もぐら退治
今回の話しはグロいです。
苦手な方は引き返して下さい。
マノンと子供達が寝て、街の大人達も眠る深夜、俺はシェリーを起こさないように、ベッドから出て身支度を整える。魔法のウェストポーチを巻いて、カメレオンのローブを羽織った時、シェリーが起きた気配がした。
「こんな夜遅くに何処に行くの?」
振り返るとシェリーは、ベッドの上で上体を起こして、俺の返事を待っている。気付かれないように出ようと思っていたのに失敗した。俺は、シェリーに嘘をつきたくないから、此れからする事を正直に話す。
「マノンを保護した時、盗賊のアジトを見つけた、此れから討伐してくるから、寝ていてくれ」
俺の言葉にシェリーは。
「ケンジの様子がおかしいとは思っていたけれど、その事だったのね。それは、ケンジがしなければいけない事なの?兵士に任せてしまえば良いじゃない」
今にも泣きそうな声で俺を止めようとする。俺はベッドに座り、シェリーを抱き締める。
「俺じゃなきゃ駄目なんだ、俺しか出来ないんだよ、盗賊のアジトを見つけたのは、たまたま偶然だ、けど、俺達が盗賊に会わなかったのもたまたまなんだよ、この先、俺がいない所で、フォートとアミが出合ってしまう事があるかも知れない、俺は、家族に害をなす連中を許さない、心配掛けてごめん、けど、無事に帰って来るから、寝て待っていて欲しい」
俺はゆっくりと言い聞かせた。
「ケンジは強いから、怪我なんて心配してないわ、ただ、ケンジの心が心配なの、あなたは優しいから」
俺はシェリーの髪を撫でながらキスをした。
「もし、俺の心が傷付いたら、その時はシェリーが癒してくれ」
俺はベッドから立ち上がりドアをあける。
「ケンジ、行ってらっしゃい、怪我しないで、私の所に帰って来てね」
「ああ、行ってきます」
俺は部屋を出ようとしたが、思い付いたようにシェリーに聞いた。
「なぁ、シェリー何で俺の様子に気付いたんだ?」
シェリーは何故かモジモジしながら。
「ケンジ、今夜は一度も私を求めなかったから、何かあるのかなと思って」なるほど、毎夜腰振ってた猿が一度も腰振らなかったら、そりゃ何かあると疑うよな。俺は納得して、シェリーにもう一度キスをして部屋を出た。
月夜は草原を青く浮かび上がらせている。幻想的な風景なのだが、此れからする事を考えると、感傷にも浸っていられない。
ピンガーを放つと、地上には反応がない、今度はアース・ピンガーを放つ、すると、草原の下から反応がある。盗賊のアジトだ。奴らは土を掘って地下で暮らしているみたいだ。入り口を探すとすぐに見つかり、カモフラージュにされた草を退けて剣を抜き中に入る。中は通路のようになっていて、幅は一メートル位で数ヶ所にランプが掛けてある。
俺はサンクタスサークルムーヴを掛け、ずかずかと入って行く。通路の右と左に部屋があり、通路の行き止まりも部屋になっているようだ。部屋にドアはなく、暖簾のような物が掛けられている。
左の部屋から男が出てきた。俺に気づき大声を上げて仲間を呼ぶ、ファイア・ラプチャアヴァレット放つと、大声を上げてた男は破裂した。魔物用に作った魔法だから、威力がありすぎる、はっきり言ってオーバーキル。右と左の部屋から出てくる賊を順々に破裂させていく、途中から『もぐら叩き』 をやっている感覚になり可笑しくなった。やがて部屋から賊が出なくなり、部屋を覗いて確認する。二人ほど隠れていたのを破裂さして、通路の突き当たりの部屋へ行く。さっき、戦っている最中、一度も賊は出て来なかった。剣で暖簾を横に開いた刹那、俺の胸に矢飛んできた、が、結界に阻まれ地面に落ちる。部屋の中に体格の良い禿げた男がいた、男は持っていた両手剣を構えた。
「てめえは何者だ!」
俺は無言で男の足にファイア・ラプチャヴァレットを放つ。足は破裂して男は倒れた、俺は近づいて男の首に剣を刺した。
「俺が何者かなんて、お前が知る必要ないんだよ」
死んだ男に捨て台詞を吐き、剣を引き抜いて鞘にしまう。アジトを出て、ミドルアース・ワンプを使いアジトを潰す。その上に土を撒いて証拠隠滅。盗賊の討伐と地ならしで、一時間ほど掛かった。
宿に戻り、裏庭に出て、桶に魔法で水を注ぎ体を拭く。
結界魔法で返り血を浴びる事はないが、そのままシェリーの眠るベッドに入りたくなかった。
部屋に入ると、シェリーは俺が言ったように寝ていてくれた。
俺はシェリーに背を向けて横になった。が、眠ろうとして目を瞑ると先程の光景が目に浮かび、体が震えてくる、息も荒くなって呼吸ができず苦しい。
「……はあ……はあっ……はあっ」
俺はつい声を漏らした、すると、後ろからシェリーが俺に抱きついてきた。
「ケンジ、私達を守ってくれてありがとう」
シェリーの声と温もりが、俺の心を癒して和らげる。俺はシェリーに抱き締められ、朝方やっと眠りについた。
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