努力に勝る物なし
昨日の約束通り、シェリーと子供達に、生活魔法を教える為、午後の暇な時間を見つけて、裏庭集まった。まあ、俺も最近創造神様に貰ったので、偉そうな事は言えないのだが。シェリーの話しで、近所で生活魔法を使える人は、居ないと言っていた。生活魔法でも貴重なのだろう。みんな魔法を教えてもらえるとあって、目がキラキラしている。
「それじゃ、始めるよ。」俺は、右手の平を上に向け唱えた。「火よ点け」すると、蝋燭ぐらいの火が、手の平の真ん中に、浮かんだ。
「「「凄い!!!」」」シェリーと子供達は、興奮して顔を近づける。
「こらこら、あまり顔を近づけると、前髪が燃えちゃうぞ。魔法はイメージした方が、効果が出やすい、手の平から魔力が出て、その魔力が燃えるようなイメージ、火の大きさは、蝋燭の火をイメージして、練習しよう。」みんな最初は中々イメージに戸惑っていたが、コツを掴んだのか、3回に1回は火が点くようになった、シェリーを除いては。
「それじゃフォート、やってみて。」
「はい、火よ点け。」フォートの手の平に、浮かぶように火が灯る。フォートは目を輝かせて火を見ている。次はアミだ、実は三人の練習見た印象で一番素質が有るのは、アミと思っている。
「火よ点け」アミも成功だ、兄のフォートより、火が安定している。
「おめでとう、アミ、素晴らしい魔法だ。」手放しで誉めると、アミは照れ笑いして、俺に抱きついてきた。頭を撫でると腹に顔を押しつけてきた、可愛いヤツめ。さて、最後にシェリーだが、まだ一度も魔法を使えてない。たぶん今日中に魔法を使えるようになるのは無理だ。夕方近くになり、宿の仕事もあるから、また明日練習する事になった。シェリーは落ち込んでいた。
夜、俺はシェリーを求めた、何時も以上に。落ち込んでいたにもかかわらず、シェリーは応えてくれ、その健気な姿に、さらに興奮して求めた。
そして現在、賢者タイム。そう、この時を待っていた。職業賢者の賢者タイム、正に今の俺は、真の賢者だ。昼間シェリーの練習を見た時に気づいた、シェリーは魔力の操作が苦手なのだ。だから考えたんだ、俺がシェリーの魔力を吸い取り、魔力を流し込む。魔力の出し入れを感じとれば、魔法が使えるようになると。魔力を吸い取り、流し込むには、密着してる部分が多い程良い。体の前面を密着し、足を絡め、背中に手を回す。この体勢になる為には、賢者タイムが必要不可欠。事を成した後でなければ、絶対出来ない。
シェリーに訳を言って、魔力を吸い、流し込む。
「ケンジ、心配してくれて、ありがとう。そこまで、考えてくれてたなんて、凄く嬉しい。」
俺に力一杯抱き締められ、足を絡められ、身動き出来ないのに、健気だ。なるべく早く終わらせてあげようと、ペースを早める。
おかしいな、なぜかシェリーが、色っぽい吐息を吐き、俺の胸に顔をつけ、声を出さないようにしてる。が、声が漏れだしてる。これはマズイ、せっかくの賢者タイムが、ビーストタイムになってしまう。俺は心の平静を保つ為に、集中力を上げた。シェリー後少し頑張ってくれ。
「うふふふ、もう1回する?」
はい、賢者タイムしゅ〜りょ〜
俺とシェリーは、後少しが頑張れなかった。
窓のすき間から、少しずつ明かりが広がる、もう朝か、シェリーは、俺の腕の中で静かな寝息をたててる。少し予定は狂ったが、シェリーの魔力操作のトレーニングは終わった。賢者タイムが破られ、事を成した後、また賢者が帰って来てくれた、お帰り賢者タイム。後は、疲れて寝ているシェリーに、魔力を吸い流し込んで、トレーニング終了。これで魔法が使えると思う。シェリーが起きるまで寝よう。
午後になり、裏庭にみんなが集まり、練習が始まる。昨日夜道しトレーニングしたんだ、絶対出来る、俺は、シェリーを一番目に指命した。
「火よ点け!」シェリーの手の平には、ソフトボール大のファイア・ボールが浮かんでた。
「ケンジ!できた!できたわ!生活魔法!」
「それもう、生活魔法じゃないよ!」




