今から本気出す
シェリーを気遣って、30分ほど長く休憩を取り採掘の再開。メリアと相談して、最奥を目指す事になった。シェリーを休ませたい俺は、今から本気出す。
「みんなウィンドライド使うから、
集まってくれ。」
「この坑道で使うのですか?」
メリアの問いに頷いて魔法を掛ける。
「メリア、地図を見て誘導してくれ。近づく魔物は俺が片付ける。」
メリアの誘導で坑道を進む。ピンガーを放ち徐々にスピードを上げる。
迫る魔物、その数12体全てゴレムだ。「ファイア・ラプチャアヴァレットレイン」火の弾丸が雨ように降り注ぐ。ゴレムは一瞬で霧散し魔石を落とす、俺は、スピードを落とさずに進む。今は魔石よりも依頼を完了させて、シェリーを休ませたい。
最奥にたどり着いたのか、坑道は行き止まりになった。ウィンドライドを解いて辺りを見回す。
「メリア、ここが最奥か?」
「そのようですね、横に行く小さな坑道がありますが、多分ここが最奥です。」メリアの言葉に依頼完了かと安堵した時、ピンガーに大きな反応があった。メリアにその事を言う。
「もしかしたら、この鉱山のボス、ミスリルゴレムかも。」
俺達は横に行く小さな坑道に入って行く。すると鉄の扉があり、その奥から大きな反応がある。
「メリア、ミスリルゴレムは強いのか?」
「ミスリルゴレムは上級者パーティーで倒す魔物です。私達では無理だと思います。」
メリアの話しだと、ミスリルゴレムは移動したりせず、縄張りに入らなければ、攻撃してこない。坑道を掘ってる時に偶然見つけて放置したのだろう。ただ、ミスリルゴレムの縄張りには希少な鉱石もあり、倒した時だけ手に入る。
「俺が1人で入る。みんなはここで待っていてくれ。」鉄の扉を押して中に入る。中はドームのように広く天井は高い。ドームの中央には、5メートルはありそうなミスリルゴレムが、今にも動き出しそうだ。
先手必勝、新しく作った創造魔法。
「エクスティンクション!」
ミスリルゴレムの足下に魔法陣が現れて光り、そのまま霧散した。俺はみんなを呼び、
ドームの中に入れた。
「本当に1人で倒したのですね。」
メリアは信じられないと言うような表情をしている。俺は採掘を促しシェリーの側に行く。
「シェリー、調子はどうだ?」
「ケンジもう大丈夫、平気だよ。」シェリーの耳に口を寄せ。
「さっきはごめんなさい、シェリーとキスするのが気持ち良くて、こんな場所で暴走しちゃいました。」
俺は、頭を下げ謝った。
「わかったわ、今回は許します。でも、今回だけだからね、私も最後まで出来ないとお預けされた感じで切ないし、そういうのは、家に居る時にね。」俺の頬にキスをして、シェリーは子供達の所に行った。
「ケンジさん、こっちに来て下さい」
メリアが何か見つけたのか。
「どうした?」
「ミスリルゴレムがドロップしたようです。」
「えっ、ドロップ?魔物ってドロップするの?」
「普通の魔物はドロップしません、
ダンジョンや鉱山に居るボスモンスター、フィールドボスは稀にドロップします。」
なるほど、今まで弱い魔物としか戦って来なかったから、ドロップしなかったんだ。
「それで、どうなんだ?ドロップ品は。」
「はい、ミスリルの延べ棒が500キロと銀が100キロです。」
「そうか、全部メリアに挙げるよ。」
「えっ、ケンジさん1人で倒したのですよ。私は貰える権利がありません。」
「なぁ、ドロップしたミスリルと銀があれば、メリアの欲しい量になるのか?」
「私は銀が150キロと鉄が100キロあれば、今回の採掘は成功です。」
「なら、ドロップした銀は挙げるよ、ミスリルも少し分けて挙げる。だから……もう帰ろうぜ。」
早く鉱山から出たい俺は、メリアにドロップ品を分ける約束をした。
「シェリー、フォート、アミ、鉱山を出るよ、今夜はモンターニ村の宿に泊まるからね。ゆっくり休もう。」
フォートとアミは家以外に泊まるのは初めてで、妙なテンションになった。俺もシェリーとの夜が楽しみ。
「さぁ、みんな掴まったな、モンターニの村にレッツゴー!」
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