表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/62

10話目 お嬢様もインフルエンザ?

翌朝、昼少し前、タスクin宿屋



「タスクさん、エリアスさん、お客さんだよ」


宿屋の女将さんがドアの向こうから声をかけてきた。


エリアスが返事をした「わかりました、すぐ行きます」


「お客さんって誰だ?」


「早く起きてください司令」


「わかったよ」


着替えをして宿屋の食堂まで行くとマシュリーさんとその連れ2人がいた。


「おはようございます女将さん、お客さんってマシュリーさんたちですか」


「おはようさん、そうだよさっきから待ってるんだから」


マシュリーさんに近づいていった。


「おはようございます、マシュリーさんどうしたんですか?」


「まずは昨日のお礼だよ。みんな今朝には熱も下がって元気になったよ、しかも病気になる前より血色が良くなった感じもするんだよ」


(なるほど、薬に含まれている体力回復成分もしっかり効いたんだな)


「それは良かったです、エリアスも来ますので教えてあげてください」


そう話しているところにエリアスもやってきた。


「エリアスさん、昨日はありがとう、みんな元気になったよ」


「そうですか、良かったですね」


「ほんと助かったよ」そう言ってるところで一緒に居る人がマシュリーさんの肩をたたいて声を掛けている。


「そろそろいいだろうか」


「そうだったね」一緒にいる人(男性)に返事をしている。


連れは男性と女性だった。


「じつはね、この村に病気療養にきているお嬢様が村人がかかった病気と同じような症状になってしまったらしいんだよ」


男性が続けて話をしてくる。


「はじめまして、ガウスレバス男爵家の護衛役をたまわってるカベルと言います、うちのお嬢様が2日ほど前から熱が出だしてしまったのです」


そこまで話を聞いたところでマシュリーさんも説明をしてきた。


「だそうなんだよ、それで今朝なんだがこっちの女中さんが」


もう一人の連れの女性を指しながら、


「昨日まで高熱で寝込んでいた子供たちが、朝には元気に走り回ってるのを見てどうやって治ったのか聞いてここまで来たってことさね」


女中さんがお辞儀をしている。女中さんはお嬢様が村に滞在中交代で奉公に行っている村人なのだそうだ。


村のことでわからないことがあれば村長かマシュリーさんに聞けと言う事でここの宿屋がすぐわかったそうだ。


「そうなのです、この者が病気が一夜で治ったと屋敷で話しているのを聞いてここまで来たしだいです。どうか(うち)家のお嬢様も治していただけないでしょうか」


カベルさんが頭を下げてくる、お偉いさんだったら命令形で言ってくる場合もあるのだろうがこの人は実に礼儀正しいようだ。


肩書きをかさにきて高圧的に言ってきたら追い返すかもしれないが、こうこられては断る理由も無い。


「わかりました、エリアス用意して行こうか」


「わかりました、準備してきますね」


「たのむ」


そこまで話して肝心なことを言うのを忘れていた。


「自己紹介がまだでしたね、如月タスクといいます、準備できしだい行きましょう」



















カベルin宿屋






マシュリー女史の案内で宿屋にきたが、ここに滞在しているのだろうか?


少ししたら男性がきた、特別背も高いわけではないな、恰幅が良いわけでもない、鍛え上げられてる感じではないがそれでも均整は取れている。


治せるということは薬師だろうか、それとも治癒系の魔導士だろうか?


なんにしても、そんな人が商人として動いているのだから何か事情があるのかもしれない。


「おはようございます、マシュリーさんどうしたんですか?」


男がマシュリー女史に話しかけている、ずいぶん気さくな感じだな。


「まずは昨日のお礼だよ、みんな今朝には熱も下がって元気になったよ、しかも病気になる前より血色が良くなった感じもするんだよ」


そこまでは聞いていなかった、驚きだ。


「それは良かったです、エリアスも来ますので教えてあげてください」


2人は親しげに話しているな、向こうから女性も来た、かなりの美人だ。


「エリアスさん、昨日はありがとう、みんな元気になったよ」


女性はエリアスと言うのか、普通に話しに加わったな。


「そうですか、良かったですね」


こちらの用件も進めてもらわねば、話の邪魔をするのは心苦しいが。


「ほんと助かったよ」そう言ってるところでマシュリー女史の肩をたたいた。


「そろそろいいだろうか」


「そうだったね、実はねこの村に病気療養にきているお嬢様が村人がかかった病気と同じような症状になってしまったらしいんだよ」


どうにかこちらの用件に入ることができたな。まずは自己紹介からしなければ、印象が悪いと助けてくれないかもしれない。


「はじめまして、ガウスレバス男爵家の護衛役をたまわってるカベルと言います、2日ほど前から熱が出だしてしまったのです」


マシュリー女史も続けて説明してくれる、こちらと同じ立場で話してくれるのは助かるな。


「だそうなんだよ、それで今朝なんだがこっちの女中さんが」


当家に来ている女中を指しながら、


「昨日まで高熱で寝込んでいた子供たちが、朝には元気に走り回ってるのを見てどうやって治ったのか聞いてここまで来たってことさね」


女中がお辞儀をしている。


「そうなのです、この者が病気が一夜で治ったと屋敷で話しているを聞いてここまで来たしだいです。どうか家のお嬢様も治していただけないでしょうか」


頭を下げてお願いをする、医者や魔導士相手だと特別な肩書きが無いときは平身低頭するにかぎる。


「わかりました、エリアス用意して行こうか」


簡単に快諾してもらえた、思ったより接しやすい人なのかもしれない。


「わかりました、準備してきますね」


「たのむ」


ん?最後のやり取り、上司から部下への了承のような感じだ、軍隊と似た感じを受けたがどういう人たちなのだ?


なんにしてもお嬢様の病気を治してもらわねば、いらぬことを言って機嫌を損ねられてはたまらない。


必要なことだけにとどめておこう。


「自己紹介がまだでしたね、如月タスクといいます、準備できしだい行きましょう」


そういえば、こちらの話ばかりで名前を聞くのも忘れていた。























タスクinお嬢様のお屋敷




村はずれに豪奢な建物があった、中央広場から歩いて30分くらいのところだ。


綺麗に手入れが行き届いている雑木林の中だ。


(こんなところがあるとは知らなかったな)そんなことを思いながら建物の中に入っていった。


「カベル殿、おかえりなさいませ」


出迎えてくれたのは30代半ばくらいに見える男性だった。


「家令どの、村で治療に当たっていた人を連れてまいりました、キサラギ殿です」」


治療なんてたいそうなことは何もやってないんだけどな、それにエリアスもただ症状を確認して薬を飲ませただけだし。


家令と呼ばれた人がこちらに視線を向けて挨拶してくる。


「いらっしゃいませ、ガウスレバス家の家令を勤めているアウシュレバンと申します」


なかなか感じとれないが表情に、大丈夫なのか?と言う感じが時折見られる。


家令とカベルは視線を合わせてわずかにうなずきあっている。


「キサラギです、よろしくお願いします」


エリアスがさっそく本題に入り案内をお願いしている。


「こちらです、どうぞ」


家令に案内されて屋敷の奥に進んでいった。


外から見るより中は思った以上に広かった、雑木林に隠れているのもあって大きさを測り間違ったようだ。


「この部屋におります」そう言ってドアをノックした。


「アウシュなのだが、入っても良いか?」


「はい、どうぞ」中から女性の声が返ってきた。


中には看病についている女性がいた、紹介によるとガウスレバス家から連れてきている女中さんとのことだ。


豪奢なベットには20代前半だろうか女性が寝ていた、熱が高いのだろう意識もあまりないようだ。


「ではさっそく始めますので皆さん少し離れてください」エリアスがそう言った。


カバンの中から簡易診断装置を取り出して彼女に向けた、俺はエリアスの横についてそこに表示される内容を確認していった。


「熱が41.5度?かなりの高熱だな、病気はインフルエンザか、村の人たちと同じだな」


「そうですね司令、それに多分ですがここに療養に来ているといっていましたが、多発性皮膚炎で来ているではないでしょうか」


「そうなのか?地球圏では数千年前に聞かれなくなったんじゃないか」


「そうですね、その療養に来ているここでインフルエンザにかかってしまったと思われます」


「わかった、ともかくインフルエンザの薬を」


「わかりました」


カバンの中から村人にも飲ませた薬を出し、


「家令さん、この薬を飲ませてもらえますか」


「わかりました」そういって女中に水を用意させ、少し女性を起こして飲ませた。


「半日ほどで回復してくると思います、回復してきましたら無理はさせずに消化の良い食事を摂らせてください、彼女は村の人より症状が重いですから」


エリアスの説明をしっかり聞き「わかりました」と返事が返ってきた。




部屋から出て家令にエリアスがさらに問いかけた。


「家令さん、彼女は皮膚の病気でここに療養に来たのではないのですか?」


「わかりますか、あんな魔道具を使うのですからわかりますよね」


ここでも魔道具と言う言葉がでてきた。


「子供のころから皮膚が突然炎症を起こしたり、水ぶくれができたり、何もしてないのに手のひらくらいの広さから血が出てきたりするのです」


「やはりそうですか」


「はい、その病気でお嬢様はずっとつらい思いをしてまいりました」


それまで家令に向かって話していたのだが、急に俺のほうに向きを変えて小さな声で話しかけてきた。


「司令、皮膚炎も治療しましょうか」


ずっと話を聞いていて俺もどうにかしてあげたいと思ってはいた。


「いいんじゃないか、インフルエンザが治ったらそっちの治療をしても」


「ただですね、年齢が23歳なので症状がかなり固定されている可能性があります、湖の屋敷でないと無理かもしれません」


「そうなのか、それはちょっとまずいな、どうにかならないか?」


「何か方法を考えますか」


「そうしてくれ」


エリアスはそこまで話をすると家令に向きなおり、治療について話がしたいのでどこか落ち着けるところがないか聞いている。






















村での交流を今回で終わらせようと思っていたのですが、思った以上に長くなってしまいました。


次ももう少し村が続きます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ