はじまり
人類が故郷の地球を飛び立ってからかなりの年月が経っている。
人類は地球を故郷として生まれ育ち、そして大宇宙に広がっていった。
幾多の星に移住し、1000とも2000とも言える星に住んでいた。
人類が住む上で最初から居住可能な惑星はほとんど無く、宇宙に進出しだしたころは増えすぎた人口を養うことができないのでは無いかと言われていた。
はじめのころは、最初から居住可能な惑星を見つけてそこに移住していたからだ。
しかし、しばらくしてやはり『最初から居住可能惑星は少なすぎる!!』と言うことで、惑星改造技術の開発に本格的に着手することになった。
惑星改造の技術が確立したころから、今度は宇宙海賊の被害が出てきだした。
惑星を改造するくらいなのだから、その資材の量は膨大だ。
技術も最新のものが使われている。それを狙ってきたのだった。
海賊対策として、護衛艦隊をつけることにさして時間はかからなかった。
宇宙暦15756年 臨時惑星改造艦隊
「次の改造はどこかな?」
昨日まで行っていた惑星改造を終え、如月タスク艦隊司令は次の予定を確認しだした。
惑星改造が普通の技術として使われるようになってからすでに1万年以上がたっている。
今では惑星改造そのものが少なくなってきた、
銀河系は広く2000億の星はまだまだ残ったままだ。
如月タスクはそんな少ない仕事に従事する一人だった。
惑星改造は、今では護衛艦隊をつけなければいけない関係もあり軍が行っていた。
海賊行為は年月を経ても結局無くなることはなく、かといって軍事的な脅威と言えるような勢力でも無く、軍自体は縮小している傾向ではあったが。
「えーと、銀河中心方向に125光年先の・・・・」
「γARRORR恒星系にある第6惑星です」
俺の疑問に副官のエリアスが答えてくれた。
「微妙な距離だなー」
「そうですね、でも次が終わるとしばらく休暇がもらえますよ」
「そうか! では早く出発して、さっさと終わらせて休暇を満喫するとするか」
惑星改造は、今ではほとんどオートマシンで作業ができるようになった。
そして資材も改造している惑星から随時補充しながらで行っている。
簡単に改造改造と言っているが、実際に直に見ると圧巻のひとことである。
高さ数百メートルにもなる建設機械や、同じく幅が数百メートルもあるマシンが数十台稼動しているのだから。
それに伴い艦隊もオート化が進んでいる。
タスクの艦隊も人間と言われるものはタスク一人である。
エリアスは人型アンドロイド、アルティシファリクリエイトなのだ。
アルティシファリクリエイトと言っても外見だけではなく、話し方や思考も人間と区別がつかない。技術力の賜物である。
しかも結構美人タイプである、スタイルは好みとしてはもう少し胸が・・・、まぁアルティシファリクリエイトだし関係ないか。
当然人間が居ないので、唯一いる人間が艦隊司令となる。
「それにしても、なんで急に惑星改造をこんなに続けざまにやらないといけないんだ?」
「以前にも言いましたよ」
「そうだっけ?」
「エリア113宙域から115宙域にかけての惑星で、人口爆発が想定されるからです!」
「はぁ…、ポコポコ子供を作りやがって、俺なんてもうすぐ30になるって言うのにまったく話がないよ」
「指令は独り身が好きなのだと思ってました」
「そんなことはないよ、でも特にモテル努力はしたこと無かったな」
「指令は顔も悪いわけではないですし、どうしてなんですか?(良くもないけどとは言えないな)」
「まあね、職業的に今のご時勢軍人は人気ないよな」
「確かに、人気の無い職業ですよね。でもなんで軍人になったのです?」
肯定の返事とともに疑問の言葉が返ってきた。
「なんとなくかな、そしてそんな環境に慣れてしまったってことかな」
大きな軍隊は必要ではないが、それでも無いと困る。
でも募集をかけてもなかなか集まらない、募集担当官は困っていたがどうすることもできずにいた。
全部|アルティシファリクリエイト《人工的に造られた者》でまかなえばいいじゃないかと思われるかもしれないが、民衆心理としてそれは受け入れられなかった。
それには、数百年前におきた事件が関係していた。
その事件以降、機械による暴動などは金輪際ゴメンだ!と意見が浸透してしまったのだ。
人間が居れば事件が起きない、となればなおさらである。
タスクは、なんとなく受けた軍には内定通知をもらい(まぁ、軍は受ければ危険思想とかの持ち主でなければまず採用なのだが)、
軍に行きたいとも思っていなかったが、他の職を探すのも面倒で結局そのまま就職してしまった。
典型的な面倒くさがりである。
「さて、そんな話はどうでもいいから次に向かうとしますか、準備出来次第発進ということで」
「わかりました司令」
全長17900メートルにもなる旗艦ロプス、
それにドッキングする、惑星改造作業艇全長500メートル級が両脇とその後方に合計4隻、
宙域警戒のために広範囲に出していた自立思考型護衛巡洋艦10隻と同じく自立思考型護衛駆逐艦40隻の半数をロプスに収納、残りを護衛の為旗艦の回りに配置していく。
すべての準備にもうしばらくかかりそうだ。
巨大な窓から格納しようとしている戦闘艦を見ながらタスクは「準備できたら起こしてね」と言い残して寝室に向かった。
「司令、起きてください、準備完了しました」
エリアスが艦橋からのインカムで起こしてきた。
「んんー・・ハイハイ わかったよー」
少し伸びをしながらベットから体を起こし返事をした。
艦橋に戻り「何か変わったことはあったかな?」とエリアスに声をかけた。
「銀河中心方向よりいつもより強いエネルギー流がきていますが、航行には影響は無いようです」
「そうか、では出発するか」
「ハイ」
ひとつ息を吸い込んでから俺は声を発した。
「発進!」
掛け声から10秒ほどして船体が動き始めた、艦が巨大なため動き始めるまで若干時間がかかってしまう。
対G吸収装置があるので体感ではわからないが膨大なエネルギーによる急速な加速である、随行している護衛艦との距離が微妙に動いているのを見て船体が動いているのを感じることができる。
移動しだしてから2時間ほどして、
「司令」
「なんだ?」
俺はエリアスの声に返事を返した。
「前方に空間湾曲があります、先ほどのエネルギー流の影響かと思われます」
「まずい状況なのかな?」
「ハイ 記録としては4279年前に確認されたものと酷似しています」
「へ?なにそれ?」
俺はちょっと間抜けな声を出して返した。
「4279年前の空間湾曲の現象は当時の第3艦隊が遭遇して、飲み込まれたとあります」
「それで?」
「ハイ、それで空間跳躍現象がおきて銀河中心をはさんだ丁度反対側に出たとあります」
「それはまたずいぶんと」
宇宙時代に入りワープ航法は確立されて、ある程度の距離はごく短い時間で移動できるようになっていた。
それでも技術力の限界に行き着き、ワープ航法の一回の最長飛距離は3万光年が限度となっている。
「ハイ その現象で特筆されることは、私たちの行っているワープ航法とは違いまったくのタイムラグ無しで飛んだと言う事です」
ワープ航法はたしかに一挙に数光秒から数万光年を跳躍できるが、それでもまったく時間がかからないわけではない。
距離が長くなればそれなりに時間がかかるのだ。大体1万光年3ヶ月ほどかかると思ってもらっていい。
ワープ中は船内でその期間、ヒマをつぶしながらす過ごさないといけない。
先ほどの話では、どこから飛んだのかはよく解らなかったが、人類の生存宙域分布から考えると最低でも4万光年は飛んだことになる。そんなことを頭のなかで考えていた。
「なんと!? それはまたすごい話だ、具体的にはどれぐらい飛んだのかな?」
「ハイ γAAAIOA恒星系からですので約5万2千光年ほどです、第3艦隊は地球圏管理宙域まで戻ってくるのに約1年4ヶ月かかったそうです」
俺は少し唾を飲み込んだ、
「そんなのにの飲まれたらたまったものじゃないな、逃げなきゃ!」
「ハイ わかりました指司令」
すぐに旗艦ロプスと護衛艦は方向を変えだした。
変えだした直後エリアスから妙に冷静な声がきた。
「司令、湾曲が広がってきます」
「なんだって?、逃げ切れるか?」
「エネルギー流が広がりを加速しているようです、あと2分30秒でつかまります」
「緊急ワープ間に合うか?」
「先に方向転換にエネルギーを使ったので間に合いません、前もってエネルギー充填していなかったので無理です」
「なんてこった、つかまったら俺も戻るのに何年もかかるんじゃないか!?」
「その可能性は高いです」
冷静な声でやはり返される
「くそー!」
なんだってこんなときに冷静な声で言ってくるんだ、もう少しいつもみたいに感情が感じられるように言えないのか!?とどうでもよいことを思いながら旗艦ロプスと周辺の艦が飲み込まれていった。
慣れていなく読みにくいこともあると思います。
あたたかく見ていただければと思います
ジャンルとかキーワードとかおかしなところがあれば教えてもらえれば幸いです。
なにぶん初めてなのでこの投稿もおっかなびっくりしています。