表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

シタニミズギデスカ? ~彼女に対する独占欲が強くて海やプールに行けない!~

作者: 栗野庫舞

夏のお話です。衣服の下に下着を着けず、水着を着ていることに、心躍(こころおど)って下さい。

「先輩。今度の日曜日に、海かプールに行きませんか?」


 数日前の下校時に、あなたは小柄な彼女からそんな誘いを受けた。


「いや、行かない」


 あなたは即答した。


「えっ? どうしてですか?」


 長い黒髪を一本の三つ編みにした彼女は、悲しげな反応を見せる。このことに関しては、心がとても痛んだ。


「君はかわいい。だから、君の水着姿が俺以外の男に見られるのが嫌なんだ」


 あなたが理由を話すと、彼女の表情は問題解決の微笑みに変化する。


「先輩の主張は理解しました。それなら、先輩以外に見られないようにすれば()いのでしょう? 今度、先輩のおうちに水着を着て行くことにしますね」


 ということで本日、彼女はあなたの家にやって来た。


 家にはあなた以外、誰もいない。


「お邪魔します、先輩」


 彼女は高校の夏服姿だった。二本の線とスカーフが青の、白い半袖セーラー服を着ている。紺色の学生鞄も肩に掛けている。彼女の格好を眺めていると、今日が日曜日だということを忘れそうになってしまいそうだ。


 いつも同様、後ろで長い黒髪を三つ編みにしている彼女は、容姿が幼い。一つ年下なだけの後輩とは思えないぐらいに。もし制服姿でなければ、小学校高学年だと誤認される可能性も捨て切れない。


 そのような彼女を、あなたは洗面所へと案内する。


「ここで着替えて。俺は外で待ってるよ」


「ご提案があります。先輩のお部屋で脱いでも()いでしょうか?」


「……え?」


「だいじょうぶです。今日は水着を下に着ているので……」


 彼女は青い制服スカートをめくり上げた。水着と思わしきものは白一色で、まるで白い下着のように見えた。そのせいで、あなたは気にしないように(つと)めるのが大変だった。


「そうだな……じゃあ部屋に来てくれ」


 頭の中であれは水着だと自分を納得させながら、あなたは言う。


「はい、先輩」


 下着を()けずに水着だけを着ている彼女を連れて行く。


 自室に着いたら、彼女は鞄を床に()ろした。


「……これより私は、先輩の目の前で制服を脱がせて頂きます」


 律儀な宣言と一礼をしてから、彼女はスカーフを外す。横ファスナーを開け、両手でセーラー服を持ち上げて脱いだ。


 まるでジュニアブラのような、肩紐が広くて露出をひかえた白い水着が、あなたの前で姿を現す。


 セーラー服を折り畳んで床に置いた後、彼女は下半身のスカートも着脱する。


 おへそからすっぽりと覆う形状の、まるでオムツのような白い水着があなたの目に入った。これはいわゆる、ハイウエストと呼ばれる形状の水着である。


「どうでしょうか?」


 水着がよく見えるよう、両手をおへその上で重ねている彼女は、上目遣(うわめづか)いで感想を求めてきた。


「うーん……」


 あなたは、難しい局面に立たされる。


 白いハイウエスト水着を(さら)す彼女は、子供っぽい体型をしていることもあり、白一色の女児下着姿でいるようにしか見えなかった。また、白い靴下を脱がずにそのままだったため、余計下着のように思えてしまう。


 あなたは観念(かんねん)し、正直に話す覚悟を決める。


「……やっぱり海とかに行かないで良かった。その格好だと……下着姿でいるみたいで目立っちゃうから」


 女児下着姿とは、さすがに言わなかった。


「えっ、でも、これはれっきとした水着で、穿()いている感じは下着と違いますし……」


 そう反論しながらも、彼女は両手で出来るだけ水着を隠そうとし始めた。あなたの指摘によって、彼女の恥じらいの度合いが増している。すごく分かり(やす)い。


「似合っていませんか?」


「似合い過ぎてるから、逆に困るんだよ」


「すみません……ではなく、ありがとうございます、と言うところでしょうか?」


 彼女は困惑を隠せないし、細い両手では水着も隠し通せない。


「とにかく、君のかわいい姿を独り占め出来て、今はすごく嬉しいよ。写真を撮ってもいい?」


「……はい。ご自由にどうぞ」


 恥ずかしがっていても、彼女は許可を出してくれた。


 ここからは本当に遠慮なく、あなたは素敵な彼女を高級カメラで撮りまくった。高級カメラがこの時ほど役に立ったことはない。


「思っていた以上に、撮られています」


 彼女はつぶやいた。


 気にせず、あなたは撮影をおこなう。ポーズの指示もする。


「……先輩は下着姿を撮りたいのですか?」


「いいや、かわいい君を撮りたいんだ」


 断言するあなたは存分にシャッターを切り続けた。


 その幸せな個人撮影会の後、今度は目立たないような水着を買いに出掛けないかと、あなたは彼女を誘った。


「はい。ぜひともお願いします」


 制服姿に戻っていた彼女は、嬉しそうな顔で良い返事をくれた。あなたはほっとした。


   □


 本日、あなたは彼女と水着を買いに行く予定になっている。


「おはようございます、先輩」


 待ち合わせ場所で、彼女は先に待っていた。いつものように三つ編み姿で、今日は私服を着ている。上が水色の半袖で、下が膝丈の白いプリーツスカートだった。半袖の裾はスカートの内側に入れていて、黒いショルダーバッグを斜めに掛ける。どちらかと言えば子供っぽいけれども、純粋でかわいらしい。


「先輩。ちょっといいですか?」


 彼女に手を引かれて、あなたは暗い路地裏まで連れて行かれた。他に誰もいなくて、非常に静かだった。


「こちらでなら、だいじょうぶですよね……」


 小声でつぶやいた彼女は、あなたに向かって白いスカートをたくし上げた。


「恥ずかしいですが、ちゃんと見て下さい」


 見てもらいたいのは、下着で間違いないだろう。驚きながらも、あなたは彼女のそれを注視した。


 彼女が穿()いている、白一色の子供っぽい下着。暗がりの影響で少し灰色っぽく見えた。


 下着の上のほうはスカート内側に入れられた半袖の裾に隠れているものの、ハイウエスト水着のような形状だと分かる。あえて、ハイウエスト水着に似た下着を穿()いてきたのかもしれない。


「今日は下着です。この前の水着と同じに見えますか?」


 顔を真っ赤にしながらも下着を見せている彼女に、あなたの心は奪われていた。


「……あの、先輩?」


「あっ……うん。変わらない。水着と変わらないと思うよ、この前のと」


「正直なご感想、ありがとうございます」


 彼女はプリーツスカートを元に戻した。


「今日は、水着に見えるような水着を買いたいと思います。変でしょうか?」


「変じゃないって。君に似合う水着を一緒に見つけよう」


「はい。よろしくお願いします、先輩」


 路地裏から出て、お店に向かう。そこでは彼女のために、あなたの好みも反映された水着を選んであげた。


「先輩、どうですか?」


 試着した彼女が、最高の水着女子に思える。


「……すごくかわいい」


 見とれてしまっていたあなたは、並の表現しか出せなかった。けれども、心の中で荒れ狂う感情は大変に熱かった。


 やはり彼女には、どんな水着も似合う。それに、どの水着を選んだとしても、結局、海やプールには行けそうにない。


                    (終わり)

白のハイウエスト水着はオムツみたいでダサい、という意見もありますが、スカートの下に着ていたら、かわいい萌えると思い、今回の短編を書きました。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ