銭湯開始
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王都から帰ってからの数日は、宿の仕事と子供達と遊ぶ時間に使った。
新婚旅行で、俺達に会えなくて寂しい思いをした子供達は、俺とシェリーの仕事の手が空くと、抱き付いて来てべったりしている。昼食後、俺は子供達とメリアを連れて、不動産屋から買った土地に向かう。本格的に銭湯の建設を始めるためだ。
「……バンダイって……何?」
アミが言うと、元いた世界の某玩具メーカーを思い出すな。
「番台って言うのは、お客さんからお金を受け取ったり、タオルを貸し出す所だよ」
丁寧に説明すると、アミは納得して
『解った』 と頷いた。
「銭湯は、一階が男風呂と女風呂と脱衣場、二階を休憩スペースにして、軽い食事とお酒を出す。お酒は夕方からだけどな」
俺の独り言の様な呟きを聞き、メリアが尋ねた。
「それで従業員を十人も雇ったのですね」
「ああ、この先も雇う予定だ」
今回、銭湯を開業するにあたって、大人五人と子供五人を雇った。子供はシェリーの紹介で、教会が運営している孤児院から雇う事にした。
賃金は一月で大人金貨八枚、子供は金貨五枚の契約だ。子供達への支払い方法には、俺も一枚噛んでいる。
金貨五枚の内訳はこうだ、二枚を教会の取り分として、もう二枚を、子供達が退所する時に、渡せる様に貯めておく。残りの一枚を子供達がお小遣いとして貰う。賃金の支払いは、教会に支払う事になり、此によって、子供達の無駄遣いを防げる。教会に取り分が必要なのかと言う疑問もあるが、孤児院を運営するのは大変らしく、寄付で賄えない分を子供達から徴収するのだそうだ。
銭湯が完成する迄、従業員は宿の手伝いと、生活魔法の練習をして貰っている。大人は解らないが、子供達は飲み込みも早く、ディエスが、俺の弟子にどうだと聞いてくる程だ。
まぁ、これ以上弟子を取るつもりは無いけどね。
更地の前で考えた。俺は以前メリアに教わった方法で造るのを止め、創造魔法で造る事にした。日本の銭湯をイメージする、瓦屋ねに煙突、そして二階建て。
そして唱える 【銭湯】 地面が盛り上がり銭湯の形に成型されていく。
魔法名はカッコ良くないが、銭湯は五分と経たずに完成した。
「ひゃー、お父さんは凄いよ!」
「凄いのです!」
フォートとアミが俺を尊敬の眼差しで見ている。
「そうだろそうだろ、お父さん凄いだろ、もっと誉めて良いぞ!」
調子に乗ってふんぞり返っていると。
「完成したのね!」
声に気づいて振り返ると、篭を肘に掛けたシェリーが立っていた。
「お茶とお菓子を持って来たの、休憩にしましょう」
お菓子と聞いて、フォートとアミはテンションが上がってはしゃいでいる。俺達は出来上がったばかりの銭湯の中に入り、脱衣場の床に座って休憩していたのだが…………。
「ねぇ、ケンジ、番台の役割は解ったわ、で、番台には誰が座るの?」
シェリーは物凄く俺を睨みながら聞いてくる。
「お金のやり取りが有るから、子供には任せられない、俺が番台に座るよ」
お金の扱いは、誰にでも任せられるものじゃない事を、シェリーに説明したのだが。
「ケンジが今、どんな顔しているか解る? 鼻の下伸ばして、いやらしい!」
そんな馬鹿な! 確かに番台に座ると言う事は、男風呂と女風呂の脱衣場は見えてしまう。服を脱いでる時に女性のあんな所やこんな所が見えて、ドキドキするかも知れない。だが、それは仕事だ。邪な気持ちなど持ってなどいない! これは、シェリーにガツンと言わねばなるまい。俺はシェリーに一言もの申そうとした時、アミが袖を引っ張ったので、視線をアミに移した。
「お父さん、何時もの三倍、鼻の下が伸びているのです」
「えっ! それ本当!」
三倍と聞いて、思わず叫んでしまった俺に、アミは引導を渡した。
「本当なのです。お母さんを悲しませたら、ダメなのです」
俺は深く反省した。子供は敏感だ、俺は無意識の内に、エロい方向に進んでいたのだろう。俺はシェリーと子供達に頭を下げ、何とか許して貰った。番台は撤去、内装を改装してカウンターを設置した。銭湯が、スーパー銭湯になってしまった。
しかし、鼻の下が三倍って…………。
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