48話目 試食会
いろいろ考えることがあって、悩んでいますがとりあえず投稿。
タスクin子供達の建物、食堂にて。 冬始の月5日。夕方
困っていた言葉を聞いて、とっさに返事をしてしまった食べ物仕入れだが、
どうしようか悩んだ結果、安く仕入れれる代わりにちょっと目にしない物になってしまったと言う少しばかり苦しい言い訳で艦隊の食料を少し供出することにした。
村人の中には、『目にしない食品』と言うことで不安になってしまった人もいて、それだったら試食会を開いてみようと言うことになった。
多くの村人に食べてもらおうと言う事で、食堂と廊下にバイキング形式で用意をした。
名目上、仕入れてきた食材だけで料理したと言うことにしている。
「みなさん、用意しましたので自由に取って食べてください」
村人の5分の1ほどが来てくれたようだ、建物に入りきれない人もいるほどだ。
バイキング形式で用意した物には、から揚げ、パスタ、煮込みハンバーグ、グラタン、クロワッサン、ピラフ、ケーキ、コーンポタージュ等々、全部で15種類ほど。
全部地球圏の料理だ。
まさかこれほどの人数が来るとは思わなかったので、1人が食べられる量は思ったほど多くなさそうだ。
しかし口に入れた美味しさには、誰もかれも満足していた。
「こんな美味しいのは食べたべたことがない」「目にしないって言っても、料理したらぜんぜんわからんな」「食材でどうやってつくるの?」「料理の仕方って?」「もっと無いの?」
意見は色々出たが全員に好評だった。
そしてその場に来ていた村人が他に感じたのが、タスクが引きとっている子供達が勉強をしているということだった。
しかも思っていた以上に難しそうなことをだ。
「タスクさん、ちょっといいかい?」マシュリーさんが声をかけてきた。
「どうですか?おいしいですか?」
「ああ、思ってた以上においしいよ。それより聞きたいんだけど、ここで教えている勉強って結構難しいことまでやってるんじゃないかい?」
少し驚いた顔と好奇心が感じられる表情だ。
タスクが勉強を教えているのは知っていたが、思った以上に難しようだ。
「そうですか?そういえばそうかもしれませんね。このあたりではちょっと難しいところまで踏み込んでいるかもしれませんね」
「そうかい…」
マシュリーさんは考え始めた。20秒ほど下を向き、急に黙り込んでどうしたのかと声をかけた。
「どうしたんですか?」
「タスクさん、村の子供達にも勉強を教えてもらえないかい!?」
「へ?あぁ~、別にいいですけど、急にどうしたんですか?」
「食堂かね、そこで壁に貼ってある物を見たら、中央でたまたま見たことのあるやつに似ていたんだよ。しかも確かかなりの年数が経ってから習う内容のものににていたんだよ。そんな難しそうなことをこんな村で教えてくれる人がいるんだったらぜひとも村の子供達にも教えて欲しいんだよ。なに!最初から難しいことを教えてやってくれなんて言わないよ、最初から順番に教えてくれて才能のありそうな子に難しいことを教えてくれればいいからさ」
あとになって聞いたのだが、もう100年近く前にこの村から中央の役人に出世した人が居て、この村のピコの実を帝国中に広めてくれてた。
そしてそれから数年間はピコの実だけでなく普通の農作物も、ガウスレバスのコバタ村産という名でそれなりに高値で取引されるようになったということだ。
勉強ができるのが必ずしも出世に結びつかないことは知っているが、それでも出来ないよりは出来る方が有利であることをこの村の人々は理解していた。
「それに、ちょうどこれから冬になるからどうしても時間が余っちまうんだよ。春まで畑仕事ができないからね」
そのあと、他の村人とも色々なことを話をしていくつも提案を受けていった。
「雑貨や食料を扱う、毎日開いている店をやってくれないかね」「村の中央からここまでの道を綺麗にしないかい」「ここは中に入っても結構明るいけど、みんなの家にもできないかね?」「トイレがぜんぜん臭くないけど俺のところもできるかい?」etc…。
やっぱり皆感じるところがあったのだろう、タスクのところの良さそうなところを『私(俺)の家にもできないだろうか』と一斉に言ってきたのだ。
タスクとしては衛生面や夜間の暗闇の危険など気になっていたので、みんなを前にして言った。
「今日は試食会に来てもらってありがとうございます。ずっと皆さんの話を聞いていましたが食材の仕入れについては問題無いようですね。では予定通り食料の仕入れを致します。それと他にも色々話を聞きました」
皆それぞれ希望の話をしたので『ウンウン』とうなずきながらタスクの言葉に耳を傾けている。
「この場ですべてに返事をすることはできませんが、皆さんの協力や理解があれば出来るだけのことはしたいと考えています。できればこの後何人か残っていただいて詳しく話をしたいと思うんですけどどうですか?」
そう言って村人にいくつかのグループに分かれてもらって、その中から1人代表で来てもらって話をしようと考えた。
村が小さいと言ってもすべての人が一箇所に集中しているわけでは無く、村の中央から西にあたるところ、北にあたるところ、南西にあたるところと村の中でもいくつかの区域に分かれている。
それぞれの区画から代表者を選出してもらって、そうすればすべての人にお伺いを立てなくても効率よく色々決められる。
まぁ、民主主義の初歩中の初歩と言ったところか。区域の代議員と言う感じだ。
結局西の区域、北の区域、南西の区域、村の中央、一番の年長者で村長役、それにタスクの全部で6人で協議をすることになった。
何回か協議を繰り返し、この冬の間、畑仕事ができない期間に村の整備をしていこうとなった。
最初の協議から5日がたっていた。
なんかいろんなことがイヤになりつつあります。