シタニミズギデスカ? ~彼女に対する独占欲が強くて海やプールに行けない!~
夏のお話です。衣服の下に下着を着けず、水着を着ていることに、心躍って下さい。
「先輩。今度の日曜日に、海かプールに行きませんか?」
数日前の下校時に、あなたは小柄な彼女からそんな誘いを受けた。
「いや、行かない」
あなたは即答した。
「えっ? どうしてですか?」
長い黒髪を一本の三つ編みにした彼女は、悲しげな反応を見せる。このことに関しては、心がとても痛んだ。
「君はかわいい。だから、君の水着姿が俺以外の男に見られるのが嫌なんだ」
あなたが理由を話すと、彼女の表情は問題解決の微笑みに変化する。
「先輩の主張は理解しました。それなら、先輩以外に見られないようにすれば良いのでしょう? 今度、先輩のおうちに水着を着て行くことにしますね」
ということで本日、彼女はあなたの家にやって来た。
家にはあなた以外、誰もいない。
「お邪魔します、先輩」
彼女は高校の夏服姿だった。二本の線とスカーフが青の、白い半袖セーラー服を着ている。紺色の学生鞄も肩に掛けている。彼女の格好を眺めていると、今日が日曜日だということを忘れそうになってしまいそうだ。
いつも同様、後ろで長い黒髪を三つ編みにしている彼女は、容姿が幼い。一つ年下なだけの後輩とは思えないぐらいに。もし制服姿でなければ、小学校高学年だと誤認される可能性も捨て切れない。
そのような彼女を、あなたは洗面所へと案内する。
「ここで着替えて。俺は外で待ってるよ」
「ご提案があります。先輩のお部屋で脱いでも良いでしょうか?」
「……え?」
「だいじょうぶです。今日は水着を下に着ているので……」
彼女は青い制服スカートをめくり上げた。水着と思わしきものは白一色で、まるで白い下着のように見えた。そのせいで、あなたは気にしないように努めるのが大変だった。
「そうだな……じゃあ部屋に来てくれ」
頭の中であれは水着だと自分を納得させながら、あなたは言う。
「はい、先輩」
下着を着けずに水着だけを着ている彼女を連れて行く。
自室に着いたら、彼女は鞄を床に下ろした。
「……これより私は、先輩の目の前で制服を脱がせて頂きます」
律儀な宣言と一礼をしてから、彼女はスカーフを外す。横ファスナーを開け、両手でセーラー服を持ち上げて脱いだ。
まるでジュニアブラのような、肩紐が広くて露出をひかえた白い水着が、あなたの前で姿を現す。
セーラー服を折り畳んで床に置いた後、彼女は下半身のスカートも着脱する。
おへそからすっぽりと覆う形状の、まるでオムツのような白い水着があなたの目に入った。これはいわゆる、ハイウエストと呼ばれる形状の水着である。
「どうでしょうか?」
水着がよく見えるよう、両手をおへその上で重ねている彼女は、上目遣いで感想を求めてきた。
「うーん……」
あなたは、難しい局面に立たされる。
白いハイウエスト水着を晒す彼女は、子供っぽい体型をしていることもあり、白一色の女児下着姿でいるようにしか見えなかった。また、白い靴下を脱がずにそのままだったため、余計下着のように思えてしまう。
あなたは観念し、正直に話す覚悟を決める。
「……やっぱり海とかに行かないで良かった。その格好だと……下着姿でいるみたいで目立っちゃうから」
女児下着姿とは、さすがに言わなかった。
「えっ、でも、これはれっきとした水着で、穿いている感じは下着と違いますし……」
そう反論しながらも、彼女は両手で出来るだけ水着を隠そうとし始めた。あなたの指摘によって、彼女の恥じらいの度合いが増している。すごく分かり易い。
「似合っていませんか?」
「似合い過ぎてるから、逆に困るんだよ」
「すみません……ではなく、ありがとうございます、と言うところでしょうか?」
彼女は困惑を隠せないし、細い両手では水着も隠し通せない。
「とにかく、君のかわいい姿を独り占め出来て、今はすごく嬉しいよ。写真を撮ってもいい?」
「……はい。ご自由にどうぞ」
恥ずかしがっていても、彼女は許可を出してくれた。
ここからは本当に遠慮なく、あなたは素敵な彼女を高級カメラで撮りまくった。高級カメラがこの時ほど役に立ったことはない。
「思っていた以上に、撮られています」
彼女はつぶやいた。
気にせず、あなたは撮影をおこなう。ポーズの指示もする。
「……先輩は下着姿を撮りたいのですか?」
「いいや、かわいい君を撮りたいんだ」
断言するあなたは存分にシャッターを切り続けた。
その幸せな個人撮影会の後、今度は目立たないような水着を買いに出掛けないかと、あなたは彼女を誘った。
「はい。ぜひともお願いします」
制服姿に戻っていた彼女は、嬉しそうな顔で良い返事をくれた。あなたはほっとした。
□
本日、あなたは彼女と水着を買いに行く予定になっている。
「おはようございます、先輩」
待ち合わせ場所で、彼女は先に待っていた。いつものように三つ編み姿で、今日は私服を着ている。上が水色の半袖で、下が膝丈の白いプリーツスカートだった。半袖の裾はスカートの内側に入れていて、黒いショルダーバッグを斜めに掛ける。どちらかと言えば子供っぽいけれども、純粋でかわいらしい。
「先輩。ちょっといいですか?」
彼女に手を引かれて、あなたは暗い路地裏まで連れて行かれた。他に誰もいなくて、非常に静かだった。
「こちらでなら、だいじょうぶですよね……」
小声でつぶやいた彼女は、あなたに向かって白いスカートをたくし上げた。
「恥ずかしいですが、ちゃんと見て下さい」
見てもらいたいのは、下着で間違いないだろう。驚きながらも、あなたは彼女のそれを注視した。
彼女が穿いている、白一色の子供っぽい下着。暗がりの影響で少し灰色っぽく見えた。
下着の上のほうはスカート内側に入れられた半袖の裾に隠れているものの、ハイウエスト水着のような形状だと分かる。あえて、ハイウエスト水着に似た下着を穿いてきたのかもしれない。
「今日は下着です。この前の水着と同じに見えますか?」
顔を真っ赤にしながらも下着を見せている彼女に、あなたの心は奪われていた。
「……あの、先輩?」
「あっ……うん。変わらない。水着と変わらないと思うよ、この前のと」
「正直なご感想、ありがとうございます」
彼女はプリーツスカートを元に戻した。
「今日は、水着に見えるような水着を買いたいと思います。変でしょうか?」
「変じゃないって。君に似合う水着を一緒に見つけよう」
「はい。よろしくお願いします、先輩」
路地裏から出て、お店に向かう。そこでは彼女のために、あなたの好みも反映された水着を選んであげた。
「先輩、どうですか?」
試着した彼女が、最高の水着女子に思える。
「……すごくかわいい」
見とれてしまっていたあなたは、並の表現しか出せなかった。けれども、心の中で荒れ狂う感情は大変に熱かった。
やはり彼女には、どんな水着も似合う。それに、どの水着を選んだとしても、結局、海やプールには行けそうにない。
(終わり)
白のハイウエスト水着はオムツみたいでダサい、という意見もありますが、スカートの下に着ていたら、かわいい萌えると思い、今回の短編を書きました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。