さぁ街に帰ろう
「おとうさん、美味しいね」
フォートに言われて、ソーセージを食べる。この宿の朝食は中々いけるな。食堂のテーブルには、俺とシェリーと子供達、ディエスとメリアはまだ来てない。
「ディエスさん達遅いわね、まだ起きてないのかな」
食事を終えお茶を飲んでると、ディエスとメリアが食堂に入って来た。
「お早うございます、師匠、シェリーさん」
ディエスとメリアは挨拶をして、テーブル席に着く。
「ディエスさん、メリアさんと話し込んで夜更かしするのは仕方ないけど、ディエスさんはケンジの弟子なんだから、師匠より遅く起きてくるのは、良くないと思うの」
シェリーがディエスを注意した。
あまり強く言わなくても良いと思うが、一応師匠だし、甘やかすのは良くないと思い、態度で示す事にした。俺は、腕を組ふんぞり返る。
「師匠、シェリーさん、申し訳ありませんでした」
ディエスが頭を下げ、メリアも倣うように頭を下げた。なぜか二人が俺を睨んでるが、甘やかしたら駄目だと思い、口を出す。
「ディエス、友達との会話を楽しむのを止めろとは言わないけど、分別はつけなさい」
ディエスはもう一度俺に頭を下げた。この時、ディエスが何か言ったが声が小さく聞こえなかった。
『師匠達のせいで寝れなかったのに……』
モンターニ村を出てオーバーロールウィンドライドを掛ける。途中のラック村に寄って、ラック湖を見る予定だ。この湖で捕れた魚は、うちの宿でも出している。
「うわ〜うつくしいのです」
アミは湖に向かって走り出した。フォートが後を追って走り出す。
俺は、ピンガーを放ちフォローする。この湖の南側には強い魔物の反応はない。湖の北側の森には強い反応があるが、距離が離れてるし問題無いだろう。シェリーと手を繋いで
歩く。
「ケンジ良い所ね」シェリーが微笑み俺は頷く。俺達の後ろをディエスとメリアが付いてくる。
「ディエス、ここは俺に付かなくて良いよ、遊んでおいで」
「師匠、ありがとうございます」
ディエスはメリアを促し、二人で湖に駆けていく。俺はシェリーとゆっくり歩く。
「なんか良いな、穏やかで、気持ち良い風が吹いて、隣にはシェリーがいる。幸せだなぁ」
「私も幸せよ、ケンジと出逢えて良かった」
俺はシェリーの手を離し、腰に手を回して歩く。シェリーも俺を真似て腰に手を回して歩く。フォートとアミは靴を脱いで、湖に入りはしゃいでる。俺達は近くにマットを引き座った。
「おか〜さ〜ん」
アミが呼びシェリーは手を振る。
俺は寝転んで昼寝でもと思ったが、子供達が呼びに来て遊ぶ羽目に、シェリーも交ざり家族四人揃い踏み。
湖で遊び疲れて、うとうとする子供達を俺にしがみ着かせたが、子供達が落ちそうで不安になり、ディエスとメリアにサポートしてもらった。
ウィンドライドのスピードを落として進む。この短い旅が終わってしまうのが、ちょっぴり切なくなった。
「ケンジ、また行こうね。家族四人で」
俺の心が読まれたようなシェリーの言葉に救われ、街にゆっくりと帰った。
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