書籍の価格
本日、Twitterであふれていた、『出版物の総額表示義務化に反対します』というタグ。
これ、ようするに本は現在 本体価格+税 という外税表記が許されているわけです。
これが禁止になるということなんですね。
ちなみにたいていの商品は総額表示義務があります。
消費税が導入されたとき、「外税」「内税」のどちらかわからず混乱を招いたということに端を発します。すべて、「内税」にして、価格を表示しようとなったわけです。
まあ、このあたり。つまり、「私は税金をどれだけ払っているか」という重税感を鈍くするという政治的な狙いがあったとは思っております。
書籍の場合は、特例として外税が許されています。もちろん、本というのがロングスパンで売られる商品だからというのが一因ではあります。
そんなの、定価シールを張り直せば済む、まあ。そういう話ではありますが。
商品というのは、もちろんメーカー希望価格というのはありますが、小売りが値段を決めることは可能です。
独占禁止法っていうのがありますからね。
本は例外なのです。
書店は勝手に本を値引いたりしてはいけない『再販制度』が認められています。
なぜか。
たくさんの本が売れる、都会と田舎の値段格差を生まないためと、特に値段の高い専門書などの滅多に売れない本を書店に置いてもらうためです。
つまり、商売的においしい本だけでなく、十年に一度だけ購入されるような、そんな本との出会いを作るためです。
ちなみに。
本の流通は非常に特殊。
一般の商品と違い、本屋は「委託販売」なんです。
だから、売れないと思われると、出版元へ返品される。
というわけで、本屋になかった本でも、出版元に大量に在庫があったりはするわけですね。
だったら、本屋は売れない本を置いておかないんじゃないか? って感じもありますが、あまり返品が多いと、新刊を下ろしてもらえなかったりするので、そのあたりの駆け引きもあるみたいです。
売れ行きの良い本屋さんは、新刊をたくさん配本してもらえたりするという話もよく聞きます。
このあたり、在庫は「値引き」して売り切ってしまうスタイルが主流の普通の小売りとは違うわけです。
さて。税込み価格のお話。なぜ、税込み表示にすると、まずいのか。
現実問題として。
お店側の店頭に既にある本であれば、シールを張って売るということはあると思います。
わざわざカバーをかけなおさなくっちゃ! ってことはない。
問題は、出版元にある本。
出版社に積み上がった本というのは、常に廃棄される運命と紙一重。
カバーを刷りなおして再出荷できるのは、たぶん一部のベストセラーだけ。たとえシールを張るとしてもその手間と売れる確率を天秤にかけ、「絶版」になる本は、かなり多いでしょう。
簡単に言えば、最初に売れなかった本は、ダメという現象に拍車がかかるわけですね。
はっきりいえば、エンタメはともかく学術系は、かなりきつい。
税金が変わらなければ、問題はないわけですけれども。
エンタメも最近はさほど売れませんから、初期部数はかなり減るかもしれません。それこそ、転売屋が暗躍したりするかもしれませんね。
本屋さんは『売れない本』も置いておく余裕があってほしい。もちろん出版元も。
そう思います。