2・異世界創造主爆誕!!
普通、転生物って転生前のことをもっと短いのかな、トラックに惹かれて、すぐ転生って感じで、面白いのは転生後ですからね。
これでも主人公の死因や製作者適正の取得理由、前任者の事などなど、かなり、はしょって書いたんですけど、転生する前に飽きられそうです。
どうぞ長い目で見てください。
半透明のゴーグルやら、プロテクターらしきものは俺の体全体にそれぞれ浸透していった。と言っても俺は死んでいるんだから霊体って言う方が正しいか。
ちょっとびっくりしたけど、どうも俺自身に何らかの変化は感じられない。
すると突然、小さな画面が次々と出てきた。
[製作者適正スキャンをクリアしました]
[モニター条件クリアしました]
[モニター特典として当プロジェクトを無償使用可
及びサポート機能として(Q&Aちゃん)の使用が可能になりました〕
[同調及びダウンロードが完了しました]
[各選定、設定項目を確定し、システム起動のため実行を押してください]
次の項目を指でクリックすると、膨大な原子記号が表示された。
確か学校の授業で習った記憶があるが、物理学者になろうとしたわけでもなくほとんど覚えていない。
でも原子ってこんなに多かったっけ?
確か、原子なんたら表みたいのあって、1ページで収まっていたはず、元素とかいう総数も100か118だったか?
しかし表示されたこれは、いくらスライドしても終わらない。
『…無理』
さっそく躓いてしまった。
頭を抱えて唸っていると、ふと気が付いた。
「たしかサポート…」
そうだサポート機能があるって表示があった。
(Q&Aちゃん)ってふざけたネーミング、でもまあ良いか、さてどうすれば使えるんだろう?
説明はどこにも無い、試しに呼んでみるか
「Q&A!」
何も変化なし
「出でよQ&A!」
やばっ、誰かに見られてるわけじゃないけど、恥ずかしい…
でも、何も変化はないか
やりたくないけど、このふざけた名前で試してみるか
「出て来い、Q&A…ちゃん」
すると画面が強い光を放ち、小さな人型の物体が現れた。
背は低く、人間の小学生程度、宇宙人のような銀色のレオタード、おさげにした女の子風だが顔に目鼻はなく、顔面を覆うほど大きくQ&Aと書かれていた。
「う、ほぉ~ん、おにいちゃ~ん」
いきなり抱き付いてくる、異様な物体をよけるとその物体は前のめりにぶっ倒れた。
「う、うぇ~ん、ひどすぎます~~呼んでおいてこんな仕打ち」
「いや得体の知れないものが、向かってきたら、そりゃ避けるだろ」
「得体が知れないって、失礼な私はこのプロジェクトの最重要プログラムQ&Aちゃんなのですよ」
「う~む、確かに顔にはっきりと書いてはいるが、つっこみ要素がありすぎて、小一時間考える時間が欲しい」
「その前に私からひとつ要望があります、拒否権は認めませんから」
「ん~嫌な感じしかないんだが…」
Q&Aちゃんは俺の前に仁王立ちになり
『問おう!あなたがわたしのお兄ちゃんか?』
「ちがいます、それじゃ」
「うぇ~ん、待って」
俺の足にしがみつく女の子もどきのQ&Aちゃんを振り解こうとするがずるずると引き摺られながらも放そうとしない。
「ふーっ、お前を見てるとどうも役に立ちそうにないんだけど」
「立ちます~立ちます~からチャンスをください~~」
俺は根負けして試してみることにした。
「あのう、その前に一つだけお願いします」
「さっきひとつって言ってまたか、やたら要求が多いな、なんだ?」
「私のキャラ設定をしてください」
「そんなのあるのか、別にそのままでもいい気がするが」
「だめです~このままじゃただの変な物体じゃないですか」
「ほ~、一応自覚はあったんだな、確かに俺も違和感あるしな、でもやり方がわかんないぞ」
「それならお任せあれ!ライブラリーオープン!」
俺の前に顔のパーツ、洋服のパーツ、髪形のパーツなどずらりと表示される。
「ふむ、なるほど」
俺は画面を眺めていると、Q&Aちゃんは俺の背中越しに覗き込んでくる。
「いっぱいあるんで大変でしょ^^お手伝いしましょうか」
実際、面倒くさいので任せてみることにした。
「やった!じゃ髪形は金髪カールのもりもりお姫様ヘアー、レースフリフリプリティードレス、瞳はくりっくりのきらっきら、唇はぷりっぷりの桜色、肌はどこまでも透き通る純潔の美白、体形は妖艶なきゅっぼんっボディも捨てがたいですが、〈二頭を追うものは一頭も得ず!〉ここは美少女コンセプト一択、細身で華奢なスタイルで、それでいて両足は大人の妖艶さに負けない芸術的なフォルムで神聖さを醸し出し〈絶対領域〉のみならず、殿方の視線を魅了する美足、靴はシンプルに赤いリボン付き、純白でキュートなフリフリ日傘も欠かせないわ、出来た~‼ モード変換!」
「やれやれ、終わったか、おおむね良いみたいだけど‥ちょっと聞いていいか」
「なにお兄ちゃん」
違和感のあるそれを指さして
「なにそれ?」
Q&Aちゃんの肩にはごついMKマシンガンが担がれている。
「愚問だよお兄ちゃん、美少女にはマシンガンはギャップ萌えの必須アイテムだよ」
「…いろいろ突っ込みたい気もするが、長くなるのでやめとくよ、でも脈絡のないお兄ちゃん呼ばわりはいらんだろ」
「なに言ってるの、美少女キャラに妹属性は必須なの!僕的には最低限譲歩してるつもりだよ」
「やっぱやめよう、疲れる…って何気に僕っ子キャラ追加してるし」
「てへっペロ」
「あのね、もうひとつだけお願いがあるんだけど」
「まだあるのかよ」
「一番大事なこと…僕の名前を付けて、お兄ちゃんにしかできない事なんだ」
「そうか、言われてみればまだつけて無かったよな」
たしかにQ&Aちゃんは名前としては変だし
「Q&A…キュ…キュア…キュアはどうだ」
「キュア…うんキュア!僕はこれからキュアだ!ありがとうお兄ちゃん」
「とにかくだ、早くこの設定作業を終わらせたいんだ、頼む」
「わかったよ、それじゃお兄ちゃんの希望を教えて」
「希望?」
「そう、どういう世界を作りたいか」
「無い」
「???」
「そんなの考えた事無いし」
「え~」
「普通そうだろう、だって俺は今までただの人間として生きてきて世界を創造するだなんて考えた事無いよ」
「それでなんだけど、不思議なんだよね、本当はこのプロジェクトは《根源の欠片》でないと制作権限は与えられないはずなんだけど?」
「そうなのか、俺にもわからん」
「う~ん…」
俺は、死んでから今までの経緯をキュアの話した。
「そうすると、前にこのプロジェクトの製作者がいたけど途中で何処かにいなくなっちゃたってことかなあ~」
前任者か…確かに部屋の状況は中途半端に放置されていた。
いったいどこに行ったんだろう?
…根源の欠片?
「それにしても、だからと言って資格の無い者が受け継ぐなんて無理」
「根源の欠片って何のことだ?」
「根源の欠片って、根源から零れ落ちたって言うか分離した一部、それが欠片」
「は~、分からん。その根源ってなんだ?」
「すべての宇宙、すべての物質世界、ここの様な反物質空間を含めた有るものすべて、それ以外の存在の無い存在さ」
「もっと解からん」
「う~ん、とにかくあらゆるものの元って事」
「例えば神の世界とかか?」
「そんな世界よりもっと上のって言うか、別の存在さ」
「は~」
「お兄ちゃん…って、もしかしておバカ…?」
「なんだ急に!」
「根源の欠片ではもちろんない、それどころか圧倒的な低次元能力って、有り得ない」
「お前、どんどん酷いこと言ってんな」
「…これは大変な仕事になるなぁ、究極の低次元化に対応しなくちゃ」
「…おまえな~~お兄ちゃん呼ばわりするお前が言うか」
「うん、とにかくお兄ちゃんはわたしのお兄ちゃんさ、製作者適正はクリアしてるんだから」
「う~ん、なんか釈然としないが」
「とにかくプロジェクトの設定ね!任せといて」
「お、おう…」
「え~と、2項目の構成要素は…もちろんお兄ちゃんには選定無理だし、【オート】、3~8まで、まあやっぱ【オート】」
「おいおい、良いのかよ、みんな【オート】って、一つ一つどういう意味なのか説明くらいしてくれ」
「あはは、そうか、とことん低次元低能力でおバカなお兄ちゃんには、それに合わせたアバウトな説明は必要だね」
「いちいち、その枕言葉つけにゃならんのか!」
「怒ったお兄ちゃん、かわいい!」
「…」
「項目の2と3はね、宇宙を満たす物質と比率を決める事が出来るの、これに連動して物理法則も変わるわ、宇宙空間のスケールや時空間移動も容易になったりね、4と5と6は生命体、特に知的生命体ね無理やり特区を作って、つまり惑星ね、ここを宇宙の中心に据えて運営するの」
「そう…なのか」
「これは必要よ、何も無いだだっ広い世界だけ作ったって面白くとの何ともないもの、それこそ4,5,6の設定は、このプロジェクトのコンセプトであり、普通、製作者の目的なの」
「なるほどなあ」
「7は時間の実在化と空間との連動、恣意的方向性の固定化ね、エントロピー設定で自動的にそれらは可能よ、何しろ時間の指向性を固定した方が運営にはシンプルで合理的、8はお兄ちゃんに分かりやすく言えば輪廻転生ね、要はリサイクルしましょってこと、こうすればより長期間安定した世界がオートマチックで運営されるわ」
「生まれ変わりって効率が良いからそうなってるってことなのか」
「このプロジェクトが構築される前にいろいろなシステムが試されたけど、結局リサイクルは世界にとって最高って事ね、大体他のプロジェクトでも採用されているわ」
「他のって?」
ここのほかに部屋がいっぱいあったでしょ、それぞれこのプロジェクトソフトと制作者がいて違う世界を創造しているよ、ソフトと言ってもお兄ちゃんの認識とはまるで別物よ、なにしろバーチャルじゃなく、実際に高位演算によって世界を具現化できるんだから」
「そうなのか」
「9はこれは、必須ね、運営に支障が出たときは全てが消滅、このソフトももちろん消滅よ」
「…消滅」
「そう、何もかも、まさにハルマゲドン」
「まあ手動を選ぶと部分的にとか規模的にとか設定できるんだけど、お勧め出来ないわ、リセットする事態なんて小手先でどうにもできない状態だからやっぱり問答無用の最終手段がベターだもの」
「そうかでも使いたくないな、そんなもの」
「使う使わないはとにかく設定はしなくちゃ、あと10ね」
「やっと最後の項目か」
「そうね、これは【オート】って訳にはいかないからお兄ちゃんが考えて選択して」
「…その前に、聞きたいんだが、いや、大体想像がつくんだけど、宇宙空間、世界の創造、輪廻転生、ハルマゲドンなんて話が出てるってことはこれって…神様ってことにならないか…俺」
「神の定義は厳密にはいろいろあるけど、お兄ちゃんの認識できる言い方をすれば、創造主かな」
「やっぱりそうか…」
「ていうか、神も作ってるのはお兄ちゃんだから、創造主=神様じゃないよ」
「…なお悪いだろそれ、俺は普通の人間だぞ」
「そんな気にすることも無いかなあ、だってほかの製作者である根源の欠片だって、世界を創造できるのはあくまで高位演算ができるハイスペックなこのソフトがすべてを可能にしているんだし、それにお兄ちゃんほどじゃないけど根源の欠片はお兄ちゃんほどじゃないけど結構おバカだからね、大事なことなので2回言いました」
「また何か癇に障るが、そうなのか」
「だって、お兄ちゃんのいた世界を考えてみなよ、至る所が矛盾、穴だらけ、おまけに世界構造が稚拙で管理も杜撰だから、有ってはならない創造世界内の知的生命体に世界の構造は解明されかけているし、そうなったらコントロール不能でハルマゲドン!お兄ちゃんがそんなに難しく考えることないんじゃないかな」
どうも基準が違いすぎて納得できない。
「とにかく、選んでこれで完成だよ」
「う~ん、製作者特典か~?」
「【参加型】はいわゆる降臨だね、限定的だけど製作者権限でいわゆるチート能力もつけて、実際に創造世界に降りて惑星上の生命体と暮らしていくタイプ、【観察型】ここにこのまま居て世界を眺めるだけ、退屈そうだけどそうでもないよ、認識能力を無限に上げて、世界の細部にわたり観察できるからね、そして【上位支配型】観察しながら全知全能能力で介入もして俺様気分を満喫するタイプ、神設定が必要だから雷神ゼウスでも、お釈迦様でも、魔王でもオッケー、創造世界の生命体と子供まで作っちゃった製作者もいたらしいよ」
「どれも俺の感覚からかけ離れすぎて想像できないが、俺が作ったという実感はないけど責任は感じるし、今の俺には【参加型】なら出来そうな気がするかな」
「そうなの、なかなか変態でもない限り選ばないけど、お兄ちゃんが良いならいいか」
「お前ほんとにちょくちょくディスるな~」
「まあいいじゃない、それじゃ一緒に行きますか」
「待て、お前も行くのか?」
「え、当たり前でしょ!かわいい妹を置き去りにするお兄ちゃんなんて有り得ない!」
「わ、分かったよ…」
[すべての設定が終了したので【実行】をクリックしてください〕
「よし」
俺は完了をクリックした。
「いっけ~!異世界創造主!爆誕!!」
次回から、自分の創った異世界に転生です。
創造主、いわゆる神様の転生ってどうなるか、関心を持っていただけたら幸いです。なんですけど‥どうしよう、転生はしたけど…展開はどうしよう…神様は万能なんだからなんでも出来ちゃってドラマが生まれる気がしない。
私の好きなワンパンマンですが、あの設定であそこまでつくりあげたONE先生はやはりすごいです。
すぐ、ハルマゲドンしてチャンチャンってしちゃおうかな、どうせ誰も見て無いし、さすがに神様転生させた作品はないだろうと思って見切り発車してしまったことに後悔の念が…
とりあえず、まだ残っている構想を繋げて頑張ってみます。
それと創造主の話なのに題名は【不殺の悪魔】この理由も後々明らかになっていく構想です。
よろしかったら、読んでください。