再戦
ブルードラゴンは、俺と戦った場所から動いてはなく、翼を広げたままじっとしている。その姿勢が日光浴なのか、俺との戦いの熱を冷ます為なのかは解らない。ヤツはまだ俺に気づいてはいないようだ。ゆっくりとヤツに向かって歩いて行くと、微かに震える自分に気づく。さっきヤツに殺されたばかりだ。正直に言うと怖い。だが、創造神様から頂いた新しい体を信じて戦う。
創造神様は、俺が創造魔法を使いこなせていないと言っていた。常識に囚われず、もっと自由になれと。体内に意識を集中すると、魔力が血液のように循環しているのが解る。創造神様は、神聖魔力と言っていた。
自由に……自由に……自由に!
ウィンドライドを使いブルードラゴンに近づく。すると、ヤツは俺がいるのを解っていたかのように、空に逃げようとした。
俺は飛ばれると厄介だと思い、創造魔法を唱える。
【重力百倍】
飛ぼうとしたブルードラゴンは、地面にめり込んだ。ブルードラゴンを中心に、円形に地面が凹みクレーターのようだ。身動き一つ出来ないのを確認して、俺はウィンドライドを破棄した。まずは、俺の首を斬り飛ばした鱗だな。
【鱗よ剥がれろ】
創造魔法がブルードラゴンの体を包み、一瞬光った後、爆散したように鱗が空に舞う。その光景が美しくつい声が漏れた。
「綺麗だな、まるで桜の花弁が、風に舞っているようだ」
鱗が見せる幻想的な風景に、心を奪われていると、何か臭う。
「臭い!何だこれ、生臭い!」
また声が漏れてしまった。やはり、鱗は鱗だな、桜じゃない、うん。自分一人で納得して、羽をむしられた鶏のようになったブルードラゴンに止めを刺す。
【聖槍よ穿て】
手から聖魔力が流れ、槍の形になって飛び、身動きの出来ないブルードラゴンを頭から串刺しにした。
ブルードラゴンは霧散して、辺りには、魔石とドロップした牙と爪が落ちていた。鱗も散らばっているが、死ぬ前に剥がれた物だからか、そのまま残っている。勝った!俺は叫びたい衝動に駆られ、拳を突き上げて叫んだ。
「我が人生に一片の…………。」
途中で気がついて止めた。いかんいかん、これじゃ創造神様の事言えないよ。魔法のウエストポーチの口を開き創造魔法を唱える。
【バキューム】
土や石は吸い込まずに、牙と爪と鱗を吸い込む。粗方吸い込んで、最後に大物に取り掛かる。魔石だ、長さは二メートル、幅は一メートル程、形はオーバルとか、陸上のトラックのような形だ。厚みもあり、かなりの重量だろう。しかし、この魔石の凄い所は、澄んだブルーをしている所だ。魔石を通して反対側が見える。此処まで、澄んだ色をしている魔石を見るのは初めてだ。バキュームを使って魔石を仕舞うと、ウィンドライドで山を降りる。
早くシェリーや子供達に会いたい。
会って魔石やドロップ品を見せてやりたい。俺はウィンドライドを全開にしてプレリの街に戻った。
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