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3・おいおい、聞いてないよ!

異世界降臨、創造主なのにさっそく死にかけるなんてことに…

「やっほーっ、い、せかい~!お兄ちゃんと一緒に、いっ、せかい!!」


やたらに飛び跳ねてはしゃいでいるキュアを尻目に俺はあたりを見渡した。

どうやら、森の中、かなり奥深い場所なのか、見た限り以前の俺がいた世界と変わりがない。

草木も見た事のあるものばかり、空気も澄んでいて清々しい??と思っていたら少し前方に天までそびえている山?

「これってもしかして木なのか」

見上げると、上空にぶっとい枝が伸びている。あれは確かに枝だろう鬱蒼と葉が生い茂っているのだから。

「まあ…異世界だからな…まったく俺にいた世界と同じって訳にもいかないだろう」

キュアの説明ではオート設定であれば、ほぼ世界の構造に差異は無く仕上がるという無難な設定と言っていたが。

「まあ、これくらいは…地球だって太古の昔は巨木もかなりあったって話だし」

すると、その枝から何かが羽ばたいて飛び立った。

「…鳥…なのか」

それにしてもここから見てあの大きさ、遠近感的にスケールがおかしい。

すると、飛び立った鳥らしき物に同じ大きさの翼を持った飛行体が群がっている。

「お、おおっ」

突然のことに目が離せないでいると、飛行している一体が別の一体に対して口からものすごい炎を噴出した。

まともにそれを浴びた一体は炎に包まれ、落下してくる。

「お、おおっなんだ!こっち…落ちてくる!」

俺は慌てふためき、おろおろしながらも必死で離れようと後退るがその物体は俺の間近に墜落して、俺は吹き飛ばされる。

おろおろしながら、ほふく前進でじりじりとその場を離れようとする。

「…な、何なんだ…これ」

恐る恐る、墜落した物体に振り返ると、茂みの中から(グルルル~ッ)と唸り声をあげた通常の数倍はある大きさの虎の顔がのぞいている。

「ひっ」

さらに横からこれも数倍はある大蛇がヌルっと頭を伸ばしてくる。

「ひ~っ」

俺は情けなく悲鳴を上げ、思わず自分の口をふさいでガタガタ震えながら茂みに身を隠す。

幸い俺には関心が無かったようで、俺には気付かず、焼け焦げて墜落した鳥のような物体に近寄っていく。どうも墜落した物体は羽が無く、爬虫類に似た皮膚をしていた。

炎は消えプスプスと煙を立てているそれに巨大虎はおもむろにかぶり付いている。茂みから体全体を出したその全体は一緒に出ていた大蛇が尾のようになって繋がっていた。

「なんだこれ?」

俺の頭の中には(キメラ)という単語が浮かんだ。もちろんこんなの地球には存在しなかったが、なにかの漫画に出てきたのを記憶していた。まあモデルは何かの神話か何かだろう。

「おにいちゃん!」

や、やめろ、大声を出すな、気付かれる。声無い声で叫びながら、俺はキュアに向かって必死で首を横に振る。

「大きな音がしたわ、大丈夫?」

「ば,ばか…」

キュアの遠慮のない声で、キメラは俺らに気付きこちらに首をもたげる。

「グルルル~っ」「シャ~っ」虎の顔と大蛇の尾は同時に鳴き声を発し、俺は震えおののきながら(ハモッテル)となぜか心の中で思ってしまう。

「え、なんで?魔獣がここにいるなんて」

「お、追い逃げろ…このままじゃ二人共」

「こうなったら、任せて!お兄ちゃんはキュアが守る!」

キュアは肩に担いだMKマシンガンをおもむろに魔獣に構え狙いを定める。

しかし、マシンガンは確かに強力だろうがこの神話に出てきそうな魔獣とやらに通用するのだろうか、でも今はこれしか武器はない。これが効かなかったら万事休すだ。

「いっけぇ~!!」

キュアはマシンガンを放つと放たれたのは弾ではなく、太い光線だった、その光線は魔獣の胸を貫き、おそらく心臓を直撃したのだろう、あっけなく巨体は崩れていった。

「ふ~、やれやれ、やっぱり美少女にはマシンガンは必須だね」

俺は呆気に取られ、キュアのマシンガンをまじまじと見つめなおした。

「それ…?なんか弾じゃなく、光線出してなかったか?」

「ああこれ、対物センサー付きの環境順応型だからね、対象相手をセンサーで感知し有効可能攻撃を自動で変換できるんだよね」

「ね、って無茶苦茶だろ」

「それにしても変だね、ちゃんと設定したはずなのにノーマルじゃないみたいだし」

「なんでだよ、ほとんどオート設定したはずだろう?その高位演算ってやつで」

「これはどうもソフトのコアが改ざんされたのかもだね」

「そんなこと出来んのか?」

「絶対無理なはずなんだけど、それしか考えられない」

「じゃ、この世界って?」

「何でもありの未知の世界、世界全体がカオスになっているってことも考えられる」


「おいおい、聞いてないよ!」




どの世界も、きっと甘くない。たとえ神様でもままならないものです。生きていくという事は世知辛いものですね。


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