第22話 何故、こうなる?
「あははははははっははは」
狂ったように笑いながら相手を倒すミリア姉ちゃん。
最初相手をしていた男達は、ボコボコにされて気を失っていた。
顏がボコボコに腫れているのを見ると、可哀そうとしか思えないな。
それで、今ミリア姉ちゃんの相手をしているのは、姉ちゃん達の争いを止めようとした人達であった。
その人達が得物を持っている中で、ミリア姉ちゃんは素手で相手をしていた。
いや、この場合は相手というよりも蹂躙していると言うのが正しいか。
「ほら、ほらほら、ちゃんと受けないと痛いよ~」
そう言ってミリア姉ちゃんは魔力を込めた拳を放った。
その放たれた拳は衝撃波を生み出し、その衝撃波によりミリア姉ちゃんを相手をしている人達は噴き飛ばされていた。
「何だ。こいつは?」
「俺達Aランクパーテイ『風の刃』相手にしているのに、疲れた様子が見えないぞっ」
「化け物か?」
噴き飛ばされた人達を見ていた人たちは唖然としていた。
化け物。う~ん、というか、僕の姉さん達って全員化け物では?
そう思っていると、ミリア姉ちゃんが首をぐりんと動かして僕を見た。
「リウ。何か言った?」
「何でもありませんっ」
相変わらず勘が良いな。
変な事を考えたら、速攻見抜かれそうだ。
そうこうしている間に、この山にあ宿場町を守っている警備兵達がようやくやって来た。
そして、この惨状を見て目を剥いた。
「と、とりあえず、事情を聴いても良いですか?」
警備兵の人達がビクビク震えながら、ミリア姉ちゃんに訊ねて来た。
頬に血をつけて、手にはのした人の襟を掴んでいた。
「ん~…………」
ミリア姉ちゃんは聞くべきかどうか考えている様であった。
何か、また蹂躙しそうな気がする。
そう思うと、僕はミリア姉ちゃんに近付く。
「ミリア姉ちゃん」
「ん?」
僕が首を振るのを見ると、ミリア姉ちゃんは少し考えると、手を放しのした人の服の一部を切り取り、それで頬についた血を拭った。
「可愛い弟が頼むから、しょうがないか。あんまり時間を取らせないでね」
「は、はいっ」
警備兵達はおっかなびっくりで事情聴取を始めた。
ミリア姉ちゃんは話しながら、僕に手を振って来た。
何かを払うように動いている。どうやら、先に行けと行っている様だ。
それを察した僕は「先に行っているね」と声をかけて、ダンジョンに向かう人達の列に並び直した。
ミリア姉ちゃんと別れた僕達はダンジョンに入ったのだが。
「…………どうして?」
僕は思わず呟いた。
何故、そう呟くのかと言うと、このダンジョンの主と思われるドラゴンが目の前に居れば、そう呟くのも無理ない事だからだ。
「GUUUUUUUU」
ドラゴンは僕を見ながら唸り声をあげていた。




