魔石と牙と爪と鱗の扱い
「ふぁぁぁ……」
朝方まで、シェリーと致していたせいか、あくびが止まらない。まぁ、ほとんど毎日朝方までしているから、今朝に限った事ではないけれど。
そんな事を考えながら、商業ギルドの扉を押す。ギルドに入るとカウンターがあり、ギルドの職員が三人座っている。その中の、一番右に座っている金髪ショートの女性に声を掛けた。
「おはようございます、レーヴルさん」
「あら、ケンジさんおはようございます、今日は早いですね」
俺はこの街に来て以来、商業ギルドに魔石を買い取って貰っている。彼女は俺の担当だ。
「魔石とその他諸々、査定をお願いします」
「解りました、では、カウンターに出して下さい」
「今回は魔石が大きいし
、大量に素材があるので、広い場所に出したいのですが」
「それでは、ギルドの裏にある倉庫で査定しましょう」
レーヴルさんの案内で、ギルドの倉庫に来た、そこに魔石とドロップ品の牙と爪、素材の鱗を置いた。
「……こっ、これは!?」
レーヴルさんは驚き目を丸くしている。目の前には、巨大な魔石と牙と爪、鱗が山の様に積まれ、中々壮観である。
「ブルードラゴンの魔石と、ドロップ品と素材の鱗です」
魔石と、その他諸々の素性を告げると、アワアワしながら、 『ギルドマスターを読んできます!』 と言って、走り去った。
しばらく待っていると、レーヴルさんが白髪の男と一緒に戻って来た。
「はじめまして、私はギルドマスターのマークと申します」
五十歳位だろうか、物腰の柔らかい話し方、年下の俺に丁寧な言葉使い、商業ギルドで上に立つ人物はこういう人なのだろう。
「此方こそはじめまして、ケンジと申します。以後お見知り置きを」
互いに挨拶が終わり、マークさんは
魔石とドロップ品、鱗の鑑定をした。
「どれも素晴らしいです、ブルードラゴンの魔石は国宝級ですね。他の品も素晴らしい」
マークさんは鱗を持つ手を震わせながら話した。俺は率直に聞いた。
「ありがとうございます、それで、どの位で買い取りして貰えますか?」
「査定額は、魔石が金貨一億二千枚、牙と爪が金貨二千枚、鱗が金貨千枚、合計で金貨一億五千枚になります」
金貨一億五千枚! あまりの金額に、腰が抜けそうになる。
「それでお願いします!」
即答するとマークさんから笑顔がこぼれたが、直ぐに表情が暗くなった。
「確かに適正な買い取り額だと金貨一億五千枚ですが、当ギルドでは、そこまでの金額を御用意出来ません。恥ずかしながら、その金額を支払う財力も、コネクションもないのです」
マークさんの言葉に俺は落胆した。まるで、天国に後一歩の所で、地獄に突き落とされた様な気分。
「参りました、実は不動産屋と土地の契約を交わしまして、直ぐにお金が必要なのです」
俺はマークさんに事情を説明した。
「なんと、あなたは 『草原の止まり木』 の主人様でしたか。お噂は聞いています。街で唯一お風呂が有る宿、そうでしたか、貴方が……」
「いえ、私は宿の主人ではありません、宿の女将の娘と結婚して、宿の仕事を手伝っているだけです」
マークさんは俺の話しを、真摯に受け止めて、ある提案を出した。
「オークションはどうでしょうか?
他には有力な貴族様にお売りになる方法もございます、但し、オークションの開催は一月後になります。不動産屋との契約に間には合いません」
俺は頭を抱えその場に座り込んでしまった。
「ケンジさん、貴族様に買い取って頂くのは、如何ですか?」
「即決で払ってくれる貴族様なんて、居るのでしょうか」
「います、『ジュネス・フォレ・ベーゼン侯爵』 なら直ぐに支払うでしょう」
マークさんの話しだと、その人物は次期国王の呼び声も高く、温厚な性格で王都での人気も高いらしい。
それに王になった時に、国宝級のブルードラゴンの魔石を持っていれば箔がつく。
「侯爵様とは直ぐに連絡が取れますか?」
「早馬を利用して、ジュネス侯爵様からの返事をお待ちする期間を合わせると、一週間も掛からないと思います、その位の期間でしたら、当ギルドが、ケンジさんの支払う金貨四千枚を、お立て替え致します」
俺はマークさんの提案を受け入れた。貴族との繋がりが出来そうで少し不安だが、家族とスローライフを送る為だ。
「マークさん、宜しくお願いします」
「此方こそ宜しくお願いします、ケンジさん」
マークさんから、金貨四千枚を借りて不動産に支払った。土地は俺の物になったが、借金した負い目が俺のモチベーションを下げ、魔石が売れてから工事をする事にした。
侯爵よ早く連絡よこせ!
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