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25話目 村長の話

仕事が休みです。


2連休なのでこの機会に書き貯め、投稿をしたいと思ってます。


それにしてもつくづく名前のアイデアが無いです。


村の名前何かありませんかね?

あればご意見とか欲しいです。




タスクinガウスレバス北西村






昼前には北西にある村、コシロ村に着くことができた。


村の中央に近い見た目は普通の家で、何件か並んでいる家の一件の前でポラスはドアをノックしている。


出迎えてくれたのは、この村の村長にあたる一番高齢の男性だった。


「ポラス殿、よく来てくださいました!」60歳くらいになっているだろう、今まで出合った人の中では一番高齢に見える。


医療技術が思った以上に発達していないのと、医療を簡単に受けるのがまだまだ特権階級に限られているので平均寿命が思った以上に低いのだろう。


「ハウジさん、お久しぶり、どうしたんですか?今回来たのは定期的に回ってくれる治癒魔導士を案内してきたのですが」


「治癒士殿ですか、それはありがたい!」


「はじめまして、タスクと言います、よろしくお願いします」


「これは、ありがとうございます、治癒士殿が来て頂けるなどもう何年もなかったので助かります」


「そうですか、これからは定期的に来たいと思いますので何かありましたらなんでも言ってください、出来るだけ力になりますから」


「ありがとうございます、さっそく見ていただきたい者がいるのですが、それにしても治癒士殿はずいぶん腰の低い方ですね」


「そうですか?」


「はい、魔術を使う方で庶民にそんなに丁寧な言葉で話されるなんて初めてです」


魔導士は横柄なものだという認識が定着しているんだろうか、まあ筆頭魔導士のマウジリアを見ていると解らないでもないけど。


「それにしてもどうしたのですか、いつもと違うようだが」ポラスが村に入ってから気になっていたことを聞く。


村に入ってから何件かの家が壊れていたり、一部が焼けてしまっている家が目に付くのだ。


「じつは、2日前なのですが普段は森の奥にいるはずの魔獣が村まで来て人を襲ったのです」


「!」


「今までこんなことがなかったのでどうにもできませんでした」


「人を襲ったんですか?けが人は?」


「はい、何人かいますので見てやってください、案内しますので」


そういって村長は村で一番大きな建物に案内してくれた。


感覚的には公民館のようだ、広い広間がありそこには20人ほどの人がいた。一時的な避難所のようだ。


「魔獣に家を壊された者たちです」村長が言った。壊された家にいると危険なのでここに避難しているそうだ。


「思った以上に被害があるようですね、なんですぐに領主様に訴えなかったのです?!」


「昨日訴えに行こうとしたのですが、向かった者が村から少し行ったところで魔獣に襲われ逃げ帰ってきたのです」


「それでは孤立状態じゃないですか」


「ハイ、それでどうしようか思案していたのですが、そこへあなた達が来て下さったわけです」


村長は細かく説明してれた、2日前の夜に森からいきなり魔獣が大量に出てきて村を襲ったのだそうだ。確認できただけで4種類以上、合計20匹以上の魔獣だった。


まったく警戒していなかったので怪我をした者や家を壊された者が出たが、その夜はそれでもどうにか男たちを集めて、明け方頃には魔獣を森に追い返すことができた。


もともと戦闘に不慣れな、普通の平民なのでかなりの苦戦だったようだ。


朝になり領主に知らせようと2人の男がガウスレバス市に向かったのだが、村から離れること500メートルほど行ったところで魔獣に襲われたのだ。


その魔獣は明け方まで撃退していたものの一匹だった、怪我を負わせた箇所を村の男が覚えていたのだ。


魔獣が待ち伏せをしていたのか?待ち伏せと言うより包囲されていると考えたほうがいいかもしれない。


どういうことだ?魔獣が積極的に人を襲うなんて。


ポラスの話ではガウスレバス領内には確かに凶暴な魔獣もいるが手を出さなければまず襲ってくることは無い魔獣ばかりだそうだ。


「とりあえず、けが人の治療をしましょう」そういってけが人を見ていった。思ったよりケガ人は少ないがそれでも10人ほどいるようだ。


我々の治療は実際には魔術ではないので一瞬で治るようなことはない。魔術だったら一瞬で治るのかは知らないが。


しかし極短時間で治すことはできる、ある程度の怪我までだとナノマシンの補助による細胞再生を行うシップのようなものを患部に貼り付けて治す。


ほとんどの怪我だったら5~6時間でどこに怪我をしていたかわからないくらいになる。


同時に急速に怪我を治すために必要な補助剤も服用してもらう、あまりにも急激なため体のなかのエネルギーを急速に消耗してしまうためだ。


怪我は治ったが疲れて立つこともできない、なんてことになりかねない。


重症の者も1人いた、骨折だ。


骨折のような治療は地球圏では治療装置に入って治すのだが、ここには持ってきていなかった。


仕方が無いのでナノマシンと細胞活性剤のみで治療することにする。


この二つの併用だけでもかなり早く治るはずだ。治療装置だったら18時間で治るのだが。


夜には骨折以外の患者は治り、今後の対策について話をすることになった。


「治癒士殿のおかげで皆も元気になりました、ありがとうございます」


「いえいえ、治ってよかった」


「それにしても治癒士殿は怪我を治すのが得意なのですか?怪我のあとも残っていないなんて今まで無かったもので皆も驚いています」


それはそうだろう、ナノマシンが細胞の遺伝子を読み取り、活性化した細胞に働きかけて治すのだ、その際に回りの細胞との調整も行うので跡なんてほとんど残らない。


「怪我のあとは残らないにかぎりますからね」


「たしかにそうですな」


「それでどうしますか、魔獣の対策を」ポラスが言ってくる。


「怪我が治ったものもいますので、男手が40人ほど確保できます」


「そういえば村にくる途中でバウベアがいましたね、もしかしてあれもここを襲った魔獣の仲間なのでは?」疑問に思っていたことを俺が言う。


「そうだと思う、あんなところにいるはずがないからな」


「来る途中にもいたのですか、魔獣が作戦を立てているので?」村長が信じられないような顔をしている。


「そんなことは無いと思う、理由はわからないがまとまっているのは確かだと思うが作戦を立てるようなことはないはずだ」ポラスが考えを言う。


「そうですね、ここに来る途中で出会った魔獣は獲物を狩ろうとしていただけのようですから」エリアスが状況を思い出し話す。


「それではなぜ魔獣があんなにまとまって行動を?」


「それがわからん、一体なんなんだ?」


「なにか束ねるものがいるのかもしれないな」俺がポツリと言う。


「「・・・・・・・・・」」ポラスと村長が、そんなものが居るのは考えたくないという感じで黙り込んでしまった。


「ともかく、領主さまに援軍を送ってもらいましょう」


「それでしたら私が行きます」ポラスが名乗り出た。


「ポラス様が居てくれると村の守りに自信がもてるのですが…」村長の率直な意見だ。


「そうれはそうなのでしょうが…、タスク殿、村を守っていただけないのでしょうか?」


「ポラス様、治癒士殿にそんなことをお願いするのは無理なのではありませんか?」


「普通ならそうでしょうが、タスク殿に限っては違います、 そんじょそこらの魔導士と一緒にしてはいけません、いかがでしょうかタスク殿」


「わかりました、これも人助けですから、村の守りは任せてください」


「お願いします、明日の朝早くに出ます、急いで行きますので遅くても明後日の昼には来れると思います」


「わかりました、それまでは任せてください」


その夜は村人が交代で見張りについた、魔獣が出てくることもあったが数も少なく大きさも小さなものだったので村人2~3人で簡単に撃退できた。


実際には我々が麻痺フィールドに指向性を持たせて村の外に広がる森に照射した。


魔獣の大きさや性質により効き目は違うが、それでも人の5~6倍くらいの生き物までなら動きが緩慢になってしまうくらいの威力だ。


小さなものなら身動き一つとれないだろう。


麻痺フィールドなどの装置を持っているのだから、そのまま退治してしまえばいいのだがあえてそうしないのは、ここに住む人々の問題なのでできるだけここの人達で解決して欲しいと思ったからだ。


手助けは求められればするし、目の前で人が傷つけば治してあげようとも思うがそれ以上はできるだけ手を出さない。


それがここでできるだけ長く交流できる方法だとタスクは考えていた。


以前の話の中でタスクが生き物を殺すにあたり、なんの抵抗も示さなかったのですが、そもそもタスクは軍人ですのでそれなりの訓練は受けています。


もし訓練でもそういった抵抗がぬぐえないのならそもそも外回りの部隊には配属になりません。


宇宙海賊との戦闘が砲撃だけで終わればいいですが、白兵戦になる可能性もあるのです。

もしそうなれば出来る出来ないなんて言ってる間に命を奪われるわけです。

それに圧縮記憶注入を催眠的に利用したりして抵抗感を抑えたり出来るのでほぼ100%殺傷にためらいはおきません。


だからといって道徳感を無くしては意味がないのでそのあたりのアフターフォローも軍では万全だったのです。

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