魔法の修行は生活魔法から
ディエスが弟子になり、早速修行を開始するが、今日は森に行かず宿の裏庭で生活魔法の練習をする事にした。シェリーと子供達は火を出す練習をしている。俺はディエスに話し掛けた。
「魔法の練習を始める前に、ディエスのステータスを鑑定して良いか? 」
「別に構いません、でも、聞いてくれてありがとうございます。」
「いや、ただ何も言わずに鑑定すると言うのは、マナー違反だと思ってな。俺も盗み見るような事したくないしさ。」鑑定の魔法、アプレイズを使った。
ディエス
職業魔法使い
Lv.30
HP420
MP650
魔法水属性ウォーター・ボール、ウォーター・カッター
火属性ファイア・ボール、ファイア・ランス
土属性アース・ワンプ、アース・スピアーズ
生活魔法
俺は何気なく聞いてみる。
「魔法でロー、ミドル、ハイって聞いたことある?」
「ロー?ミドル?それは何ですか?」
「いや、聞いたことないなら忘れてくれ。」
やはりか、何となくそんな気がしていた。魔法の威力をある程度コントロール出来るのは俺だからだ。創造神様に付けてもらった魔法は、この世界でも特別な物だ。俺はシェリー達家族と他数人しか、この世界の住人と関わって来なかった。
日本にいた時も積極的に関わろうとしなかったが、こんな所に弊害。
ディエスには、魔法を教える傍ら、この世界の魔法の常識や種類を教えてもらおう。
俺はディエスに生活魔法で火を出させた。人差し指の上に、蝋燭大の火が浮いている。だが、迫力がない。
「シェリー、ちょっと来てくれ。」
呼ばれると駆けて来て俺に密着し。
「なあにケンジ。」俺は少し動揺しつつ。「シェリーの生活魔法で火を出して欲しいんだ、いいかな?」
「いいわよ、ケンジ見ててね。」
俺じゃなくディエスに見てもらう為に頼んだけど、まぁ良いか。
「火よ点け」シェリーの手の平からバレーボール大の火の玉が浮いてる。そしてシェリーは見事なまでのドヤ顔。
「凄い!生活魔法でこんなに大きな火が出せるなんて!」ディエスは尊敬のまなざしでシェリーを見てる。
「師匠、私もこの大きさの火を生活魔法で出せるようになりたいです。」
「いや、この大きさの火を出せるのは、シェリーだけだ。フォートとアミは、ここまでの大きさは出せない。」そう、この大きさはシェリーしか出せないのだ。シェリーは毎晩俺の個人レッスンを受けている。
これは夫婦だから出来るレッスンなんだ。だが、生活魔法の練習は無駄にはならない。フォートとアミもシェリーほどではないにせよ、野球のボール大の火を出せる。
「練習すれば、シェリーとまでは言わないけど、フォートとアミが出してる火は出せるようになるよ」
落ち込むディエスに声を掛けた。
「さぁディエス、シェリーの隣で練習だ。」「ハイ、シェリーさんよろしくお願いします。」
「ええ、こちらこそよろしくね。」
シェリーは練習が終わるまで、ずっとドヤ顔だった。




