5番目の弟子
加筆修正しました。
鉱石の採掘から帰った翌日、俺とメリアはドロップ品と鉱石を宿の裏庭に広げた。銀と鉄と鉛とほんの少しのミスリル、それぞれの鉱石を分別して出した。それと約束した
銀100キロとミスリルを100キロ、約束は少々と言ったが、100キロの延べ棒が5本あるから、1本あげた。
「ところで、メリアは鉱石を使って何を作るんだ?」
メリアはメガネを触って。
「火を使わずに明かりを灯すランプです。魔石は発光に、鉱石は魔石の台座や魔力を流す触媒に使います」
「凄いな、火に代わる物を作るなんて」
「魔石を使ったランプは今もあります。ただ、貴族や豪商にしか持っている者はいません。私は庶民でも買えるランプを作りたいのです」
俺はメリアを見直した。勿論自分の為でもあるだろうが、庶民に広く使ってもらいたいと言うメリアの気持ちは尊い。
「そう言う事なら、俺も出来るだけの事を手伝うよ。俺の持っている魔石と鉱石は自由に使ってくれ」
「ありがとうございます。私の手持ちがなくなったら、使わせて頂きます」
メリアに魔石と鉱石について説明を受けていた時、俺の身体に衝撃が走った。
「なん……だ……と……」
「えっ、お風呂ですけど」
メリアの言葉に、俺は身体の震えを抑えて言う。
「それはあれか、お湯を貯めて全身入れるやつか?」「はい」
「この通りだあぁぁぁ!」
俺は異世界に来て、初めて土下座した。
「メリア頼む、お風呂を作ってくれ、俺に出来る事は何でもするから
、鉱石が足りないなら採掘に行くし、大きい魔石が必要ならドラゴンでも何でも狩ってくる。お願いします、お風呂を作って下さい!」
土下座を初めて見るのか、メリアは最初驚いて目を丸くしていたが、土下座をしている俺の前にしゃがみ。
「解りました、私のお願いを聞いてくれたら、お風呂を作ります」
俺は顔を上げメリアを見た。
「どんなお願いでも聞くよ、言ってみて」
「私もディエスのように弟子にして下さい」
俺は即答しようしたが、一呼吸して考えた、これシェリーに相談した方が良いんじゃね?
「ちょっと待っていてくれ」
メリアを裏庭に残してシェリーを呼びに行く。別にシェリーが怖いとかそんなんじゃないからね!
そしてシェリーを含め三者面談。
俺はシェリーにお風呂の重要性と宿の売り上げアップを訴えた。
「解りました、ケンジがそこまで言うなら、お風呂を作りましょう。メリアさんをケンジの弟子と認めます」
なんかシェリーが師匠の俺より偉そうなんだが気にしない。メリアは俺の弟子になり、お風呂を作ってもらえる、お互いにウィンウィンだ。
「ケンジさん、シェリーさん、修行もお風呂作りも頑張ります、ご指導よろしくお願いします」
メリアは俺達に頭を下げた。
「メリアさん、こちらこそよろしくね、メリアさんはケンジの5番の弟子よ、それと、これからはケンジの事は師匠と呼ぶこと、いいわね?」
「はい!師匠とシェリーさん!」
こうしてメリアを弟子にする条件で、風呂を作る事になった。
シェリーは相変わらず、俺が名前で呼ばれる事に抵抗がある。焼きもちかな?まぁお風呂の前では小さい事だ。風呂が出来たらシェリーと二人で入って、あんな事やこんな事、そんな事や変な事?色々楽しめるぞ。
シェリーとメリアが風呂作りについて話し合っている側で、俺は下卑た笑いを必死に隠そうとしていた。
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