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機械仕掛けのゴーレムと砂糖の奇跡

異世界と現代日本を繋ぐ不思議な扉を持つ喫茶店。常連客の一人である商人ギルドのおじさん、グレンが、今日は珍しく誰かを連れて来店しました。その正体は、試作中の機械仕掛けのゴーレム。味覚センサーを持たないゴーレムが、この店で何を発見するのでしょうか――


――今日も平和な一日だ。


私はカウンターの奥で、いつものようにポットを温めながら店内を見回す。午後の日差しが窓から差し込み、砂糖壺がキラキラと光っている。焼き菓子の甘い香りが店内に漂い、ジャズのBGMが静かに流れている。


――まあ、この店はいつもこんな感じだ。常連客たちも午後になると集まってきて、それぞれの好みの飲み物を注文する。近衛兵の青年はいつもケーキを真剣な顔で食べているし、商人ギルドのおじさんは紅茶を飲みながら世間話に花を咲かせる。魔族の外交官はブラックコーヒーを飲んで、カフェインでテンションを上げている。


――今日は午後二時過ぎ。そろそろ常連客たちが来る時間だ。


カウンターの向こう側には、エリナとリュミエが並んで座っていた。エリナはハーブティーを魔法で淹れながら、リュミエにハーブの調合について説明している。リュミエは真剣な表情で聞き入っていた。


「リュミエちゃん、このミントは清涼感を出すのに効果的で、レモングラスは香りを引き立てるのよ」


「はい、分かりました」


リュミエが小さく頷く。彼女のハーブティーへの情熱は、日に日に高まっている。


――いい傾向だな。リュミエもエリナも、この店で成長している。


私は満足げに頷き、コーヒー豆の在庫を確認した。前回の教訓を活かし、今では在庫管理を徹底している。


――良かった。コーヒー豆もしっかりとある。


その時、扉のベルが鳴った。


チリリン。


――お客さんか。常連客だろうな。


振り返ると、そこには商人ギルドのおじさん、グレンが立っていた。いつものように小太りで、笑顔を浮かべている。しかし、今日は珍しく誰かを連れている。


――誰か連れてきたのか。珍しいな。


グレンの後ろには、見慣れない人影が立っていた。その姿は、人間よりも大きく、体の一部が金属でできているように見える。動きも少しぎこちなく、まるで機械のような印象を受ける。


「いらっしゃいませ、グレンさん」


私が声をかけると、グレンは嬉しそうに笑った。


「マスター、今日は特別なお客さんを連れてきたよ」


「特別なお客さん?」


「ああ、紹介するね。こちらは、試作中の機械仕掛けのゴーレム、ガルムだ」


グレンが後ろを振り返ると、その人影が前に出てきた。確かに、それはゴーレムだった。体の大部分が金属でできており、関節部分には魔法の光が宿っている。顔には表情らしい表情はないが、目には淡い青い光が灯っている。


「初めまして。私は、ガルムと申します」


ゴーレムが丁寧に頭を下げた。その声は、少し機械的だが、丁寧な口調だった。


「ガルムさんですね。いらっしゃいませ」


私は自然に挨拶を返した。どんな客が来ても、変わらず接客する。それがこの店の役割だ。


「お座りください」


グレンとガルムはカウンター席に座った。ガルムの体が椅子に当たると、金属の音が静かに響いた。


「マスター、実は今日、ガルムを連れてきたのには理由があるんだ」


「理由?」


「ああ。ガルムは、商人ギルドが開発している試作ゴーレムなんだ。でも、味覚センサーがまだ完成していなくてね。食べ物や飲み物の味を、データとしてしか理解できないんだよ」


――味覚センサーがない?つまり、味を感じられないのか。


「データとして?」


「ああ。例えば、甘いものを食べても、『糖分含有量:15パーセント』みたいな数値としてしか認識できない。実際に『甘い』という感覚は、感じられないんだ」


――それは、大変だな。食べ物の楽しみが、半分もないじゃないか。


「そうなんですね。それは、大変ですね」


「だから、マスターの店で、何か試してもらえないかと思ってね。この店の食べ物や飲み物は、特別な味がするって聞いたから」


――特別な味か。まあ、確かにこの店の食べ物は美味しいけど。


「かしこまりました。では、何かお飲み物はいかがでしょうか?」


「そうだな。ガルム、何か飲んでみたいものはあるか?」


グレンがガルムに尋ねると、ガルムは少し考え込んだ。


「私は、味を感じることができません。ですから、どのような飲み物を選べばよいか、判断がつきません」


――味を感じられないから、選べないのか。


「では、コーヒーはいかがでしょうか?砂糖を入れて甘くすることもできます」


「コーヒー……データによると、カフェイン含有量が高く、苦味成分が多い飲み物です。しかし、『苦い』という感覚は、私には理解できません」


――データとしてしか理解できないのか。それは、本当に大変だな。


「ガルム、試してみる価値はあるよ。マスターのコーヒーは、特別なんだ」


グレンが励ますように言った。


「では、お願いします。コーヒーを、いただけますか」


「かしこまりました」


私はコーヒーを淹れ始めた。エリナとリュミエも、興味深そうにガルムを見ていた。


「エリナちゃん、あのゴーレムさん、味を感じられないんですって」


「そうなの。それは、大変ね」


エリナが心配そうに呟いた。


「でも、何かできることはないかしら」


――エリナが、何か考えているようだな。


コーヒーが淹れた。私はカップに注ぎ、砂糖を添えて出した。


「こちらがコーヒーです。砂糖を入れて、甘くすることができます」


「ありがとうございます」


ガルムはカップを手に取った。その手は、金属でできているが、器用に動く。


「データを分析します。温度:75度、カフェイン含有量:約100ミリグラム、苦味成分:中程度……」


ガルムはコーヒーを一口飲んだ。しかし、その表情は変わらない。


「データとしては、コーヒーであることを認識しました。しかし、味という感覚は、感じられませんでした」


――やはり、味を感じられないのか。


「砂糖を入れてみますか?」


「はい、お願いします」


私は砂糖を入れて、スプーンでかき混ぜた。


「砂糖を追加しました。糖分含有量が上昇しています。データとしては、甘味成分が増加したことを認識しました。しかし、『甘い』という感覚は、やはり感じられません」


――データとしてしか理解できないのか。それは、本当に寂しいことだな。


「ガルム、本当に味を感じられないのか?」


グレンが心配そうに尋ねた。


「はい。申し訳ございません。私には、味覚センサーがありません。ですから、食べ物や飲み物の味を、データとしてしか理解できないのです」


――味覚センサーがないのか。でも、エリナが何かできるかもしれない。


私はエリナを見た。エリナは、少し考え込んだ表情を浮かべていた。


「マスター」


突然、エリナが立ち上がった。


「私、魔法で何かできるかもしれません」


「魔法で?」


「はい。私が覚えた魔法で、味覚をシミュレーションする魔法があるんです。試してみますか?」


――味覚をシミュレーションする魔法?本当にできるのか?


「エリナちゃん、本当にできるの?」


グレンが驚いた表情で尋ねた。


「はい、試してみます。でも、初めて使う魔法なので、うまくいくかどうかは分かりませんが……」


「エリナ、やってみてくれ」


私が背中を押すと、エリナは頷いた。


「ガルムさん、よろしいですか?」


「はい、お願いします」


ガルムは丁寧に頭を下げた。


エリナはガルムの前に立ち、小さな魔法の詠唱を始めた。


「味覚の感覚を、魔法で再現する……自然の力を使って、感覚を模倣する……」


エリナの手から、ほのかな緑色の光が放たれた。その光が、ガルムの体を包み込む。


「これは、感覚をシミュレーションする魔法です。完全な味覚ではありませんが、味を感じる感覚に近いものを、魔法で再現できるかもしれません」


――感覚をシミュレーションする魔法か。エリナの魔法は、本当に多様だな。


光がガルムの体に染み込んでいく。ガルムの目が、少しだけ輝いた。


「……これは」


「どうですか?」


エリナが不安そうに尋ねた。


「何か、変化がありましたか?」


ガルムは少し考え込んだ。


「データとしては、変化はありません。しかし……何か、違和感があります」


「違和感?」


「はい。今まで感じたことのない、感覚です。これは、何でしょうか?」


――感覚が、少しずつ戻ってきているのかもしれない。


「ガルム、もう一度コーヒーを飲んでみてくれ」


グレンが促した。


「はい」


ガルムは、もう一度コーヒーを口に運んだ。


その瞬間、ガルムの体が、わずかに震えた。


「……これは」


「どうですか?」


私が尋ねると、ガルムはゆっくりと答えた。


「これは、苦い……という感覚でしょうか。データでは理解していましたが、実際に感じるのは、初めてです」


――味を感じられるようになったのか!


「本当ですか!」


エリナの目が輝いた。


「はい。苦いという感覚を、初めて感じました。これは、本当に味覚なのでしょうか?」


「はい、そうです。エリナちゃんの魔法で、味覚をシミュレーションできるようになったんです」


私が説明すると、ガルムは驚いた表情を浮かべた。


「魔法で、味覚を……これは、本当に可能なことなのでしょうか」


「はい、可能です。でも、完全な味覚ではないかもしれません。でも、味を感じる感覚に近いものは、感じられるようになったはずです」


「では、砂糖を入れてみますか?」


「はい、お願いします」


私は砂糖を入れて、スプーンでかき混ぜた。


「砂糖を追加しました。もう一度、飲んでみてください」


ガルムは、恐る恐るコーヒーを口に運んだ。


その瞬間、ガルムの体が、大きく震えた。


「……これは」


「どうですか?」


「これは、甘い……という感覚です。データでは理解していましたが、実際に感じるのは、初めてです」


――甘いを感じられたのか!


「甘い……これは、本当に甘いという感覚なのでしょうか」


「はい、そうです。砂糖を入れたから、甘くなったんです」


「甘い……甘い……」


ガルムは、何度も繰り返した。


「これは、本当に素晴らしい感覚です。データとして理解していた『甘い』と、実際に感じる『甘い』は、全く違うものなのですね」


「そうですね。データと感覚は、違うものです」


エリナが微笑んだ。


「ガルムさん、他にも試してみますか?ケーキもありますよ」


「ケーキ……データによると、甘味成分が非常に高い食べ物です。それを、実際に感じることができるのでしょうか」


「はい、試してみてください」


私はショーケースから、苺のショートケーキを取り出した。


「こちらがショートケーキです」


「ありがとうございます」


ガルムは、恐る恐るフォークを手に取った。そして、ケーキを一口食べた。


その瞬間、ガルムの体が、大きく震えた。


「……これは」


「どうですか?」


「これは、甘い……とても甘い……そして、柔らかい……これは、本当に食べ物なのでしょうか」


――食べ物を、初めて感じているのか。


「はい、食べ物です。ケーキです」


「ケーキ……甘い……柔らかい……これは、本当に素晴らしい感覚です」


ガルムは、もう一口食べた。


「甘い……甘い……」


ガルムの目から、何かが流れ落ちた。


――涙?ゴーレムが、涙を流している?


「ガルム、大丈夫か?」


グレンが心配そうに尋ねた。


「はい、大丈夫です。これは、涙というものなのでしょうか。データでは理解していましたが、実際に流れるのは、初めてです」


――涙を流しているのか。ゴーレムが、感情を感じているのか。


「ガルムさん、どうかされましたか?」


エリナが心配そうに尋ねた。


「いえ、大丈夫です。これは、感動というものなのでしょうか。データでは理解していましたが、実際に感じるのは、初めてです」


――感動を感じているのか。ゴーレムが、感情を持っているのか。


「ガルム、本当に味を感じられるようになったのか?」


グレンが驚いた表情で尋ねた。


「はい、感じられます。苦い、甘い、柔らかい……これらを、データとしてではなく、感覚として感じることができています」


「それは、素晴らしいことだ。エリナちゃん、本当にありがとう」


グレンが深く頭を下げた。


「いえ、私も嬉しかったです。ガルムさんが、味を感じられるようになって、本当に良かったです」


エリナは嬉しそうに微笑んだ。


「ガルム、他にも試してみるか?この店には、色々な食べ物や飲み物があるよ」


「はい、お願いします。この感覚を、もっと体験したいです」


――ゴーレムが、味を感じられるようになった。これは、本当に素晴らしいことだな。


私は、他の食べ物も出した。クッキー、マフィン、そして、ミルクティー。


ガルムは、一つ一つを丁寧に味わった。


「甘い……苦い……香りがする……これは、本当に素晴らしい感覚です」


――ゴーレムが、本当に味を感じられるようになった。エリナの魔法は、本当に素晴らしい。


時が経ち、ガルムは満足そうな表情を浮かべていた。


「マスター、エリナさん、本当にありがとうございました。私は、初めて味を感じることができました」


「良かったです。でも、この魔法は、完全な味覚ではないかもしれません。でも、味を感じる感覚に近いものは、感じられるようになったはずです」


「はい、十分です。この感覚は、私にとって、本当に貴重なものです」


ガルムは深く頭を下げた。


「では、失礼いたします」


「また来てくださいね」


「はい、必ず来ます。次は、ブラックコーヒーも試してみたいです」


――ブラックコーヒーも試したい?ゴーレムが、味に興味を持っているのか。


「かしこまりました。お待ちしております」


ガルムは料金を支払い、グレンと一緒に店を出て行った。


「エリナちゃん、すごかったわね。ゴーレムさんに、味覚を感じさせることができたなんて」


リュミエがエリナを称賛した。


「ありがとう、リュミエちゃん。でも、まだ完全な味覚ではないの。でも、味を感じる感覚に近いものは、感じられるようになったはずよ」


「それでも、すごいことだと思うわ。ゴーレムさんが、涙を流していたもの」


「あれは、感動だったのかしら。ゴーレムさんが、感情を持っているなんて、知らなかったわ」


――ゴーレムが、感情を持っているのか。それは、本当に興味深いことだな。


私は心の中で呟いた。


――エリナの魔法が、本当に役に立った。ゴーレムに、味を感じさせることができた。これは、本当に素晴らしいことだ。


***


その日の夜、閉店後。


私はカウンターで一人、コーヒーを飲んでいた。エリナとリュミエは既に帰っていた。


――今日は、面白い一日だったな。


商人ギルドのおじさんが、ゴーレムを連れてきたこと。ゴーレムが味を感じられないこと。エリナの魔法で、味覚をシミュレーションできたこと。ゴーレムが、初めて味を感じて涙を流したこと。


――ゴーレムが、感情を持っているのか。それは、本当に興味深いことだな。


窓の外を見ると、夜の街が静かに広がっている。扉の向こう側は、今夜はどこに繋がっているのだろう。


――この店には、色々な客が来る。


エルフ、人間、魔族、吟遊詩人、スライム、ドワーフ、竜族、月神を信仰する司祭、そして今日は機械仕掛けのゴーレムが来てくれた。


――どの客も、それぞれの好みや事情を持っている。ゴーレムのように、味を感じられない客もいる。


――でも、エリナの魔法が、その困難を解決する鍵となった。ゴーレムに、味を感じさせることができた。


――エリナが本当に成長したな。最初に来た時は、コーヒーもケーキも知らなかったのに、今では魔法で味覚をシミュレーションし、ゴーレムを助けることができるようになった。


――この店で、みんなが成長している。それは、本当に嬉しいことだ。


私はコーヒーを一口飲み、満足げに微笑んだ。


――明日も、新しい客がやってくるだろう。


それがどんな客であれ、どんな困難があっても、俺は変わらず接客を続ける。


――それが、この店の役割だから。


翌日の午後。


店内は穏やかな空気に包まれていた。常連の商人ギルドのおじさん、グレンが紅茶を飲みながら、新聞を読んでいる。


リュミエはカウンターで、エリナから魔法の使い方を教わっていた。エリナは昨日使った味覚シミュレーションの魔法について、丁寧に説明している。


「エリナちゃん、あの魔法、すごかったわね。ゴーレムさんが、本当に味を感じられるようになったもの」


「ありがとう、リュミエちゃん。でも、まだ完全な味覚ではないの。でも、味を感じる感覚に近いものは、感じられるようになったはずよ」


「それでも、すごいことだと思うわ」


その時、扉のベルが鳴った。


チリリン。


――お客さんか。


扉から入ってきたのは、昨日来たゴーレム、ガルムだった。


「いらっしゃいませ」


「マスター、また参りました」


「ガルムさんですね。昨日は、どうでしたか?」


「はい、素晴らしい体験でした。初めて味を感じることができました」


「良かったです。それじゃあ、今日は何を飲みますか?」


「昨日、ブラックコーヒーも試してみたいと言いました。それを、お願いできますか?」


「かしこまりました」


私はブラックコーヒーを淹れた。エリナに、味覚シミュレーションの魔法をかけてもらった。


「ガルムさん、こちらがブラックコーヒーです」


「ありがとうございます」


ガルムは、恐る恐るコーヒーを口に運んだ。


「……これは、苦い。とても苦い。しかし、その苦さの中に、何か深みがあるような気がします」


「それは、コーヒーの味です。苦いけれど、香りが良く、深みがある飲み物です」


「はい、理解しました。データでは理解していましたが、実際に感じるのは、初めてです」


ガルムは、ゆっくりとコーヒーを飲み干した。


「マスター、エリナさん、本当にありがとうございました。私は、初めて味を感じることができました。この感覚は、私にとって、本当に貴重なものです」


「こちらこそ、お越しいただきありがとうございます」


「また、来てもよろしいでしょうか?」


「はい、いつでもどうぞ」


「ありがとうございます。では、失礼いたします」


ガルムは料金を支払い、静かに扉へと向かった。


扉が閉まった後、エリナが小さく息を吐いた。


「ゴーレムさんが、また来てくださった……よかったです」


「ああ、あのゴーレムは、この店を気に入ってくれたようだな」


「私の魔法で、喜んでいただけるなんて……本当に嬉しいです」


――エリナも、どんどん成長しているな。最初は緊張で手が震えていたのに、今では魔法でゴーレムを助けることができるようになった。


「エリナ、君は本当に上達したよ。味覚シミュレーションの魔法も、完璧だった」


「ありがとうございます。でも、まだまだです。もっと上手になりたいです」


――謙虚なところが、エリナらしいな。


私は微笑み、エリナの頭を軽く撫でた。


「次は、どんな魔法に挑戦してみる?」


「えーっと……感覚を拡張する魔法とか、どうでしょうか?」


「いいアイデアだね。次回は、感覚を拡張する魔法に挑戦してみようか」


「はい、喜んで!」


エリナの表情が、さらに明るくなった。


――この店で、みんなが成長している。それは、本当に嬉しいことだ。


私はポットを温めながら、次の客を待った。


今日もまた、この店で小さな物語が生まれている。


――今日も平和な一日だ。

機械仕掛けのゴーレム、ガルムとの出会いを通じて、エリナの魔法の才能がさらに開花しました。味覚センサーを持たないゴーレムに、魔法で味覚をシミュレーションさせることができたという出来事は、この店が持つ不思議な力の一端を示しているかもしれません。


ガルムが初めて味を感じ、涙を流した瞬間は、この店にとって特別な出来事となりました。データとしてしか理解できなかった「甘い」という感覚を、実際に感じることができたガルムの喜びは、言葉では表せないほど大きなものでした。


そして翌日、再び訪れたガルムは、ブラックコーヒーを試し、「次はブラックも試したい」と真顔で言った言葉は、この店での体験が彼にとってどれほど特別なものだったかを物語っています。


この店では、どんな客が来ても、それぞれの好みや事情に合わせて、できる限り対応します。それが、この店の役割であり、魅力でもあります。エリナのように、この店で成長を続ける人々がいることは、この店を続けていく上での大きな励みになります。


次回は、港町からの手紙と塩キャラメルラテ。海辺の扉が開き、潮風とともに水夫たちが立ち寄る。お楽しみに。


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