異世界に銭湯を
マノンが宿で暮らすようになって1週間が経ち、我が家の生活も元の穏やかな日常が戻ってきた、かに思えたが、相変わらず、風呂の恩恵を受けた 『草原の止まり木』 は満室状態が続き、休む暇もない。俺と子供達は食材探し、シェリーは宿の仕事を一日中、マノンはディエスにベッドメーキングを教わって部屋の掃除婦として手伝って貰っている。もっとも、午前中はシェリーの進めで、子供達と一緒に教会に行って、読み書きと計算を習っている。あまりの忙しさに、従業員を二人雇ってみたが、根本的な解決にはならなかった。この街の住人は風呂に飢えてる。近所の奥様方も連日押し寄せ、風呂だけ入れてくれとせがんでくる。この街には銭湯が必要だ。俺はシェリーとマリーさん、ディエスとメリアに集まって貰った。
俺は銭湯の必要性を説き皆を説得する。
「そう言う訳で、大衆浴場、銭湯を作ろうと思います」
俺の提案に、真っ先に反応して賛成したのはシェリーだ。
「良いと思うわ、その、せんと?って言うの」
シェリーは覚えたての単語を使い、俺の援護をしてくれる。可愛いな、後でチューしてやろう。マリーさんも賛成して、銭湯建設が決まった。責任者は俺で、メリアが補佐に就く。今回の風呂作りは俺がメインで作り、メリアにはサポートをお願いする。前回、メリアの風呂の作り方を見て学んだから、作る自信はある。
俺とメリアは、銭湯を建てる土地を探しに、不動産屋に行く事にした。シェリーに聞いた場所に行くと、小さいが綺麗な二階建ての家があった。中に入ると、小太りの男が話し掛けてきた。
「いらっしゃいませ、私はこの不動産屋の店主、ランドと申します、今日はどのようなご用件でしょうか」「大衆浴場を作る広さのある土地を探してます、出来れば空き地であると良いのですが、ありますか?」
俺が要望を伝えると、店主のランドは棚にある台帳を取って開き話し出した。
「このプレリの街は、開発が進んで広さのある空き地はほとんどありません、あったとしても既に買い手が着いてる物件ですね、空き地ではないのですが、火事の焼け跡が買い手がつかず売りに出されています」
ランドは台帳を俺に向けて見せた。
広さは申し分ない、銭湯を作っても余る広さだ。ゆくゆくは、銭湯の隣に宿を建てても良いな。
ランドに言って土地を見せて貰う事にした。土地は宿から西に一キロ程離れた所にあり、豪商が建てた家の跡地だ。焼け焦げた木の柱が、ここで火事があったと証言しているように感じた。俺は早速商談に入る。
「この土地、焼けた廃材は俺達で処分して更地にしたとして、いくらで譲って貰えますか?」
俺の問い掛けに、ランドは鞄から紙とペンを取り出して、何か書きながら、思案しているようだ。廃材の処分や更地にする金と労力を計算しているのかも知れないな。やがてランドは紙とペンを鞄にしまい、こちらを向いた。
「この土地の処分費用が金貨五百枚掛かるとして、金貨四千枚でいかがですか?」
悪くない金額だ、だが今は金がない。全ての魔石を売っても、金貨五百枚だろう。
「先に金貨五百枚を払って、残りは1週間後に払うと言う事で良いですか?」
ランドは手揉みしながら。
「はい、それで結構でございます」
俺達は不動産に戻り契約を交わした。1週間で金貨四千枚を用意するのは厳しいが、スローライフの為に本気を出すぜ!
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