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31話目 保護

今日中に投稿できました。


書き貯めをしていたので投稿するのを忘れるところでした。





タスクin湖の邸宅、夏終の月(だいたい、9月頃)19日



湖の邸宅ではアポロ達が出迎えてくれた。


「久しぶり、アポロ」


「おかえりなさい、司令」


そのまままっすぐ応接室に入り、アポロと話し始めた。


「エリアスから聞いております、ドラゴンと接触をするので?」


「そうだ、どうしても話をしないといけない事情ができた」


「では、本当にドラゴンには知能があるのですね?」


「そのようだ、なんにしろバックアップを頼む」


「それは任せてください、しかし司令がわざわざ出向かれる必要があるので?部下に任せてもいいのでは?」


「そうはいかないようだ、ドラゴンの方で俺を指名してきている」


その後はドラゴンとの接触方法や、場所の選定、バックアップ体制の確認をした。





















結局ドラゴンとの接触はスピーカーを使っての大声で呼びかける接触になった。


だってしょうがないじゃないか、もともとドラゴンに接触する最適な方法なんて知らないんだから。


しかもかなり間抜けだ、「ドラゴンや~~い、いるかー!いたら返事をしてくれ~」なんて真面目に大声で言ってるのだから。


しかし、予想に反して思ったより早くドラゴンが現れた。


「司令、湖の対岸の森の中から大きな生物がこちらに向かってます」


「だろうな、このあたりに住んでいると言っていたようだからな」


ドラゴンは湖の上を飛んでこちらに向かってくる。


見た目は4本の足があり、少し長さのある首、尻尾がそれなりに長い、胴の部分は体の大きさに合うようにかなり太い感じだ。


頭の先から尻尾の先までだったら30メートルを越えるだろう。


10数メートル先に着地をした。俺が話しかける。


「ドラゴンよ、俺を探していたようだが」


「さがしていた?」


「人に俺の捜索を依頼したのではないか?」


「ああ、ちょっと意味合いが違うな、この前村の近くで会った人の子の言葉をそう理解したのだな。ちょっと違うぞ、あの者にそなたの臭いが着いていたので回りに『しれい』と呼ばれる者がいたら話がしたいので教えてくれと言ったのだ。回りに居なければそれで良かったのだ。わざわざ探してまで教えてくれと言ったわけではない」


「そうなのか?俺と話したければ戻ったときに声をかければいいだけだからな」


「そうだ、たまたまあの場でそなたの臭いがしたので、あんなところにいるのだったらなぜ居るのか聞きたかっただけなのだ」


「そうか、わかった。何にしろドラゴンは俺に興味があるのは間違いないのだな?」


「そうだな、我がここに住んで数百年。いかなる者も我を恐れて大っぴらに住み着いたのが居なかったのに、いきなりそなたが現れて人間の建物を建て、生活を始めてしまった。興味を持つなと言うほうが難しい」


「たしかにそうだな」


「それにそなたは我の知らない力を持っている、我が警戒などするのは初めてだ。なのでここ最近になるまでじっくりとずっと観察させてもらっていたのだが…」


「何かあったのかな?」


「数日前から頭がフラフラしていてな、今は大丈夫だ。そなたらの仲間が何か大掛かりなものを運んでからだ」


「なるほど…、ん?そう言えばまだ自己紹介もまだだった。俺はタスクと言う、如月タスク」


「そうであったな、遠くからいつも見ていたのでなんとなく以前から知っているように思ってしまった、我はドラゴン族のウィーディハプストングロキニスバタムだ」


「う…、それはまた立派な名前で」


「そう無理をするな、ウィーディと呼んでくれればいい」


「わかったそうする、それで先ほどの話だが」


「司令」後ろからエリアスが近づいてきた、ドラゴンと友好的に接触できたので近づいてきたようだ。


「ドラゴンから微弱ながら波動エネルギーを検知しています」


「ドラゴンの中から?」


「はい、それで多分なのですがドラゴンの中の波動エネルギーが、先日邸宅の地下に運び入れた小型波動エンジンのエネルギーに当てられたのではないでしょうか」


「なるほど、でも今は大丈夫なのはなんでだ?」


「それは設置完了後回りをシールドで囲みましたから。波動エンジンを地上で使うのですから安全対策は万全にしないといけませんので」


「確かにそうだ、ウィーディよ今の話で解っただろうか?」


「いや、正直なところわからん。そなたらは我の知らないことを平然と話しそして通じあっている。そなたらはいったいなんなのだ?」


「まあそれについてはおいおいと、何にしろウィーディさんよ、あんたの酔い症状は今後は出ないはずだ」


「そうか、それは良かった、また人の領域に行って迷惑をかけたくはないからな」


ドラゴンとの話は楽しいものになった、我々がここにやってきたときからドラゴンは興味をもって見ていた様だ。


我々もドラゴンを警戒していたがドラゴンも我々を警戒していて、お互いに同じことを思っていたこともわかった。


これからはご近所ということで仲良くしましょうとなった。


そしてガウスレバス家の要望を伝えることとなったが、ドラゴン・ウィーディは難色をしめした。


もともとドラゴンは我々に興味があったのであって、それ以外の人には興味が無かったからだ。


しかし最終的には会ってくれることになった、人に魔獣の件などで迷惑をかけたのは間違いがなかったからだ。


ドラゴンのウィーディは月が替わったらすぐに行くと約束をしてくれた。






















タスクinガウスレバス家のコバタ村別荘、秋始の月1日




ドラゴンとの会見はコバタ村で行われることになった。


ガウスレバス市では人が多くドラゴンの巨体が混乱を起こすと思われたからだ。


俺は午前中は村で診療をして(簡易診断装置で見て、エリアスに薬を処方してもらってるだけだが)、午後になり別荘に来た。


診療所の隣にある建物、そこにいる小さな子供達が一緒に行きたいと言って来たが、連れてはいけないと言い聞かせるのに苦労した。


小さな子供達は、俺やエリアスがどこかに行こうとするとどこへでも付いていきたいと言う。


特にエリアスが出かけるとなると泣き出す子供までいる。


ドラゴンは別荘に午後を少し回ったころに来ると言っていた。


関係者、ガルバジとガウバウセレス、カベル、それにセバスが庭に出て待っていた。


そこへ俺が到着した。


セフォリア嬢も別荘に来ているらしいが、ここには居ない。ガルバジから控えるよう言われたそうだ。


「そろそろ来ますかね?」


「そろそだと思います」挨拶もそこそこにカベルが言ってくる、俺が返事を返した。


エリアスが西の方角を見ながら「来たようです」ドラゴンの来訪を伝える。


みな黙ったままだ。


どんどんドラゴンは近づいてくる、西の空に小さく見える影が大きくなってくる。


芝生で覆われた庭に木々を避けて降りてきた。


「ドラゴン族のウィーディだ、 先日の魔獣の一件では迷惑をかけたようだ。ドラゴンが人に迷惑をかけるなどここ数百年なかったことだ。正式に謝罪をする」


「ガウスレバス家当主のガルバジと申します、ドラゴン様。先日の件はどうかお気にされませぬよう、何か事情があったことですし我が領民には犠牲者もありませんでした」


「そう言ってもらえれば助かる」


回りの人々はかなり萎縮している、ガルバジもかなり緊張しているのがわかる。よく今の会話で突っかかりが無かったものだ。


俺はガルバジからの依頼をどうにか果たすことができたので、これ以降はあまり深入りするのは控えようと考えている。


前にも言ったように、ドラゴンと接点を作るだけでそのあとのことは責任は持てないと言っていたのだから。


「ドラゴン様、此度はタスク殿を通じてわざわざ来ていただいたわけですが、単刀直入に言います。我が領地と友誼を結んでいただけないでしょうか」


「なるほど、人から会見したいと聞いたときからそのようなことを言われるのではないかと思っていた。

しかし我がガウスレバス領であったか、そなたらに加護を与えることはないであろう」


「そこをなんとかお願いできませんか」


ドラゴンは一瞬考えたようだ。


「そうだな、我が個人的に気になっているのはタスクのみなのだ、そのタスクが其の方らと友好関係にある限りは加護ではなく保護を与えよう」


「保護ですか?申し訳ありません、『保護』とは聞いたことが無いのですがお教え願えますか?」


「知らぬか、保護とは其の方らの住まう地域を大きな災害から守ると言う物だ」


「それは加護ではないのですか?」


「いや違う、人は加護と保護を混同しているようだな、魔道的霊的に見れば二つは違うものなのだ」


「そうでしたか」


「それでいかがか?我の保護を受け入れるか」


「はい、我々に拒む理由などありません」


「わかった」そう言うとドラゴンは真上に向かって一声吼えた。


薄い青い幕のようなものが空に広がっていった。


「しかし本来であればタスクの力を持ってすれば我の保護など必要ないやもしれぬな」


「…それは?」


「いや、我の独り言だ気にするな」


ドラゴンとの話はそこで終わった、最後にタスクに向かって、「今度静かに話をしよう、静かなところで」と言って飛び立って行った。























感想などがあればお願いします。




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