マノン
俺と子供達とマノンは、メリアと別れてプレリの街に入る、メリアが盗賊出没の報告に時間が掛かる事と、マノンが盗賊に襲われた事を、悟られない為だ。アミがマノンに自分のローブを着せる。奴隷が着てるような服を隠すには丁度良い。入り口の兵士にマノンの入街料金を払う、マノンの事を質問されたので、俺がマノンはシェリーの姪っ子だと説明したら納得した。
我が家 『草原の止まり木』 は、一階に食堂があり、宿の入り口も同じである。一階にお客が泊まる部屋は二つ、二階と三階は完全に宿泊専門だ。俺たち家族の居住スペースは、一階の宿泊部屋の奥にある。
「「ただいま!!」」
厨房の奥からシェリー出てきた。
「おかえり、フォート、アミ、お帰りなさい、ケンジ」
シェリーは子供達を抱き締めた後、マノンを見た。
「あら、可愛らしいお客さんね、お名前は?」シェリーは膝を着き、マノンの目線に合わせる。
「マノン」
「マノン、良い名前ね、私はシェリー、この子達は私達の子供よ、フォートとアミ、それと旦那様のケンジ、よろしくね」
シェリーは俺をオマケみたい扱いで紹介した。まぁ、俺だけ先に名乗ってたから良いか。
マノンはアミに借りてたローブを脱いだ、その時シェリーの眉間にシワ が浮かんだのを、俺は見逃さなかった。マノンはアミにお礼を言って返す、アミは笑顔で受け取り頷いた。
「ねぇ、マノン、お腹空いてない?
私は料理が得意なの、美味しいわよ」 シェリーは笑顔でマノンの手を握る。
「わたし……お金もってない」
マノンの言葉を聞いたシェリーは、握っていた手を離し、そっと抱き締めた。
「お金はいらないわよ、美味しいって言ってくれれば良いわ」
俺はシェリーの背中しか見られないが、シェリーの声が鼻声なのは、泣いているせいだろう。まったく、こういったやり場の無い怒りは、中身が四十歳の俺でも消化出来ない。
食事が出来るまで、マノンはアミと風呂に入り体の汚れ落とした。風呂から出たマノンは、栗色の髪が綺麗で見違えるようだ。
シェリーが作った野うさぎの肉が入ったシチューを、三杯もおかわりし、丸パンを四個食べた所でやっとスプーンを皿に置いた。今夜はアミと同じベッドに寝かせる事にして、マノンから話しを聞くのは明日に持ち越した。
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