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第69話 王都へ向かい、そして。

 文を貰った僕は直ぐに引継ぎと、僕が居ない間に何が起こっても対処できるマニュアルをハンクさんに渡して、何人かを連れて王都に向かう。

 馬車に揺られながら、何故、この時期に王都に呼び出されるのかが分からず、内心首を傾げる。

(この前、天人族と同盟を結んだばかりだ。それなのに、僕を呼び出すなんて)

 今年に入って直ぐに、天人族が同盟を結びたいと持ち掛けてきたので、その時も僕は王都に呼ばれた。

 議論の結果。天人族とも同盟を結んだ。

 去年までに魔人族と天人族以外の種族とは和睦又は同盟を結ぶ事が出来た。

 その四種族の使者には僕が指名されたのは少し驚いたが、王命なので引き受けた。

 で、実際行ってみたら、歓待? はされたと思う。

 その種族の領地に入ると、直ぐに出迎えに来てくれた、その種族の中ではかなり偉い人だという事は、後で知ったけど。

 信康はそんな人に歓待されながら、その種族の王宮に向かい双方の条件の折り合いがつくように交渉した。

 その際、異世界の知識を使って色々な事をしたというか、する事になった。

 亜人族だったら、何故か料理対決したり。

 竜人族とは、僕が昔考えた魔法を披露をしたり。

 獣人族は、何か某歴史料理漫画みたいに、料理を作る事になったり。

 鬼人族の方は、一騎打ちをしたり。

 という具合で、色々な事をした。正直、陛下が前もって全権を委任すると言われてなかったら、こう上手くいかなかっただろうな。

(その後が大変だったな。色々な種族から、嫁を押し付けられそうになったから)

 まさか、交渉しただけで嫁を押し付けられるとは思わなかった。

 ちなみに全部断りました。

 だって、そんな政略結婚みたいな感じなのは、流石に嫌だなと思った。

 何人かはモロ好みだったのだが、護衛として一緒に行動したエリザさんに睨まれたので、泣く泣く断る事になった。

 そんな事があってか、何時の間にか、僕はエリザさんの婚約者扱いになっていた。

 二年前くらいに、エリザさんのお兄さんに会ったのだが、その席で「やぁ、君が未来の義弟君だね? 今後とも、妹の事をよろしく頼むよ」と言われた。

 この人、初対面で何を言っているんだと思ったし、その場にはマイちゃん達が居たので、その後鬼ののような形相で追い掛けられました。あの時は、セリーヌ王女が助けてくれなかったらどうなっていたことやら。想像しただけで、身体が恐怖で震えそうだ。

 さて、王都に着くまで暇だから、ミルチャさんと少し仕事の事で話をして時間を潰すか。


 領地を出て、三日後。

 僕達は王都に到達した。そのまま王宮に向かう。

 馬車から降りると、出迎えの人が居た。

「お待ちしておりました。男爵様」

「おつ、じゃなかった。ご苦労様。モリア副侍従長」

 何度も会っているから、顔も覚えた。

「国王陛下並びに、お歴々方がお待ちです。どうぞ」

 副侍従長の案内で、僕とミルチャさんだけ付いて行く。

 他の者達は、別室で待機を命じた。

 副侍従長の案内で連れて行かれた先は、以前から会議に使われていた会議室だった。

「どうぞ」

 副侍従長が扉を開けてくれたので、僕達は中に入った。

 部屋の中に入ると、国王陛下並びに各軍団長と宰相閣下と第一王女殿下などのお歴々が席に座っていた。

「よくぞ来た。ターバクソン男爵」

「はっ、お呼びとあれば即座に参ります」

 右腕を胸で叩くような仕草をして、一礼した。

 三年も貴族をしていたお蔭で、それなりにスマートな挨拶が出来るようになった。

「うむ。その言葉に嬉しく思う。座るが良い」

 陛下にそう言われて、僕は近くの席に座る。

 座って周りを見たけど、各軍団長、大臣クラスの人達が居ても、僕のクラスメート達の姿がなかった。これは何かあるなと直ぐに分かった。

「では、男爵が来たので、話をするとしよう」

 宰相がそう言うと、陛下が重々しく唇を動かす。

「他種族と連合を組み、魔人族領に攻め込み。敵の策に嵌り、敗退してから国力を増強に励む事三年。ようやく、国力は三年前と変わらない力につける事が出来た。そして他種族との同盟を再び組む事に成功した」

 陛下はそこで区切って、徐に話す。

「儂はここで宣言する。今再び、他種族と手を取り合い魔人領に攻め込み。魔人族の王『魔王』を討ち取り、世界を平和に導びこうぞ‼」

 陛下がそう言うと、少しの間、静寂が部屋を支配した。

「「「う、うおおおおおおおおおおっ⁉」」」

 次の瞬間、歓声が部屋に響きわたった。

 主に叫んでいるのは、各軍団長達だけだ。

 大臣クラスの人達の反応はそれぞれだ。

 苦虫を噛み潰したよう顔をした人もいれば、純粋に喜んでいる人もいるし、隣の人と話している人もいる。中には小声で「また負けるのではないのか?」とか話している人もいるぞ。

「各々には、他種族との連携を踏まえた作戦を考えてもらいたい」

 それを聞いたら、先程歓声をあげていた軍団長達もざわつきだした。

 前回の侵攻も、他種族との連携が上手く機能できなかったので負けたと聞いている。

 では、今回も連合を結んでも前回と同じ結果になるのではと思ったのだろう。

(でも、下手に人種族の軍だけで攻めたら他の種族たちの恨みを買うかもしれない。その上に、今は同盟や和睦で大人しいけど、魔人領に攻め込んだら、その隙を狙って攻め込むかもしれない)

 なので、連合を組んで攻めるのは妥当だと思う。

 さて、各軍団長をどう説得するのかな?

 











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