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ある冒険者の視点3

来月の投稿を予定していましたが、書けたので投稿します。次回は本当に四月です。

楽しんで頂けたら幸いです。

 私達《三本の矢》 の三人は幼い兄妹の案内で、七階層に降りた。

 視界一杯に平原が広がり、右手に湖が見える。湖に近づくと小川が見えてきた。小川は湖に流れている様だ。



「あっ、魚が泳いる」

「この辺りの魚は、冒険者さんのために放しているのです。だから自由に捕って食べていいのです」

 エリカはアミの言い様に違和感を感じた。まるで、自分達がダンジョンを管理している様な物言い。

 この兄妹とその父親には何かある。



「益々あなた達のお父さんに会いたくなったわ」

「会ってもいいけど、お父さんと仲良しさんになるとお母さんがヤキモチを焼くから気をつけるのです」

 兄妹は私達を連れて小川沿いを湖とは反対の方に歩いて行く。

 三十分程歩いただろうか、アリサがフォートに話し掛けた。



「ねーこの先に行って何も無いんじゃないかなー」

「私もそんな気がする」

「気が合うな俺もだ」

  アリサに問いにエリカとシーグも同意した。

「この辺りから、お父さんの魔法 【不可視】 と 【誘導】 の効果範囲に入ったから、そう感じるんだよ。 僕達と手を繋いで歩こう」

 フォートはシーグと、アミはエリカとアリサの間に入り手を繋ぐ。右手にエリカ、左手にアリサと言った具合。

 手を繋いで歩いて行くと、何か薄い膜を通り抜けた気がした。



「おおっ!?」

「えっ!?」

「ありゃー」

 シーグとエリカとアリサは、其々驚嘆の声を上げる。

 薄い膜を抜けた先には農場があった。平屋で長い建物、柵で囲った放牧場、生け簀の様な物迄見える。

 放牧場に放されているのはカウだろうか、このリージョンド王国には生息していない筈だが。

 エリカとアリサが柵に近づきカウを眺めていると、シーグが奇声を上げて両手剣を構えた。その先には。



「「「ミノタウロス!?」」」

 長屋から出て来たのだ。フォートがシーグに剣を納める様に言っている。

「この農場にいるミノタウロスは、 お父さんの奴隷なのです。 危なくないのです」

 この兄妹の父親は、一体なんなのだ!ダンジョンに農場ばかりか、魔物まで奴隷にしている。困惑するエリカとアリサの後ろから女性が話し掛けた。



「あら? お客様かしら?」

 エリカ達が振り返る、そして息を飲んだ。女性は栗色の髪を緩く三つ編みにして左肩から流している。服装は麻のシャツに膝丈のスカート、卵の入った籠を左の肘に掛けていた。



「お母さんただいま!」

「お帰りなさいアミ」

 アミは母親の腰の辺りに抱きつき、母親は優しく微笑んでアミの頭を撫でている。親子の抱擁を見ながらエリカとアリサはゆっくりと息を吐き出した。

 兄妹達の母親はあまりにも美しい。

 子供達の年齢から推測すると二十五歳位か、だが見た目は二十歳位。透き通る様な白い肌、服の上からでも分かる豊満な胸、二人の子供を産んだとは思えないプロポーションだ。

 最も、《三本の矢》 のメンバーは

 兄妹達の母親、シェリーが神格化したケンジの眷族である事は知らない。



 フォートとシーグが近づいて来たのを見て、兄妹達が母親に挨拶した。

「お邪魔してます。 私達は王都で活動している冒険者パーティー 《三本の矢》 と申します。フォート君とアミちゃんにお願いして連れて来て頂きました」

「まあ、こちらこそご丁寧な挨拶ありがとうございます」



 お互い自己紹介が済んで農場にある休憩所に三人は案内された。休憩所と言っても煉瓦造りの二階建て。

 内装はクリーム色、家具は白に統一されている。四人掛けの白いテーブルにエリカ達が座る。シェリーがトレーにポットとカップを乗せてきた。先程からシーグは顔を真っ赤して下を向いている。気持ちは分かる。王都でもシェリーさん程の美貌の持ち主は居ないだろう。

 それに神々しい。



「それでどの様なご用件でしようか」

 カップに口を着けた後シェリーが切り出した。

「ダンジョンでフォート君とアミちゃんの戦いを見ました。 二人はお父さんから戦いを教わっていると言っていたので、是非お会いしたいと思いフォート君とアミちゃんにお願いしたのです」

 エリカは魔法縛りや、初めて見た魔法をシェリーに話した。

「まあ、そう言う事でしたか。 主人は出掛けてますが、もう帰って来ますから、此処でお待ち下さい」

 そう言ってシェリーは席を立ちキッチンに入って行った。



「いやー凄い美人だねー。 美人で可愛さもあって反則級だよねー」

 アリサそう言いながら、シーグの肘をつついている。シーグはまだ下を向いたままだ。

「思ったんだけど、ネコミミの話しはアリサの勘違いかもね」

「えーそうかなー」

「そうよ…… あんな美人で清楚な人が…… あり得ないわ」

 エリカとアリサがくだらぬ争いをしていると、キッチンからシェリーが焼き菓子を持ってきた。そしてシェリーも座り四人で食べ、お茶のおかわりをしたところで、待望の人物が帰って来た。



「ただいま!」

 その人物は右手にアミを抱き、左手をフォートと繋ぎ休憩所に入って来た。この人が兄妹達の父親でシェリーさんの旦那さん。私達三人は挨拶をしようと席を立ちかけた。



「お帰りなさいあなた」

「ただいまシェリー」

 シェリーさんは旦那さんの首に手を回しキスをする。旦那さんはシェリーさんの腰を抱き体を密着させる。

 一般的にただいまのキスは、唇が軽く触れる程度ではなかろうか。

 二人は啄む様なキスからエスカレートして、舌を絡めて唾液の交換をしていた。何だこの夫婦!



「お父さん!お客さんの前だよ!」

「お母さん!お客さんの前なのです。恥ずかしいのです!」

 旦那さんを後ろから剥がそうとフォート君が引っ張る。アミちゃんもシェリーさんの後ろから引っ張る。



「やっぱりさー、シェリーさんはネコミミ付けてるよねー」

 アリサは誰に話し掛けるでもなく、独り言の様に呟いた。

 フォート君とアミちゃんが力一杯引くと、『ポンッ!』 と言う音を残して二人は離れた。






読んで下さりありがとうございました。

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