第20話 とりあえず入るか
翌日。
爽快な気分で目を覚ました僕は部屋の窓を見た。
何時にもない気分だなと思い朝日を浴びながら、朝食は何を食べようかと考えていたら、窓から見える風景に目を疑った。
舗装された道に人が列を作っていた。
何かの催しという訳では無く、何処かに行く道が混んでいて列になっているという感じであった。
「あの行列は何処に行くのだろう?」
行列が何処に向かっているのか気になり、先頭の方へ眼を向けたが、窓の枠を超えていた。
この窓ははめごろしなので、動かすことが出来ない。
なので、行列が何処に行くのか気になった。
「・・・・・・ん、んん~、おはよ」
窓から差し込む朝日で目が覚めたのかミリア姉ちゃんが身体を起こし屈伸をした。
「おはよう。朝食を食べたら、他の皆と合流してダンジョンに行こう」
「んっ、りょうかい~」
僕達が部屋を出て朝食を食べ終わると、休憩を取っていた。
急ぐ事ではないので、その内皆朝食を食べに降りて来るだろうと思い待っていた。
二時間ほどすると、ユエが一人で降りて来た。
「おはよう。ユエ」
「おはようだ。リウイ。それにミリアアリア様も」
「ん。他の二人は?」
「化粧でもしているのでは?」
ユエも知らないのか肩を竦めた。
「これからダンジョンに行くのに化粧なんて、流石は椎名さんとリリムだな」
凄い余裕だなと思いながら言うと、ユエは呆れた顔をしていた。
「なに?」
「いや、どうやら、お前の鈍感さは転生しても治らないのだと、良く分かった」
「? どういう事?」
「聞くな。はぁ」
ユエは溜め息を吐きながら席について朝食を取った。
それから一時間後にリリムが来て挨拶をして朝食を取った。
その二時間後。
「おはよう。リウイ君」
満面の笑顔で僕だけに挨拶する椎名さん。
「ミリアリアさんもおはようございます」
「うん。おはよう」
ミリア姉ちゃんには挨拶するが、他の二人には挨拶するどころか目すら合わせなかった。
何時になったら仲良く出来るのかな?
…………もう、無理か。
「おはよう。椎名さん」
「もう、いい加減、雪奈って呼び慣れて欲しいな~」
「無理かな。流石に」
苗字で呼ぶのを習慣にしていたので、未だに慣れなかった。
「ふん。一番遅くに来るとは、呆れて物が言えんな」
「そのまま冬眠すれば良かったのにね」
挨拶代わりの毒を見舞う二人。
それを聞いても椎名さんはニコニコしていた。
「ふ~ん。挨拶もしないで毒を吐くのは良いのかしらね」
「ほぅ」
「言ってくれますね」
三人は睨み合った。
朝から喧嘩は止めて欲しいんだけどな。
「リウの周りの女の子は面白いね~。これはあれかな、類は友を呼ぶって奴かな?」
その言葉はあの三人に対してなのかな? それとも僕に対してなのだろうか?




