第15話 ああ、そうだ
翌日。
僕とマイちゃん、ユエ、椎名さん、村松さん、リリムといった者達の他にミリア姉ちゃんが顔を突き合わせがら、公国の地図を見て何処に行こうか話し合った。
「此処が良いんじゃない?」
「いや、其処は往復時間を考えると、長く居れないだろう」
「いっその事、このまま公国を出るのはどう?」
「お前、義姉上の破壊光線を受けたいのか?」
「ふむ。それは確かに勘弁だな」
…………中々決まらないんだよな。
話がずれているかも知れないが気の所為だ。気のせい。
ミリア姉ちゃんは何処でも良いのか、話に加わらずソファに横になって寝ていた。
「すぴ~、すぴ~…………」
鼾を掻きながら腹を出して寝ている姿を見ていると、この人本当に皇女なのだろうかと思ってしまう。というか、弟として恥ずかしいので布を掛ける。
「ぬぅ、こうして話していると、何処に行くか考えさせられるな」
「あまり副都から離れた所に行くと、帰りが大変だからね」
「かと言って、近場に行くとなると」
マイちゃん達は僕を見ると、溜め息を吐いた。
はいはい。僕を慮っているのは助かりますよ。
そう。副都近くで行ける所と行けば、どうも僕の黒歴史を暴き出す様な所ばかりなのだ。
前に公都に行った時は暫く部屋に引きこもった。
そんな所に行くぐらいなら、店に居た方が良いのだが。その場合も姉上が構って来そうで面倒なんだよな。
さて、どうしたものか。
「ねぇ。ウ~君」
「なに、村松さん」
「わたしウ~君にピッタリな所を知っているのだけど」
「何処?」
「此処」
そう言って村松さんが指差した所は『エトナ山』と書かれていた。
「エトナ山?」
「此処が僕にどうピッタリなの?」
「エリゼヴィアさんが此処にいるって覚えている?」
「…………あ、ああ、そう言えば」
そんな話を聞いたな。
「この山は観光地化しているけど、そんなにウ~君の心を傷付けないから大丈夫だよ」
「龍が居る山が観光地?」
何じゃ、そら。
しかし、何か興味が湧くな。
「どう行かない?」
「う~ん。そうだな」
行ってみようかなと思ったが。
「「「駄目(だ)!」」」
マイちゃん達が反対の声を上げた。
「何で?」
「何でも何も、どうしてあのロリ巨乳が居る所に行かないといけないのよっ」
「同感だな」
「そうよ。それだったら、もっと別な所に行きましょう。リウイ君」
マイちゃん達は反対しているが、リリムは。
「別に良いのでは?」
平然とした顔で述べた。
「ちょっと、あの女にリッ君が取られても良いの?」
「ふふふ、まさかあの者が今の我が主を見ても、前世の猪田様だと分かる訳が無かろう。それにあの山は観光地なのは確かだ。行ってみるのも良かろう。距離的に往復しても補給が終わる頃には帰って来れるでしょう」
リリムがそう言うので、マイちゃん達も考え込んだ。
そして、三人は輪になって話し合って暫しすると『じゃあ、其処に行きましょうか』と決めてくれた。三人が納得したので、これで行けるな。