51話目 大気圏内での戦闘
活動報告には間違って50話と書いてしまっていました。
申し訳ありません。
11日中に投稿できました。
もっと早くしたかったのですが日中思った以上に忙しくこんな時間になりました。
誤字脱字等につきましては転勤後時間を作ってやります。
ご指摘はどんどんしていただきたいと思います。
修正にはしばらくかかること、申し訳ありません。
次話投稿につきましては、活動報告にできるだけ書きたいと思ってます。
ムーン3、内部空間、冬始の月9日早朝
ロプスは焦っていた、以前捕獲したミニ宇宙生物が変化をしだしたからだ。
今まで特に変化も無く、拘束するために必要なエネルギー量も正確にわかり余裕を持ってそれの3倍のエネルギー量で動きを封じていた。
しかし、早朝から宇宙生物が変化しだした。
今ではその変化も終わり、全長が4倍ほどの大きさに変化し、保持しているエネルギー量も格段に増えている。
最初に現れたものとほぼ似たような大きさだ。
エネルギー拘束を力ずくで外し、内部空間にある兵器工場を破壊しながら縦横無尽に飛び回っている。
変化が起きはじめてからすぐに司令には報告を入れ、『最悪の場合は破壊してもかまわない』と命令を受けた。
出来ることなら再度拘束したいが、ムーン3内部に作った空洞内ではできそうも無い。
大掛かりなエネルギーを使っての捕獲作戦では、ムーン3の形がブルーマーブル星からもわかるほど変化してしまうからだ。
ちなみに現在ロプス自体は光学迷彩を併用しながら、ブルーマーブル星から死角になるようムーン3の影に隠れている。
内部での捕獲は無理と判断し、外に出てくるのを待って捕獲することにしたロプスは出てくるであろう地点に艦艇を配置した。
待つこと10分、宇宙生物は予想に反した形で出てきた。
短距離ワープだ!
追い詰められた宇宙生物は普通では考えられない方法で出てきたのだ。
内部の空間にはワープするのに阻害するエネルギーもあり、場合によってはワープできずに自身の内部から破裂してしまう可能性があるからだ。
本能でそのあたりの危険性は感じていたはずだが、追い詰められイチかバチかの賭けに出たんじゃないだろうか。
内部から飛び出した宇宙生物は、ムーン3とブルーマーブル星の間にワープアウトした。
あいだには他の衛星が無く、ブルーマーブル星から丸見えの状態になっている。
地表は今は昼になるところなのでムーン3は『昼間の月』と言った感じにしか見えない。
宇宙生物はまだ小さな点にも見えない状態だが、すぐに黒い点に見えるようになるだろう。
宇宙生物は一気に加速してブルーマーブル星に向かった。
タスクin湖の邸宅、冬始の月9日昼前
ロプスから宇宙生物に関する報告を受け、指示を出しそのあと緊急事態に備えるために湖の邸宅まで戻ってきた。
応接室にあるスクリーンに状況を表示しリアルタイムで見ていたが、こちらの予想に反した方法で宇宙生物が出てきた。
「まずい!」俺は思わず声を上げてしまった。
「ロプス!どういうことだ?!」急いで問いかけた。
「はい、イチかバチかの賭けに出たようです。運よく内部から破裂することなくワープアウトしました」
「なんてこった!」
俺は一瞬考えたが、『考えるより行動しないと今はダメだ、時間が無い。まずはロプスへ行こう』そう結論を出した。
「ロプス、そちらに行くから座標計算を至急頼む。宇宙空間に放り出さないよう頼むぞ」
5分後にはロプス艦内に転送した。
「司令、どうしますか?」
「まず、星に被害を与えずに宇宙生物のみを破壊できる攻撃方法はあるか?」
俺がロプスに確認をする。
「宇宙生物のみを破壊できる攻撃方法は現状ありません。破壊できる攻撃方法ですとブルーマーブル星にも確実に被害が及びます」
「湖の邸宅にある防御シールド発生装置で防ぐことはできないか?」
「はい、あれは宇宙生物から出るエネルギー砲に対処するための性格が強く宇宙生物の質量そのものについては、エネルギーが不足しています」
「そうか、では仕方ないな。宇宙生物は大気圏内での動きはどれほどになる?移動速度なんかだが」
「はい、大気中での速度は音速も出せないはずです」
「わかった、では大気圏内に降りたらこちらも艦艇を数隻緊急降下させてしとめよう」
「わかりました」
「包囲して確実に倒せ、それと惑星に被害が起きないよう気をつけろよ」
「了解しました」
宇宙生物は大気圏突入のための計算をしているわけではないので、地表に降りることはできずに海上に降下した。
しかも、360度数百キロにわたり海のど真ん中だ。
海面まで150メートルの高さまで降下し、回りを索敵し一番近い陸地に向かって移動し始めた。
大海原の真ん中に浮かんでいる巨大生物は明らかに異様だ。
時折映画さながらの『怪獣の鳴き声』が聞こえてくる。
巨大生物の動きが止まった。そして上を見上げるような仕草をしたような気がした。
その直後、東西南北の4方に高さ100メートルに届くんじゃないかという巨大な水しぶきが上がった。
巨大生物からは、一番近いところでも5キロ以上離れている。
「司令、包囲できました」大気圏外にいるロプス艦内で、俺はろぷすの報告を受けた。
「わかった、攻撃開始、質量兵器は使うなよ」
「了解」
海中まで一気に降下した艦艇から、宇宙生物に向けて高出力のエネルギー砲が発射された。
一瞬後斜め下から4本の光の線によって貫かれた。
遠目には一条の光といった感じだが、実際には直径3メートル以上にもなるエネルギー砲だ。
「Gyaaaaaaaa-」怪獣そのものの鳴き声が響き渡ったが、誰も聞くものは居なかった。
80メートルにも及ぶ巨体は徐々に加速しながら落ちていった、最後は海の中に轟音と共に没した。
「迎撃艦艇に残骸の回収を指示、漏らさず回収しろよ」俺は事後処理についての指示をいくつかだした。