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ヴェルデドゥールの独白

ヴェルデドゥール視点です。

 今日、わたしは屋敷での仕事を全て執事達に押し付けて、とある人物と王宮に向かう。

 そのとある人物は、異世界人で名前をイノータ・ノブヤスという方だ。

 見た目は見目麗しいとは言えないが、かと言って不細工というほどでもない。

 端的に言えば、醜いと美しいの紙一重の顔と言える顔だ。

 その性格はかなり人が出来ている。

 正直、お嬢様とちゃんと話を出来る時点で、出来た人と言える。

 お嬢様は明らかに罵倒しているようにしか聞こえない話し方なのに、自分で言った事を後で振り返って傷つくという面倒、コホン繊細な御方だ。

 わたし達を生み出した創造主である御当主様と御曹司様は個性と受け入れているが、少々個性的すぎると言えるだろう。

 そんなお嬢様に何を言われても何とも思っていない上に、ほんわかとした雰囲気を持っているので、お嬢様は気に入っているようだ。

 御当主様も気に入られている上に、領地にいる妹の私信なのでハッキリとは分からないが、御曹司も興味を抱いているらしいと書いてあった。

 わたしも話をする事があったので、何度か話した。

 それで思ったのは、この方はお人好しだと思った。

 と言うか、そうとしか言えなかった。

 お嬢様もその人の良い性格見て、どうもほっとけないようで世話を焼いている。

 わたし達はようやくお嬢様に春が来たと喜んでいた。

 そのお嬢様の婿候補(ほぼ確定)の方と共に王宮に向かっているのも、そのお嬢様の為だ。

 まぁ、わたし達の所為でもあるのだが。

 イノータ様が試作した料理が美味しすぎてつい暴れてしまい(後でお嬢様に怒られた)厨房を暫く使う事が出来なくなった。

 それで急遽、王宮の厨房を借りて料理の試作を行なう。

『厨房を壊したのだから、貴方達も子豚の手伝いをしなさい』と言われ、わたしと妹のジューリロとビヒモンを共にした。

 わたし達と暴れたメアタンは今頃、お嬢様と一緒に厨房を修理している筈だ。

 ビヒモンが着いてきたのは、お嬢様が助手として送ってきた。

 わたしとジューリロは料理はそれほど得意ではないので、ビヒモンが付いて来てくれるのは助かる。

 ジューリロが途中余計な事を言いそうだったが、王宮に着いたので話が途切れてくれた。

 馬車を降りると、そこには誰も居なかった。

 事前に連絡を寄越して、誰でも良いから出迎える様に言っておいたのだが。

「・・・・・・・誰も来ていないわね」

「そうですねピョン」

「・・・・・・事前に言っていたのか?」

 ビヒモン、貴方その話し方止めなさいと言ったでしょう。

「昨日、確かに連絡をした筈ですが」

「でも、来ていないピョン。これは所謂、伝達ミスじゃないかピョン」

「そうかもしれないわね」

 侯爵家から来た者達を出迎えないとは無礼な。

 一言物申させてもらいましょうか。

 そう考えていたら、向こうから慌ててこちらに入って来る人が来た。

 あれは、副侍従長ね。

「お、お待たせ、して、も、申し訳、ござません・・・・・・・・」

 ええ、まったくだわ。

 イノータ様と少し話した。あら? イノータ様が驚いた顔をしているけど、どうかしたのかしら?

 まぁ、いいわ。それよりも今はこの無礼者に一言言わねばならない。

「それよりも、副侍従長。前もってこの時間に来ると連絡を入れておいたのに、どうして出迎えが遅れたのでしょうか?」

「はっ、それにつきましては、こちらの不手際でございます。どうかご容赦を」

「不手際だからと言って、許される事ではありません」

 わたしまだ言おうと口を開きかけたら。

「ヴァルデドゥールさん、もういいですから」

 イノータ様が横から割り込んで来た。

「しかし、イノータ様。遅れた事は事実です。そこは厳しく言うべきです」

「僕としては、そんなに怒る事でないと思います。なので、もうその辺で」

「ですが」

「そんなに眉間に皺を寄せていたら、折角の可愛い顔が台無しですよ」

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・はいっ?」

 わたしが可愛い?

 ナニヲイッテイルノ? コノカタ。

 言葉が頭に入っても、直ぐに意味が分からなかった。

 だが、徐々に意味が分かり、不覚にも顔を赤くした。

「な、なななななっ、なにを・・・・・・・」

 落ち着かせようとしたが、全然落ち着かない。

 むしろパニックになってきた。

「ヴァルデ姉様を照れさせるとか、流石は大旦那様が見込んだお方だピョン」

「だな。お嬢様もあんな調子でデレさせたんだろうぜ」

 はっ、妹達の会話を聞いて少し落ち着いたので、深呼吸して冷静にする。

 というか、ジューリロ。貴方、御当主様を大旦那様と言うのは止めなさいといつも言っているでしょう。直しなさい。

「・・・・・・はっ、コホン。イノータ様がそこまで仰るのではあれば、ここまでいたしましょう」

「はっ、ありがとうございます」

 それからはわたし達は厨房に案内された。

 途中、使用人達がわたし達というか、イノータ様に深く礼をした。

 イノータ様は理由が分からず頭を傾げる。

 当の本人は自覚していないようだと思った。

 イノータ様が開発した遠心分離機で生クリームをという物は、女性の心を鷲掴みしている事を。

 あれは素晴らしい物だ。

 紅茶に入れれば、ミルクを入れて飲むよりもコクがある。その上、砂糖を入れて混ぜたらパンに塗っても最高だ。

 更に、イノータ様が開発したケーキにつければ、もうそれだけで毎日三食、それれだけで良いと断言できる。

 それぐらい美味しいのだ。

 ああ、今日の試作する料理は、昨日と同じと聞く。

 昨日の料理も美味しかった。だが、食後には甘い物が欲しいと思った。

 そうだ。試作の後に甘い物を作るように催促してみよう。そうすれば、わたし達も試食できるだろう。

 何せ、この方は人が良い御方なのだから。

 ふっふふふ、今から楽しみね。出来れば食べた事が無い物を食べられると嬉しい。

 

 








 









書いていたら、そんなつもりはなかったのに、何時の間にか甘党キャラになってしまった。


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