうの続きの投稿も考えています。












ガウスレバス市



ガウスレバス市は学術の町と呼ばれているだけあって若い学生や学者風の人間が数多くいる。


学術院と呼ばれる建物が市の中央付近にあり、そこを中心に街が広がってる。


人口もかなり多く、それにともなって色々な店や宿屋が(のき)を連ねている。


ジークは大通りを町の中心に向かって歩いていた。


「しっかし、のどかなものだな。なにか刺激的なことはないのか?」


「ジーク様、無茶を言わないで下さい。ガウスレバス市は帝国内でも、もっとも治安の良い地域の一つです。平穏なのが一番いいではないですか」


「そんな偽善言うなよ。夜盗とか盗賊なんかが出るほうが面白いだろう」


御付きの二人は『そんなこと本気で思っているのか?』と顔を見合わせてしまった。


「おいお前ら、今日はどこに泊まるんだ?」


「はい、それについては前もって予約しているところがありますのでそこに向かいましょう」


物騒なことを大きな声で言い出しかねないジークをなだめながら3人は歩いていった。





















翌日、食事をしながらジークが「ギルドに行ってみよう」と言い出した。


「ジーク様、なんです?」


「ギルドを知らんのか?」


「いえ、知ってますが、急にどうしたんですか?」


2人の御付兼護衛は顔を見合わせた。ここまでの道すがら何回顔を見合わせたことだろう。


「ギルドに行ったら、この付近の情勢が旅の者にも簡単にわかるのではないか?面白そうな被害の駆除とかが出ているかもしれんだろう」


確かに前半についてはその通りだろう。


冒険者ギルドには色々な依頼が持ち込まれる。


庭掃除から、巨大ベヒィモスや悪竜と呼ばれるものの討伐まで様々だ。


初めていった土地で、そこの情勢を知るためにギルドに行くのは旅なれた者にはある意味常識だ。


しかし後半の『面白そうな被害』と言うのはどうなんだろうか?


ジーク様にしてみれば市井の人々が受けている被害など『面白い』の一言に過ぎないのだろう。


大丈夫なのだろうか?このまま皇位を継ぐようなことになったら…。


「わかりました。特に反対する理由もありませんからこのあと行ってみましょう」


その後朝食を手早く済ませて冒険者ギルドに向かった。



























ガウスレバス市にある冒険者ギルドはかなり大きい。


市の西側にある建物で一番大きいものだった。


高さはそれほど無いがかなりの面積を占めている。


建物の中は受付案内や依頼掲示板、各種手続き、食事もできるようだ。


訓練所やそれに付随する施設まである。


入り口からロビーを見渡しながらジークは驚いた声をあげた。


「帝都にあるギルドより大きいじゃないか。なんでこんな田舎のギルドがこんなに大きいんだ?」


思ったより大きな声だ。


「ジーク様、そんなに大きな声を出さないで下さい」周りの人たちが入ってきた3人に視線を向ける。


午前10時過ぎで人が少なくなってきた時間だが、それでも20~30人ほどの冒険者がいる。


職員の者達は一瞬顔を上げるが、すぐに自分の作業に戻る。


ジークが驚くのも無理は無い。ここガウスレバス市にある冒険者ギルドはある理由によって最大規模の大きさを誇る。


その理由は一部の者しか知らない。


それこそギルド長たる冒険者ギルド頭領やその他実力者、皇帝や帝国最高幹部と呼ばれる人のみである。


金銭だけの実力者はこの『知っている者』には含まれない。




ジークは再度見渡して「それにしてもなんでこんなに広いんだ?!」


入り口はジークたちが入ってきたほかにも見えるだけで2つあり、右から左を見渡すと優に100メートル以上はあるであろう。


護衛の1人がその疑問に答えようとする。


「昔からガウスレバス市の冒険者ギルドは大陸でも最大規模のものだと言われています。なんでそんなに大きいのかはサッパリさんですよ。ギルド職員もその理由を知らないようです」


「ギルド職員も知らないって?じゃあ、意味も無くこんなに大きいのか?」


「冒険者ギルドのマスター、頭領ですね、その人は理由を知っているようですけど誰にも話しません。他のギルド幹部もそれについては口を噤んでいて何も話してくれないんですよ」


「そうなのか?」ジークはかなり面白くなさそうだった。


こんな田舎のギルドがなんで帝都にあるギルドより大きいだ?こんな田舎のギルドなんてちっさな建物で十分じゃないか!


冒険者ギルドは他の職種のギルドよりもその規模が大きく、大陸全体、また他の大陸まで広がっている。


それぞれ特徴のある建物や依頼があるようだが、それでもすべて同一組織でありかなり大きな影響力を誇っている。


ジークは『いつか俺が調べてやる!そしてくだらない理由を突き止めて、帝都のを一番大きなものにしてやる』なんて考えていた。


『帝都にあるものが一番でなければ気にいらない』と言う単純な子供っぽい対抗心からだった。


帝国がお金を出すわけでもなく、支援するわけでもなく、冒険者ギルドに帝都にあるギルドを一番大きくしろと言う圧力をかけようと考えていた。










3人は依頼掲示板を見に行きそこでまたジークが言い出した。


「たいして依頼なんて無いだろうって思っていた通り無いな」


順番に3人は見ていった。


20メートルほどある掲示板は10分の1ほどしか埋まっていない。


しばらく見ていくとなんだこれは?と言う依頼が出てきた。


「ん?なんだ?」


その声を聞いて護衛の2人も同じ依頼張り紙を見た。


『宛て:帝都ギルド』のものと『宛て:帝都王宮』と言う配達に関するものだった。


王宮宛てのもの?こんな田舎のギルドから王宮に何が送られているんだ?


ジークは怪訝な顔をしてそのあとは上の空でギルド内を歩いて回った。


あの依頼に書いてあったあて先の名前は影で使われている皇帝陛下の名前だったからだ。


極秘書類や機密書簡など、皇帝陛下の名前を直接表に出せないときに使われる名前の一つだ。











3人は昼になる前にガウスレバス市を出てキサラギ領のコバタ町に向かった。





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