天下御免のDeath cooking
頭わるーい、な短編です。
短いです。超短いです。頭に浮かんだ文章をそっくりそのまま書いただけです。
それでもいいよって許してくださる方のみ、どうぞwww
話的には、書籍版第二章の序盤辺り。Web版だと第一章第一話辺りに該当されます。
料理を食べるためには、誰かが作らねばならない。
その誰かとは、もちろん当事者に他ならないが、世の女性は愛する伴侶に作ってもらえることを夢見ている。
もちろん、この幸せを現実にした者は決して多くはなく、されど少なくもない。
絶え間ない努力をしていたからこそ、その者達は報われたのだ。
では全員そうなのか、と問われれば、これに対する返答はもちろん否である。
未だに独り身で悲しく料理をしている者が圧倒的に多いこの高天原。それは国を治めている天下五剣とて例外にもれることはなく……。
この日の厨房には、大典太光世と数珠丸恒次が立っていた。彼女らが今日の炊事当番である。
「そんじゃ、ちゃちゃっと作っちゃおっか」
「そうですね。こんな素敵な運命の日に任されるなんて……ふふっ、この数珠丸幸せです早くあの殿方と結婚したいです」
不気味な笑みを浮かべる数珠丸恒次。それにツッコミを入れることもなく、大典太光世も嬉々とした表情で包丁に映る己を見つめていた。
素敵な男が本部にいる。任務から帰還早々にもたらされたこの情報は、文句を言ってやろうとしていたこともすっかり忘れてしまうほどの衝撃を与えた。
結城悠――異世界より来訪したという、謎が多い。そんなことはさておき。とにもかくにも彼女らの好みを見事に捉えていた男性。
当然、これを放っておこうとする馬鹿は一人もいない。早速誰が今後の面倒を見るかで、天下五剣内で激しい討論が行われることとなった。
もちろん、誰も譲らない。自分が担当するの一点張りなのだから、話も平行線の一途を辿るばかり。そうこうしている内にすっかり夜も更けてしまって、ひとまず保留という形で全員納得した。
大典太光世も数珠丸恒次も、今日という日を好機として思ったことはない。いつもならば面倒だし、それこそ唯一まともな部類に入る鬼丸国綱に手伝ってもらっているが、今回は男が絡んでいるので、二人だけでやってのけようとなった。
ここで点数を稼いでおけば、きっと自分達に振り向いてくれる。ただ両者の不満は、どうして二人体制でやらねばならないのか。独り占めできない現状だけが、未だ不服で仕方のない二人であった。
「まぁいいや。そんじゃ、いっくよ数珠丸」
「えぇ、光世さん」
包丁とお玉、互いの器具を打ち合わせる。
かちん、と鳴った金属音に二人は不敵に笑いあった。
※ここから先は童子切り安綱がお送りします。
皆の者、我は童子切り安綱と言う。知っている者は知っているだろうが、天下五剣の一振だ。詳しくは……っとそうこうしている内に早速あの二人が調理に入ったな。
光世は……あれは魚料理をするつもりか?
いやちょっと待て。貴様が持っているのは塩ではないぞ。その白い粉はなんだ。秘密の調味料とはいったいなんなんだ?
数珠丸のやつは……味噌汁か。それならば安心だな。
いや、いやいやいや! 貴様はそこまで馬鹿だったのか!?
味噌汁ならば入れるのは味噌だろう! 何故そこで酢を入れる必要がある!?
それに、大陸の方で人気の醤油だと? そんなものを入れればもう味噌汁ではないぞ!
光世め……白い粉をつけたままとうとう焼き始めおった。し、しかも両面をしっかり焼かずにもう皿に移しただと? 三日月ですらもっと焼き方はまともだというのに彼奴め……!!
ん? 今度は何を……ま、まさか入れるというのか!?
数珠丸の味噌汁とは言い難いアレに、ソレを入れるつもりなのか貴様は!?
おいやめろ。今すぐにやめろ。数珠丸も黙っていないで今すぐに光世を止めろ!
な、何故承諾した! その組み合わせで美味いものができると本気で思っているのか!?
更に材料を追加しようとするな! 混沌としたものを作るなぁぁぁぁぁぁぁっ!!
――この後、悠がばっちりと処理しました。




