魔法幼女 (主人公とヒロインの娘、アミの視点)
更新が遅れてすみませんm(__)m
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楽しんで読んで頂けたら幸いです。
「お兄ちゃん、木が倒れるから退いてです」
「ああ、回りの人達に声を掛けるから、ちょっと待って」
お兄ちゃんと私は、銭湯で燃やす薪を取りに森に来ています。
木を伐採した後乾燥させて運ぶのです。お兄ちゃんと私以外に、年上で妹弟子のディエスさん、商業ギルドから頼まれた木こりさん、冒険者ギルドから二人の冒険者さん、この二人は私達を守る役目です。
私がウィンド・カッターを使って木を倒します。その後、木こりさんが枝を落として馬車の荷台に載る様に切り分けるのです。
「アミ、荷台に載せるから手伝って」
「はい、なのです」
お兄ちゃんと二人で切り分けた木を運びます。普通は、大人の人でも、十人は居ないと運べないのです。
でも、お兄ちゃんと私は、お父さんから新しく魔法を教わって、二人でも運べる様になったのです。
「アミ、行くよ、せーのっ」
『『フォークリフト』』
重たい木を、お兄ちゃんと私が持ち上げて運ぶと、木こりさんや冒険者さんから、歓声が上がりました。
魔法名の意味は、解らないけど、唱えると力が湧いてきて、どんな重い物でも、持てそうな気がするのです。妹弟子のディエスさんもこの魔法を使えるけど、今日は冒険者の二人と一緒に私達を守る役目をしています。お昼ご飯を食べた後、午後の仕事が始まる迄、お兄ちゃんと私はネバ芋を探しに辺りを歩き回っていました。
「アミ、見つけたよ」
お兄ちゃんがしゃがんだ横に、私もしゃがみます。
「この白い花がネバ芋なのです?」
私が白い六枚の花弁を指差して聞くと。
「ネバ芋は土の中で育つからね、この花の下に埋まっているネバ芋を取り出そう」
お兄ちゃんと私は、丁寧に土を掘っていきます。ネバ芋は長くて折れやすいので、気を使うのです。時間を掛けて掘り出したネバ芋は、一メートルは有るのです。
「大物だ、お母さんに持って行ったら、喜ぶよ」
お兄ちゃんはそう言って、ネバ芋を私に渡しました。お母さんは、ネバ芋をお父さんに、良く食べさせていました。元気が出るからと言っていたけど、お父さんは元々元気なのです。
「兄弟子、姉弟子、ネバ芋は採れましたか?」
妹弟子のディエスさんが来ました。
「大物なのです」
「これは凄い」
ディエスさんは、ネバ芋を手に取って言いました。次いでに疑問を聞いてみるのです。
「お母さんが、お父さんにネバ芋を食べさせて、元気にしたいと言っていたけど、お父さんは元気なのです、私は他に理由が有ると思うのです。ディエスさんはどう思うです?」
私の質問にディエスさんは、顔を赤くして横を向きました。
「……それは、私ではなく、直接師匠と一番弟子のシェリーさんに聞いた方が良いと思います」
ディエスさんは、話しを反らす様に、休憩が終わった事を告げて、冒険者さんの所に歩いて行きました。
帰ったら、もう一度お母さんに聞いてみるのです。
午後も木の伐採をして、そろそろ帰る支度を始めていた時、それは起こりました。
「魔物が出たぞ!」
誰の声かは解りませんが、馬車の荷台に木を載せていた私とお兄ちゃんは、声のした方向に走り出しました。森に入り、木の間を縫うように走って行くと、魔法の爆発音と微かに剣撃の音がします。私とお兄ちゃんは用心しながらも、スピードを落とさずに全力で走りました。そしてたどり着いた先には、二人の冒険者とディエスさんがいました。冒険者の一人は倒れていて、もう一人の冒険者とディエスさんが、倒れた冒険者を守る様に戦っていました。
魔物はオークとゴブリン、オークは百匹はいる様に見えます。ゴブリンはもっと沢山います。お兄ちゃんを前にしてディエスさん達に合流します。お兄ちゃんはオークを、すれ違い様に足を切り落としたり、首を跳ねたりしてどんどん進みます。
「ディエスさん、助けに来ました!」
お兄ちゃんが、ディエスさんに声を掛けている間に、私は結界魔法、サンクタスサークルを唱えました。
「冒険者さんの傷はどうなのです?」
「息はしてますが、どこまで持つか解りません、HPドリンクはさっき飲ませたのですが、今の状態を保つのが精一杯みたいです」
ディエスさんの話しを聞いて、私は魔法を唱えましす。
『ハイ・ヒール』
怪我を負った冒険者さんの体が光り始め、どんどん傷が治っていきます。光りが消えると、冒険者さんは息するのが楽になったのか、静かに寝息をたててます。
「これで大丈夫なのです」
額に手を当てて、大きく息を吐き出した私に、もう一人の冒険者が涙を流して言いました。
「ありがとう、弟を助けてくれて」
「どういたしまして、弟さんなのですか、とりあえず、皆で森を抜けるのです」
私が治癒魔法で、怪我を治している間も、魔物は結界魔法を破ろうとして、ガンガン叩いて攻撃していました。お兄ちゃんも結界の中から攻撃しますが、魔物の数が多く倒しても倒しても切りがありません。そこで私は、お父さんから新しく教えて貰った魔法で勝負をします。お兄ちゃんは魔力量が足りなくて使えません。お父さんが私の為だけに造ってくれた魔法。
『千の刃』
千の刃、の千は千枚の意味ではなく、数え切れない程の数と言う意味なのです。辺りを見回すと、魔物の姿は無く、沢山の魔石が落ちていました。魔力を使い過ぎたのか、少し頭が痛いけど、我慢なのです。
「さぁ、帰るのです。」
皆に声を掛けたけど、返事が無く、皆同じ方向を見ているのです。
私も気になって見ると、森の奥から人形の魔物が歩いて来るのです。
頭に角、顔は牛、体長は三メートル位で、大きな鉈の様な物を引き摺りながら歩いて来ます。数は……十体。
「ミノタウロスよ!」
ディエスさんの悲鳴の様な叫びに、
これ迄戦った事のない魔物に、不安と怖さを感じました。
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