第24話 僕は悪い魔族じゃないよ~
浮かび上がった魔法陣が消えると、先程まで居た場所とは違う場所に出た。
僕一人だけかと周りを見て思った。
三人に合流するべきだが、僕が今は何処に居るのか分からなかった。
なので、とりあえず少し歩いて手がかりを見つけようと思い歩いたのが、まずかった。
少し歩いた所に、赤い鱗のドラゴンが眠っているのが見えた。
まさか、こんなにも早くエリゼヴィアさんに会えるとは思いもしなかった。
いや、待てよ。此処が何処なのか分からないので、目の前にいるドラゴンがエリゼヴィアさんだと決めつけるのは早いか。
だとしたら、もし見つかったら、一口でパクリと食われる可能性があるな。
此処は出来るだけ、音を立てずにこの場を離れるべきだなと思い、忍び足で歩いていたが。
『~~^、良く寝た。おはようじゃ。我が主よ』
腰に佩いている魔剣アンジェリカが突然声を出した。
って、今まで寝ていたのかっ。道理で静かだと思った。
起きたのは良いが、そのタイミングが悪かった。
アンジェリカの声が聞こえたのかドラゴンがゆっくりと瞼を開けた。
「・・・・・・UUUU」
僕を見たドラゴンは威嚇音を出していた。
不味いな。このドラゴンの身体から見える魔力はかなり多いぞ。
一人でこんな強力なドラゴンは倒せるとは思えないな。
逃げようにも、背を向けた瞬間噛みつかれる。
此処は敵対する意思がない事を示す為に両手を上げるしかないな。
『逃げぬのか?』
「背を向けたら噛みつかれそうだし」
しかし、前世は死にかけた状態で龍の巣に飛ばされて、今世ではドラゴンで生命の危機に陥るとは、龍に因縁じみた物を感じるな。
そう思いながら、ドラゴンを見ていると、ジッと僕を見る。
……頼むから、何かしてくれないかな。
これでは、逃げる事も何もする事も出来ないんだけど。
どうしようと悩んでいると、背後からか鼻歌が聞こえてきた。
「~~~~~~♪♪ お嬢様~、ご飯の時間ですよ~」
聞き覚えがある声に僕は振り返ると、其処に他のはアスクレイ家のメイドのジュ―リロであった。
結構な年月が経ったと言うのに、全く年を取っていない。
どういう事? ああ、そう言えば、ジュ―リロ達は人工生命体だって聞いたな。
だとしたら、年を取らないのは不思議ではないか。
「あれ~、この子は?」
僕を見たジュ―リロは不思議そうな目で僕を見ている。
「え、ええっと、とりあえず聞いても良いですか?」
「なに?」
「此処は何処ですか?」
「ここはダンジョンの最上階層よ」
最上階層? つまり、このダンジョンで一番高い所って事か。
どうやら、とんでもない所に飛ばされたようだ。