6世界ができたら、即戦乱⁉
あっちでもこっちでも殺戮です。なんか大変ですが、私は主人公と同じく平和主義ですのであしからず。
『死屍累々……』
この言葉は以前から知ってはいたが、まさか実感する日が来るとは思っていなかった。
「今演算したら、死者1万487人だね、十数万人以上での戦闘だったらしいね」
キュアはこの光景を一瞥して即座に分析した。
確かその人数だと関ケ原の合戦とほぼ同規模って事か、しかし、死者数はバードウォッチングならぬ屍ウォッチングとでも言うか、一人も逃さず計算する当たり高性能なんだろうけど、人間と違いやっぱりドライだなと思った。
「ひどい、それは関係ないよ、第一、殺し合いしたのは人類同士だからね、そっちの方はドライを通り越してるよね」
「うっ、確かにそうだな」
俺はスカルの方を見た。スカルは顎が外れるかと思うほど口を開け、茫然として固まっていた。
「おいスカル、これが必然、当然の結果じゃないかと俺は思う」
「そんな、なんで?僕はもっと多様な世界を……色どり鮮やかな文化が花開くようにしたのに」
「俺は思うんだが、地球の世界でなぜ人類がホモサピエンスだけになったのか、それは多種族を受け入れられなかったからさ、量子もつれのように片方が右回転に確定すれば一方は逆の回転になる。各々が自我を持った時点で自分と同じ個は存在しない同じ性質の隣人が真逆の存在なんだ、繋がりが深いほど、
それが近ければ近いほど、排除しなければならない対象となる。だから、同じ人類同士は互いに絶滅するまで争いは続いた……その結果だと思う」
「そんなこと……何の…誰の得にもなんないよ」
「得にはならない、確かにそうだがお前言ったろ【運命は実在し、命と魂に自由が宿る】って、これは運命なんだと思う。たぶん副産物的なものだろうが、とにかく人類の種族が増えれば増えるほど闘争は激化し収拾がつかないことになる」
「僕が望んだこの世界がそうだってこと」
「どう見たってその可能性が高いだろう」
俺たちはやっと抜け出た森林を出るため、目の前の屍がおい重なる戦場後を歩いて進んだ。立ったまま槍が胸に突き刺さった者、首が無い者、顔が完全につぶれている者、泣きながら息絶えている者、腕が無い者、足が無い者、胴体が真っ二つに分かれている者、そして人種もざまざまだった。明らかに前世の地球には存在しない容姿、角がはえている者、牙爪が鋭い者、半人半獣、背中から翼を生やしている者、キュアに聞くとこれらはすべて人類種であるという、互いに繁殖して子孫を残せるそうである。
「お兄ちゃん、これはほぼ全部の異種族が関係した大規模戦争らしいね」
「お互いが存亡を賭けた大決戦って訳か」
スカルはうつむきながら無言でついてきていた。そして無残な死体を数々見、そして通り過ぎ、とうとう泣き出している。
「お兄ちゃん、大体この世界の人類の構成が予測できたよ」
「そうなのか、分かるもんなんだな」
「それじゃ、いくよ」
総人口3000万人
人族 1800万(知能が高く繁殖力も高い、魔法適正はばらつきあり、宗教や思想により集団の規模、結束力が高く多種族を一歩リードしている。道具や武器も魔法と技術の組み合わせで一番発達している。実際の製造はドワーフに外注する場合が多い)
魔人族 600万(不死に近い、魔法適性は人より少し高く知性も高いのだが本能に判断基準を置き好戦的な為、他種族との争いが多い、精神操作に長けていて各国にカルト教団を作っている、魔物魔獣の精神操作「テイマー」も得意)
エルフ族 300万(長寿で身体能力と魔法適性が高い、よって多種族からも一目置かれステータスが高い、プライドが高く選民主義)
獣人族 100万(身体能力が高い、再生能力が高い、戦闘スタイルはとにかく力押し、穏健派と武闘派が両極端)
ドワーフ族80万(頑強で長寿、生産能力が高い、戦っても強いが基本専守防衛)
巨人族 20万(身体能力が最強、閉鎖的もし一斉に他の地域に進出すれば地上を更地にしてしまうだろうと言われている)
リザード族 20万(身体表皮硬化、湿地帯に特化した身体構造、地の利を生かせば最強、集団での戦闘巧み)
オーガ族 10万(一騎当千の武技に長じた戦士が多く、剣神、剣聖など達人のほとんどを輩出している)
竜人族 10万(ドラゴンの末裔、複数人が合体して巨大なドラゴンにと変形が可能、その生態はあまり知られていない)
オーク族 10万(身体の大きさが平均して巨人族の次に大きい、オスしか居らず多種族のメスとの交配で種族を維持している。交配する種族によっては知能が低く子孫が魔物と同等になり人類の枠から外れるため主に人族との交配を望むことが多い)
魚人族 5万(海7割、陸3割での生活、海での戦闘は最強、エラをもっている)
小人族 5万(斥候スパイが得意、各国に傭兵として派遣している。身体能力は早さに特化、縮地も使える)
地底人族 5万(採掘能力に特化、難攻不落の地下都市を形成している)
鳥人族 5万(翼をもつ、郵便業で種族間を超え活動している唯一の種族、いざとなれば戦闘力は高いが平和中立を旨とする。)
精霊族 5万(集団での魔法に特化、森林がテリトリーその為魔獣を頻繁に狩り生活圏を保持している。多種族の進行を阻止する意味合いで根絶やしにはしない。魔法は単独でも災害級の威力)
ハーフ族 計25万≪ハイエルフ(人間とエルフ、能力は高いが味方がいない人間、魔人、獣人にも差別される)、ダークエルフ(魔人とエルフ)、人狼族(人間と獣人、身体能力、知性も高いが致命的弱点を持つため人間社会に寄生して隠れて生きている)、吸血族(人間の突然変異、身体能力、知性も高いが致命的弱点を持つため人間社会に寄生して隠れて生きている)、ゴブリン族(オーガ族の劣等種)、洞窟族(旧人)、天神族(肉体とエーテル体、単独で天災級魔法が使える、閉鎖的、空中都市を形成)≫
※一部を除き、大半が移民として各地に散らばって生活している。
「ん~お前の高位演算って、この死体から種族の種類、分布とかは百歩譲って分かるかもしれんが、やけに特性とか詳しくないか?」
「この創造プロジェエクトにも法則というかテンプレがあって、この種族はこの特性、この種族が存在すればこの種族もって感じで大体決まってくるから分かるわけ」
「しかし、これでもかってくらい出てくる人種の坩堝だな」
「ここまでするとね、いくら僕でも予測はおろか把握も出来ないよ、正に前代未聞の有様だけれど、お兄ちゃんどうするのいったい?」
と言ってハルマゲドンスイッチを手に持ちすりすりしている。
「それ仕舞え、ハルマゲドンはしない!」
「プロジェクトソフトは消滅したんだよな」
「まあ、厳密には違うけどこの世界が消滅しない限りは再び始動しないから同じことだよ」
「しかし、何とかできないだろうか、俺は前も言ったように責任があると思っている。それを取らないでいつ終わるかわからない殺し合いの世界を変えたいんだ」
「方法があるとすれば、お兄ちゃんが一人一人説得かな、この法則である、運命に抗うように説いて回るしかないね」
「3000万人をか、無理だろ」
誰にも見てもらえないのは、おもしろくないんでしょうか……ご意見を聞きたいです。