ピエド王国
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プレリの街からピエド王国に入るには、大陸を縦断するエレベ山脈を越えなければならない。エレベ山脈は、以前にブルードラゴンと戦った場所でもある。【亜空間トンネル】
は遠く離れた場所を繋ぐ事が出来る魔法だが、初めて行く場所はイメージが無い。とりあえず、エレベ山脈のドラゴンと戦った場所に【亜空間トンネル】 を繋いだ。
「ここがブルードラゴンと戦った場所なのです?」
「所々、大きい穴が空いているけど、お父さんがやったの?」
アミとフォートが興味津々に聞いてくる。
「そうだよ、厳しい戦いになったけど、最後はお父さんが魔法の槍で倒したんだ」
俺の戦いぶりを、目を輝かせて聞く子供達。満更でも無い気分に浸っていると、シェリーが俺の耳元で囁く。
「ここであなたが死んだのね」
シェリーを見て、言葉に出さずに頷く。シェリーには、ドラゴンとの戦いに敗れて死んで、創造神様に新しい体を貰った事を話したが、子供達には話していない。ショックを受けるかも知れないしな。
ここからは、ウィンドライドを使って移動する。エレベ山脈の頂上が、国境線になってはいるが、監視をする兵はいない。険しい山は人を寄せ付けず、無人ではあるが、天然の砦の様である。俺達は国境を抜けて、ピエド王国の王都に入った。
入国審査を受けた際に、リージョンド王国から来た事を告げると、凄く驚かれた。こんな小さな子供達を連れて、よくエレベ山脈を越えてこれたものだと。周りの目もあるし、適当な事を言いながら魔法を使った。
【暗示を掛ける】
魔法に掛かった審査官は、納得して入国を許可した。
王都は、リージョンド王国の王都の面積と、其ほど変わらない印象を受けた。ただ、街行く人を見ると、厚手の服装の人が多いと感じた。これは、エレベ山脈の麓に、王都がある事が関係している。山を吹き下ろす風は、プレリの街に吹いている風よりも冷たく、じっとしていると寒く感じる。陽はまだ高いが宿を探す。
一度落ち着いてから、王都を観光しても良いしね。
「良さそうな宿ね」
シェリーの一声で 《山びこ》 と言う宿に決まった。四人部屋を取り部屋に案内される。四人で一部屋に泊まるのは、初めてだ。
「さぁ、みんな、着替えましょう。あなた、私達の服を出して」
俺は魔法のウエストポーチから洋服の入っている鞄を取り出した。ウエストポーチから、鞄を取り出す光景が可笑しいのか、アミがケラケラ笑っている。
「あなた、この服似合ってる?」
「とても似合ってる、最高だよ」
シェリーはグリーンの膝丈のワンピースだ。
「お父さん、私はどうです?」
「とっても可愛いよ」
アミは赤いワンピースだ。胸元に金色の糸で蝶の刺繍がワンポイントになっている。
「フォートも良く似合ってる。カッコいいぞ」
二人に比べると、大人しい印象だが、茶色のズボンとジャケット、それに帽子をかぶったフォートは、子供ながらにイケメンだ。今回は俺もフォートに合わせて、サイズ違いのお揃い。
シェリーと子供達が、楽しそうに服を誉めあっているのを見て、俺も自然と笑みがこぼれた。
みんなテンション高いな。
「それじゃ、王都観光に行くぞ!」
「「「おおお!」」」
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