第27話 お言葉に甘えて?
「……成程。魔人族に転生したのね」
話を聞き終えたエリザさん達は然程驚いている様に見えない。
「そんなに驚いている様に見えないのんだけど?」
気になったので訊ねると、エリザさん達は顔を見合わせると苦笑いしていた。
「だってねぇ」
「イノータ様は規格外でしたしね~」
「むしろ、転生したと言われても、納得できます」
「それで魔人族の王族に生まれ変わるとか、凄い転生ライフです」
「魔国に居た頃はどんな生活でした?」
エリザさん達は僕が転生した事よりも、魔人族がどんな生活をするのか気になっている様であった。そう言われて、魔国でも生活を思い返してみたが。
…………うん。どう思い返しても、あれだ。
姉達に振り回される毎日だったとしか言えないな。特にイザドラ姉上に。
「どうかしたの?」
「何でもありません」
怪訝そうな顔で僕を見るエリザさん。
こうしてみると、今世の僕は女難の相でもあるのかな。
「しかし、この体形じゃ。前みたいに子豚とか言えないわね……子犬?」
言ったエリザさんは首を傾げながら言う。
「お嬢様。此処は旦那様で良いと思いますが?」
ヴィオレットがそう言うが、エリザさんは首を振る。
「この子はリウイであって、イノータでは無いの。記憶を持った所で、もう存在は別物よ。であれば、この子を旦那様と言うのは道理に合わないわ」
おおっ、僕の前世を知って此処まで理路整然と言う人は初めてだ。
少し寂しいと思いはするが、そう思う人が居てもおかしくないからな。
「だったら、普通にリウイっと呼ぶべきだと思うが?」
「そうでしょう。全く中途半端ですね」
「其処はあの人の面倒な性格だから仕方がないんでしょう」
後ろで好き勝手に言っているユエ達。
其処は思っていても言わないのが、人情というものだと思います。
『こやつもこやつで面白そうじゃのう。我が主は余程面白い女を引き寄せるようじゃ』
何か魔剣にまで、僕が女難の事を言われるとは、ちょっとショック。
「では、僕達はこれで」
会いたいと思っていたが、こうして会えたのだ。
もう用は済んだので、ダンジョンを後にしようとしたが。
「お待ちなさい。久しぶりに会って、話を終えたからと言って直ぐに帰したら、あの世に居る父上に怒られるわ」
「でも……」
正直な話、ユエ達を連れて早く出て行きたいんですが。
だって、背後から早く帰ろうという無言のプレッシャーがひしひしと感じているから。
「別に良いでしょう。わたしはこれからご飯だから、一緒に食事をしましょう」
そう言ってエリザさんは僕の手を取って引っ張って行った。




