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1話 特典の基本

異世界転移を読んでいるからと言って現実逃避をしている訳ではない。

俺たちはみんな異世界から転移してきた元勇者なんだ。

戦いに明け暮れる生活に疲れて逃げて来たんだ。

街を歩いて死ぬこともない。角々にコンビニがあって24時間食べ物が売っている。

この世は天国なんだ。もうすでに逃避後なんだ。

と言っていた同僚がいた。彼は業務中にどうどうとネット小説を読むというある意味鉄人だった。

まあ業務から逃避はしていた。



何故こんなことを思っているのかというと気が付くと白い空間にいたからだ。まああれだ。あれ。

まあそれはいんだが・・・よくはないな。

回りに多くの人がいる。これはいったいなんでだ?

思い出した。

バスに乗っていたはずだ。ということは周りはバスの乗客ということか。

一体何が起きた?思い出せ。

バスに乗っていたはずだが何故だ?

覚えているのはバスに乗っていたことと・・・すさまじい衝撃を受けたこと。

どうやら壮大な多重事故に巻き込まれたようだな。

というか人数が多すぎでは?

なにか叫んでいる連中がいる。殴り合いをしている連中もいるようだ。

だがそういう連中との距離は近いのだが遠い世界の出来事のような感じだ。

まるでTVを見ているような・・・?


「はーい!!!エブリバディ!!!謹聴」


今まで全く気が付かなかったが宙に何かが浮いていた。真っ白のピエロだ。

白い部屋に真っ白のピエロ。視にくいよ。


叫んでたり殴り合っている連中のターゲットがそのピエロに移った。

まあそうなるのが自然な流れかもしれんがこれはまずい。

この状況を引き起こしたのがもしあのピエロとする。

わざわざピエロの恰好をしているということは北欧神話のロキのようなトリックスター系の神ということになる。

下手なことをするととんでもない目にあわされかねん。


「オオオ!!!言葉が通じないいですかね!!!所詮猿だからしょうがないですね!!!」


ピエロの発言で周りのみんなの罵声が大きくなっていく。


「アアア!!!うるさい!!!うるさいよ!!!」


そう言った瞬間音が消えた。


「もう十分叫んだだろう!!!もう十分だ!!!もうお前らの話は聞かない!!!お前らの声はいらない!!!」


要望や交渉の余地がなくなったということ。やっちまったな。


「時間が無いんで説明するよ!!!その必要はない気もするけどね!!!」


どうやら説明はしてくれるらしい。音はしないが暴れている連中がいる。

さきほと殴り合っていた連中でピエロに靴やカバンを投げつけているのもいる。


靴やかばんはピエロに当る前に不自然に落下した。

その瞬間暴れている連中がいきなり停止した。わたしも手足が動かせなくなった。

首と目は動くが口は動かせない。


「はーい!!!いいですか!!!あなたたちは先ほどの事故で死にます。。ええと・・・ばす?とたんくろーりー?とやらが衝突してせんろ?に落下してそこにでんしゃ?が2台突っ込んだようです!!!最初に言っておきますがこれは私の責任ではないです!!!たんくろーりー?の運転手は心筋梗塞?のようです!!!せんろ?にばす?が落ちたのは道路の作りが問題ですね!!!」


壮大な事故レベルでなかった。夕方のニュースレベルではなく世界に配信される。


「まだ死んではいませんがこのままでは死にます。あなた方に生き残るチャンスを与えましょう!!!ただし異世界でですけどね!!!まあこちらの都合で魂を異次元に送らないといけないのでちょうどよかったんですよ!!!あなた方は運がいいですよー!!!!」


運が良ければ事故に遭わない。


「ただ問題がありまして行き先は魔法があって魔物がいる世界なんです!!!なので特典を皆さんに差し上げます!!!」


よっしゃきた。


「ただ時間がありませんのでこっちで皆さんに合ったモンスターを選びました。そのモンスターの特徴を皆さんにはつけてあげましょう!!!」


モンスター?特徴?


いきなり目前にまばゆい光が走った。

目の前に巨大なドラゴンが出現した。


<<エンシェントドラゴン>>


おおお・・・なんか脳に情報が直接流れ込んできた。

このドラゴンの特徴と言うことか?いかなる武器でも貫けない鱗。城でも一撃でも粉砕する力。空を飛ぶ翼。ドラゴンブレス。と言うことだな・・・ん?

ドラゴンの頭の前に人がいる?角刈りの体格がいい男子学生だ。

その学生がこちらを見て鼻で笑ってドラゴンに振り返った。およよ・・・

わたしを見たんじゃないな?

私の右下を見てみると・・・水色の饅頭が。

よく見ると目があるなこの饅頭。


<<ブルースライム>>


スライムって本当はネバネバの液体状のモンスターだったはず。

これはゲームや漫画のスライムでは?それとも実はこれが正解なのか?

それにしてもモンスターの落差がひどくね?

エンシェントドラゴンとブルースライムて・・・

回りを見渡すと一回り小さいドラゴン、サイクロプス、デカい狼、デカいゴリラなどいろいろなモンスターがいる。・・・あれはゴブリンか?まさかな?コブリンの特徴は弱いことだからな。


「おおおー特典を選択させろと?!!!わがままですねー!!!まあいいでしょう!!!あなたは最初から騒がず聞いていたので聞いて上げましょう!!!」


同じことを考えたやつが居ると。


「あなたがたに合ったモンスターをこちらで選んだが気に入らないと!!!まあいいでしょう!!!好きなモンスターを選んでいいです!!!」


手足が動くようになった。周りの人たちのなか一部がドラゴンの元に移動し始めた。半分以上の人たちは動かないがどうしたんだろうか?選んでもらったモンスターが気に入ったのか?

他人のことを考えているよりも自分のことだ、わたしもエンシェントドラゴンにするか?

あなたがたに合ったモンスターを選んだというのが気になる。合わないとどうなるのかの説明はない。

といってブルースライムを選ぶ利点は無いような・・・

ん?

ブルースライムの右には赤いスライムと焦げ茶色のスライム

おおおお!

私の右に信じられないものが!

赤ちゃんが3人!一人はガチ赤ちゃん。一人はよちよち歩きで一人はなんとか立っている。

このピエロいかれてるのか?いくらチートがあっても赤ちゃんが異世界で生きていける訳がないだろう!


「ふふふん?おおお!!!わたしとしたことが!!!確かに赤ちゃんをそのまま転移するのはよくありませんねー!!!赤ちゃんや小さい子たちは普通に生活出来るところに捻じ込むとします!!!」


私の前から赤ちゃんが消えた。おっとそれどころでない。どのモンスターを選ぶか?


「なるほど!!!異世界などに行きたくないと!!!異世界に行きたくないと言うというのであれば!!!モンスターを選択しなかったら元に戻すとしましょう!!!」


元に戻す?元の世界に戻すと言うこうことだろう?

となるとまだ死んでないがこのままだと死ぬと言うことだよな?

となると・・・やっぱりエンシェントドラゴンだよな。

凄まじい爆音がして全身に激痛が走った。

何がどうなった?


「この私に対してイカレテルやバカやアホなど不遜がすぎますな!!!不遜!!!たとえ猿と言えども許されることではないです!!!」


くそ・・・やられたな。周りを見ると体から煙が出て倒れているのが結構な数いる。

不遜仲間がいっぱいいる。思うだけで危険と言うことか。


「さーあ!!!もう時間がありませんよ!!!モンスターを選んでください。選ぶとはモンスターに触れるということです!!!」


まずい。体が動かない。

モンスターを選ばなければ元に戻される。事故で死んでしまうという元の状態に。

ブルースライムはどこにいる。目の前にレッドスライムがいるということは後ろ。

仰向けになったまま地面を這うがほとんど進まない。


「はーい!!!タイムアップ!!!選ばなかった人は元の世界に戻ってくださーい!!!死ぬほど苦しいですが安心してくだい!!!確実に死にます!!!」


やっぱりそうだったな。


「モンスターを選んだ人は異世界に飛ばします!!!人族の街や村の近くに飛ばします!!!人目がある所に転移は出来ませんから!!!街に行くのも行かないのもあなた次第!!!」


床の色が薄くなっていく。モンスターを選ばなかった人たちが一人ひとり落下していくのが見える。

目の前のエンシェントドラゴンがいきなり小さなパーツに分解された。それに触れていた人々にそのパーツが吸い込まれていく。


ブルースライムはまだまだ先だ。このままでは間に合わない!

ぐが!

左足に激痛が走る。首を回すと左足が焦げ茶色のスライムに取り込まれていた。

不遜のやからは許さんと言うことか?事故で死ぬのではなくモンスターに喰わせると。

右足にも激痛を感じた。見てみると白いスライムだ。床が白色だったので認識できなかった。

今度は右腕に激痛が!右腕には赤いスライムが貼りつていた。

いきなり床が抜けた。体が落下していく。

右腕と両足に先ほどを超える激痛を感じた。明らかに互いに違う方向に引っ張られている。


ぷに!


左腕がブルースライムに取り込まれていた。

事故で死ぬのを免れたがスライムに食われて死ぬということか。

どうしてこうなった。


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