独創性
先日来、Twitter界隈で『ゆるぱく』なる言葉が流布されておりまして。
話題になったもののことの是非については、おいておくとして。
創作界隈において、「どこまでがオリジナル」というのは、悩ましい問題かと思います。
法律的には、よほど文章等が酷似していないと、『盗作』にはなりません。
感情面で納得いかないことがあるにせよ、物語のアイデアそのものには著作権はないのです。
また、テンプレ要素、もっといえば、いわゆる王道な作品は、先人たちの功績をなぞっているわけですから、どこかで何かが似ていて当然なのです。
コンテストなどでは絶対書いてある『独創性あふれる作品を』という文言。
いや、盗作はアカンですし、流行の類似品を求めているわけではないというのは、間違いないことなんですが。
あまりに独創性にあふれた作品など、読者は欲しくない。
ある程度、新鮮、でも知ってる。これが大事。
そもそも、5割も価値観が独創的な要素の物語があったら、正直、よほどうまくないと疲れます。
ジャンルにもよります。
特に恋愛小説は、基本、同じような流れを持っています。男女でなくて、百合でもBLでも、構成は似たようなものを読者は求めています。
書き手は、似たようなものをいかに新鮮にみえるようにするか、という努力が必要なジャンル。
ファンタジーやSFに比べて、独創的にするのが難しいですね。
言っては何ですが。
過去作を真似るというのは、創作する人なら誰でも無意識にやっていることなのです。
誰の影響も全く受けずに創作する人はいないし、知らなくても作品が偶然似てしまうことがある。
自分は誰の影響も受けてない、誰の真似もしていない! というひとは、その作品が『他人から見て』理解できるかどうか、考えてみたほうがいいと思います。
そんなひとで、人気作家さんがいたら、それは相当な天才としか言いようがありません。
誰かの影響を確実に受けながら「自分」だけのものを作る。
その方法は、人生を含めたインプット。
すごく影響を受けた作品が何本もあれば、吐きだした時、それが絡み合って複雑に自分の味になるわけですよ。
例えば。
「うらしまたろう」
人物の名前だけ変えたりする。
↓
「桃太郎要素を加える」
竜宮城に行った浦島は、乙姫に請われて、たいやヒラメをおともに、龍退治に出かける。
↓
「アーサー王伝説を加える」
浜辺に刺さっていた剣をぬいた浦島は、竜宮城に招かれ、乙姫に請われて龍退治に
↓
「舞台を異世界に」
↓
浜辺に刺さっていた剣をぬいた浦島は、竜宮城に召喚され、乙姫に請われて龍退治に
まあ、アーサー王と舞台はそれほど変化なしですが。
作品そのものはたぶん、3作以上重ねると、全く別の物に変わると思います。
最後の内容で「うらしまたろう」じゃん、ってなるひとは、そんなにはいないはず。
作品を作るのに必要な『発想』は、『インプット』と『組み合わせ』です。
これは、ある程度訓練できます。
おとぎ話で遊ぶ方法とかは前に書いているので、今回は割愛。
洋の東西の逆転や、現代、過去の逆転もありです。
独創性とは、多様なものから、新しい組み合わせを見つけることによって生まれるもの。けっして、無から湧いてくるものではないんじゃないかと思っている今日このごろです。