創造神様からの依頼
楽しんで頂けたら幸いです。
夢を見ている。靄の掛かる白い塔の天辺。
『ケンジ、久しいの』
「創造神様、ご無沙汰してます」
目の前にいるのは、ケンジをこの世界に喚んだ創造神。駅で階段から落ちて亡くなったケンジにチートな能力を渡し、二十歳に若返らせ転生させてくれた。ケンジを何時も見守っている存在。
「仕事が忙しくて、 教会に足を運ぶ事が出来ず申し訳ありません」
『いや、便りが無いのは元気にやっている証拠じゃ、 気にするでない』
そう言って創造神は右手をひらひらさせた。
『今日は儂から頼み事があって来たのじゃ』
「頼み事、どういった内容でしようか?」
『うむ、此処だと余計な力を使う。教会で話しても良いかの?』
「解りました。朝の内に教会に伺います」
『うむ、でわまたの』
白い靄が薄くなると同時に、ケンジの意識も覚醒してくる。
ゆっくりと目を開く、隣にはシェリーが寝ている。何時もなら俺よりシェリーの方が先に起きているのに。
夢の事もあるし、起きて教会に行きたいのだが、シェリーの足が俺の足に絡みついて起きれそうもない。
起こすと可哀想だしな。俺はシェリーが起きるまで髪を撫でたり、頬をつついて時間を潰した。
今朝はシェリーが起きる前にアミが起きてきた。アミにシーツを剥がされ、足を絡めているのを見られたシェリーは、朝から顔を真っ赤にしていた。何時もより遅い朝食を食べてから |《草原の止まり木》《いえ》を出た。教会に入って祭壇の前に跪く。
「遅くなって申し訳ありません」
『儂こそ、急に呼び出してすまんかった』
そう言って創造神様は話しを続けた。
『ちと困った事が起きての、 ケンジに頼みがあるんじゃ』
ケンジは創造神を見上げて言った。
「今の俺がいるのも、創造神様のお陰です。 何なりと仰って下さい」
『うむ、 実はの、 天使が堕天しおった』
「堕天ですか? って言うかこの世界に天使がいたのは初耳です」
『うむ、ケンジは儂の眷族で、 天使もまた儂の眷族じゃ。 眷族同士は互いに干渉せん事になっておる。自然とな』
自然とそうなるのか、よく解らない説明だが、創造神様が言うのだからそうなのだろう。
「それで、どうせよと」
『うむ、討伐してもらいたい』
「え~と、堕天したら、 天使には戻れないのですか?」
堕天したとはいえ、同じ眷族同士と言う事もあり、ケンジは躊躇った
『一度堕天したら、もう二度と天使には戻れん。 あやつは女神に昇格が決まっていたんじゃ。 じゃが人間の男に恋しての、 無理矢理関係を迫ったんじゃ。 それが元で堕天したんじゃ』
「なるほど、解りました」
ただケンジには創造神の言葉で、一つ引っ掛かる事があった。
「創造神様、 俺も創造神様の眷族です。 俺は天使ではありませんが、シェリーと結婚しています。 俺にも何らかのペナルティがありますか?」
『ケンジにはペナルティなんぞ無い。 そもそも、シェリーと結婚した時は、ケンジは儂の眷族ではなかったからの』
創造神の言葉にケンジは安堵した。
「それで堕天使の居場所はわかりますか」
『うむ、この街から西に行った所にラック湖があるじゃろ。 その湖の北側の森にいる。 堕天使の名前はアグノラ。 堕天したとはいえ、 女神にも成れる逸材じゃった。 実力も高い、心するんじゃな』
「解りました。 すぐ討伐に向かいます」
ゆっくりと目を開ける。長い時間創造神様と話していた様に感じたが、それほど時間は経ってないようだ。
ケンジは一旦家に帰ってからにしようとしたが、思い直し直接討伐に行こうと決め、教会を後にした。
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