開店
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銭湯が完成しても、直ぐに営業はせず、一週間を従業員の研修期間に充てた。銭湯は、薪と魔法の併用でお湯を沸かせる仕様にしてあり、お湯を循環させて浄化する方法にした。薪は森に行き、木を伐採して街まで運んだ。今回は俺が一人でこなしたが、次回からは、商業ギルドに頼む事にして、冒険者ギルドにも護衛の依頼をする。商業ギルドのギルド長マークさんは、商業ギルドと冒険者ギルドが、手を組んで仕事をするのは、初めてだと言っていた。
この方法なら、俺が居なくても銭湯を営業出来る。家族とのスローライフの為には必要なのだ。
「開店です! 皆さんどうぞ中へ!」
銭湯の前で待っていたお客さんが、続々と入ってくる。料金は大人銅貨三枚、子供は銅貨二枚、高いとも安いとも言えないが、とりあえずこの料金で営業を始めた。
「盛況の様ですね」
入り口の前で、お客さんの様子を見ていたら、マークさんに声を掛けられた。
「はい、開店する迄は不安でしたけど、この様子だと大丈夫そうです。最も、この盛況が毎日続いてくれればですが」
「大丈夫だと思います、公衆浴場は成功しますよ」
商いのプロのマークさんに、太鼓判を押されて自信が湧いてきた。
俺とマークさんは二階の休憩スペースに来た。床にはカーペットが引かれ、風呂から出たお客さんが、思い思いにカーペットに座っている。
「ケンジさん、お客さんが扇いでいるアレは?」
「あれは団扇と言います。薪にする途中で出た廃材を使って作りました」
マークさんに団扇を手渡すと、強く扇いだり、弱く扇いだりした後。
「これは良い物ですね。私どもにも販売の許可を頂きたいのですが、いかがでしょうか?」
「マークさんには借りがあります。どうぞ自由に販売して下さい」
マークさんの伝がなかったら、土地の購入を出来なかったかも知れない。マークさんは売り上げの三割を支払うと言ったが、俺が借りを返すのだからいらないと言うと、じゃあ一割だけどもと言うので、一割を貰う事で落ち着いた。
夕方になり、お客さんは益々増えて、入場制限を掛ける事にした所、不満を漏らすお客さんが出たが、大きなトラブルにはならず、開業一日目は無事に閉店した。
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