屋上ビアガーデン
久しぶりに更新しました。
更新が止まっていた間、ブクマ登録して下さった方、評価して下さった方、続きを待っていて下さった方、ありがとうございます!
楽しんで頂けたら幸いです。
「いいぞ! その調子だ!」
「えへへ、沢山出ているのです」
俺達家族は、ダンジョンの七階層に作った農場に来ている。ピエド王国から、牛に似た野生のカウを捕獲して、飼育を始めた。今している作業は乳搾り。アミにコツを教えているところだ。乳首の付け根から、下に締め付ける様に搾り出す。昔に家族と行った牧場体験を思い出し、やってみたら出ること出ること。シェリーとフォートとアミに、やり方を教えて回る。今日はビアガーデンで飲む身内の分だけ搾乳する。近いうちに魔道具で搾乳が出来る様にしたいな。
「もうその位で良いよ、お疲れ様」
「慣れると面白い様に出るわね」
「面白かったー」
「楽しかったのです」
三人とも楽しんで乳搾り体験が出来て何よりだ。バケツに搾った牛乳を、瓶に移し換えて殺菌をする。
日本にいた時に飲んでいた牛乳のパックには、低温殺菌やら高温殺菌と書いてあった。だが、ここは魔法の世界。創造魔法で 【殺菌】 をした。後は飲みごろに冷やせば良いだろう。
カウの肉を担いで、ミノタウロスがやって来た。奴隷化したミノはとても便利で重宝している。人形の魔物は教えれば覚えるし、体力もあるから疲れ知らず。俺達は肉と牛乳を持って、ダンジョンから《草原の止まり木》二号店に、亜空間トンネルで移動した。
屋上のビアガーデンには、商業ギルドのギルマスのマークさんと、銭湯で働く従業員と宿の従業員、孤児院の子供達を招待した。子供達は《草原の止まり木》二号店で働いて貰う事になっている。
「みんな、グラスは持ったかな、それじゃ、これからのみんなの健康と幸せの願って、乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
テーブルに置かれた炭火台に、各々肉をのせて焼き始めている。生焼けには注意するようにテーブルを一回りして席に着くと、家族は焼き上がった肉にかぶりついていた。
「あなた! 凄く美味しいわよ」
「こんなに美味しい肉は初めてだよ」
「お兄ちゃん、その肉は生焼けなのです」
シェリーとフォートの笑顔と、末っ子のアミが困った顔をして兄を注意する。なんか良いな、一家団欒。
シェリーが焼いた肉を皿にのせて目の前に置いた。一口食べると肉汁が口一杯に広がり何とも言えない美味さだ。肉と焼いたニンニクを一緒に口に放り込む。幸せだー!
「ケンジさん、カウの肉は絶品ですな!」
満面の笑顔でマークさんが俺達のテーブルに来た。
「美味いでしょ、これがカウの肉です。これは広まりますよ」
「ええ、そうなりますな! それで商談なんですが、是非ともうちにカウの肉を卸して頂けませんか?」
マークさんは食いつき気味に迫ってきた。怖いよ。
「その事は後日に商談しましょう。マークさんには、肉の加工とか乳製品の相談しようと思っていたのです」
「解りました。そういう事でしたらいくらでも力になります」
マークさんが離れた後回りを見る。みんな楽しそうだ。従業員も孤児院の子供達も。宴は夕方子供達が帰った後も、深夜まで続いた。
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