第72話 他種族の軍が王都に集結する。
王都に続々と、各種族の軍が入って来る。
僕はその様子を見張り台から、遠見の魔法を使って見る。
それにより、今どこの種族の軍がこちらに来るのか分かる。
ちなみに、今王都に向かっているのは、鬼人族の軍だ。
向こうの種族と何度か交渉に出向いて知ったけど、亜人族と天人族の服は西洋風なのに、竜人族の服は中華風で、鬼人族の服は戦国時代の日本の服みたいな服で、獣人族の服は中東ぽかったな。
そんな風に思っていたら、僕の肩にモリガンが止まる。
『これだけの他種族の軍が人間族の王都に集結するとは、なかなかお目に掛かれない光景だ』
「そうだね。でも、これからこの軍を統括する総大将を決めて、更に侵攻ルート並びに戦いの最中で獲得した捕虜の待遇などを決めて、それから」
『そんな小難しい事を、我に言ってどうする。そんなモノはお主が上の者と話してから決めればよかろう』
「確かにそうだね」
『それよりもじゃ。お主に客人じゃぞ』
「客?」
僕は後ろを振り向くと、そこには第二王女のセリーヌ様が居た。
王女様の後ろには護衛の人が僕を咎めるような目で見る。
「おおっ⁉ これは王女様、このような所にいかな御用で?」
僕は驚きながらも王女様に訊ねた。
「いえ、今は何処の種族の軍が王都に来ているのか気になりまして、見張り台から見ようと思ったら、男爵が居ましたの」
「そうでしたか。では、わたしは用がありますので、これで」
僕は頭を下げて、その場を後にした。
王女様が何か意味ありげに僕を見た気がしたけど、気のせいだと思い、その場を去る。
見張り台から降りて、少し離れるとモリガンが話しかけてきた。
『別に王女が居ても問題なかろうに、何故、あの場去った?』
「いや、特に他意はないのだけどさ。ただ」
『ただ?』
「あの王女様、何を考えているか分からなくてさ、ちょっと苦手でね」
『ほぅ、お主でも苦手なオナゴがおるのじゃな』
「どういう意味?」
『沢山のオナゴを誑す男がそう言うと意外に思ってな』
「・・・・・・別に女の人を誑しているわけでは」
『知らぬは本人ばかりじゃな、お主がそう思っても周りはそうは思わないと思った方がいいぞ』
「? どういう意味?」
『自分の胸に手を当てて考えよ』
いや、胸に手を当てても分からないから聞いているのだけど。
僕がモリガンと話していたら。
「男爵様」
「おわっ⁉ 何だ。ミルチャさんか」
「? どうかしましたか?」
「国王陛下が男爵様を御呼びです」
「陛下が? 何処に行けばいい?」
「謁見の間に行けと言っておりました」
「分かりました」
僕はミルチャさんを連れて謁見の間に向かう。




