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ある冒険者の視点 2

今回の更新で十万字に届きそうです。

次回の更新は4月になると思います。

コメント下さった方ありがとうございます。

楽しんで読んで頂けたら幸いです。

 ボス部屋にはミノタウロスが二十体。その群れの中に人間の子供が二人いた。

 エリカは杖を強く握りシーグとアリサに告げる。

「加勢するわよ!」

「まあ待て、もう少し見ていようぜ」

 前に出ようとするエリカの肩をシーグが掴んだ。

「なに悠長なこと言ってんのよ! 助けに入らないと死んじゃうでしょ!」

「多分……奴らは死なない。俺達が加勢するとかえって邪魔になる」

 エリカはシーグの言っている事が理解できないでいると。

「まーまー、エリカも肩の力抜いて少しの間だけでも様子見なよ。二人とも凄いよ」

 二人の言葉にエリカは渋々従う。

「……解った。でも、ピンチになったら何時でも出られる準備はしておいてよね」

「はいよ」「りょーかーい」



 ミノタウロスに囲まれている二人の子供は、全身赤い装備に包まれていた。

 男の子は兜に軽装鎧とマント、全てが赤い。兜には鳥の羽が一枚ついている。最もショートソードはミスリルで出来ているのか、銀色に輝いている。

 女の子は獣人なのだろうか、頭にネコの様な耳が見える。ローブ、軽装鎧と靴、全てが赤い。



 子供達とミノタウロスの戦いは膠着状態の様だ。どちらかと言えば、ミノタウロスが攻めあぐねている様にも見える。

「ファイアリング」

 女の子が魔法を唱えると二人を囲む様に炎の輪が生まれた。炎の輪はミノタウロスの背丈を越え、外側に広がる。

 エリカは初めて見る魔法に目を見開く。

「何……これ……こんな魔法知らない!?」

「なあ、スゲーだろう」

 シーグがドヤ顔でエリカを見る。

「本当、とんでもないねー」

 アリサは若干頬を引き吊らせ笑った。



 ミノタウロスは広がる炎にジリジリと下がる。その刹那、炎から男の子が飛び出した。

 跳んで二体のミノタウロスとすれ違う。着地してまた跳ぶ。男の子は炎に飛び込み戻った様だ。男の子とすれ違ったミノタウロス三体は首を撥ねられ倒れ、魔石を遺して霧散した。



「ファイアリング」

 女の子が魔法を唱える声を聞こえた。炎の輪がミノタウロスの後ろに生まれた。炎は前方の炎より高くそしてゆっくりとミノタウロスに近づいてくる。内側の炎は外側へ、外側の炎は内側へ、ミノタウロスは雄々しい雄叫びとは真逆の悲鳴を上げて燃え、消えていった。



「あなた達凄いわね!」

 魔石を拾い集めている子供達にエリカは話しかけた。

「私達は王都で活動している冒険者パーティー《三本の矢》 私はエリカ、隣にいるのはアリサ、それとガタイの良いのがシーグ、よろしくね」

 エリカに話し掛けに子供達が応える。



「わたしは赤いネコミミのアミ。よろしくです」

 アミと名乗る女の子は、さっきまでミノタウロスを屠っていた子とは思えない、可愛らしい笑顔で挨拶をした。

「ぼっ、僕は……赤い……フォート、です」

 フォートと名乗る男の子は恥ずかしそうに顔を赤くしている。

「お兄ちゃんは人見知りさんなのです」

「ちっ、違うよ! 二つ名が恥ずかしいんだよ」



 エリカ達とフォートとアミは自己紹介した後、戦いが終わったばかりのボス部屋で休憩を取っている。

「それにしても、 全身赤い装備なんて変わってるねー」

 アリサが木のコップにお茶を入れてアミに渡す。

「ありがとうなのです。 赤い装備はいつもの三倍速く動けるようになるのです。 ちなみにお兄ちゃんの兜についている羽は隊長の証なのです」

 アミはふうふうしながらお茶を飲む。装備を赤く塗っただけで、三倍速くはならないだろうと思うアリサだが、黙って聞いていた。因みにフォートの二つ名は赤い流れ星だそうな。



 シーグも話に交ざりたいのか、アミに話し掛けた。

「アミちゃんは獣人なのかい?この大陸じゃ珍しいね」

「わたしは獣人ではないのです。ネコミミはカチューシャなのです」

 アミは頭からカチューシャを外して見せる。そのカチューシャにアリサが興味をもった。



「アミちゃーん、あたしにもカチューシャ付けさしてー」

 しかしアミの反応は。

「ダメなのです。これを身に付けて良いのは、わたしとお母さんだけなのです」

 その言葉に反応したのはエリカ。

「んっ? アミちゃんのお母さんもそのカチューシャを使っているの?」

「わたしは、お日さまが出ている間は使えるのです。夜はお母さんが使うのです」

  アミの言葉にアリサの好奇心が増した。

「お母さんはどんな風に使ってるのかなー?」

「使ってる……とこ? わたしは寝ちゃうから、お母さんが使っているところは見てないのです。でも、使うとお父さんが元気になるってお母さんが言ってたのです」



「ああー、そうなんだー」

 アミはアリサがニヤニヤしているのを、不思議そうに見つめる。

「アっ、アリサ? もういいでしょ?」

 顔を赤くしたエリカがアリサの袖を引っ張る。アリサは満足したのか、話しを変える。



「さっき見たけど、アミちゃんの魔法すごいねー、 ビックリしちゃったよ」

「今日は魔法縛りだったから、わたしもお兄ちゃんも大変だったのです」

「へっ? 魔法縛り?」

 アリサはアミが何を言っているのか解らなかった。

「魔法縛りと言うのは、 決められた魔法しか使わない事を言うんだよ」

 アミの言葉を補足する様にフォートが答えた。


 フォートの言葉に《三本の矢》 の三人は困惑した。何故制約を掛けて戦わねばならないのか。その制約に何の意味があるのか。



 アリサが更に尋ねる。

「その縛り? は、 ネコミミ好きのお父さんが決めたの?」

「はい、 なのです。 でもお父さんはネコミミだけじゃないのです。 ワンピースも大好きなのです」

「……何か知らないけど、 どんどんお父さんの性癖が出てくるねー」

 


 何で制約の話しが、性癖の話しになっているのかしら。エリカは顔を真っ赤しながらアリサの袖を引く。

「んっ?」

「もういい、 私が聞くわ」

 エリカはフォートとアミを見つめた。

「私達をあなた達のお父さんに会わせてくれない?」

 フォートとアミは互いに目を合わせた後、一緒に応えた。

「「いいよ」のです」」







読んで下さりありがとうございました。

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